書籍ダイジェスト配信サービス「SERENDIP」e-hon会員限定キャンペーン&厳選書籍フェア

■ SERENDIPサービスとは・・・

「SERENDIP(セレンディップ)」とは、数ある書籍の中から、様々なジャンルの価値ある書籍(3冊/週)、海外で話題の未邦訳書籍(1冊/週)を厳選し、それぞれ 3,000字ほどのダイジェストにして週に 4本 配信するサービスです。
3,000字というのは、A4サイズにして3枚程度。10分で読める量でありながら、具体的な内容や背景、内容の深部にも分け入ることが可能です。
通勤電車などの移動中に携帯やスマートフォンで、また昼休みなどにオフィスのパソコンで手軽に情報に触れることができます。

▼コンテンツのサンプルを、下記リンクからご覧いただけます。

  • 【Not Knowing】

  • 【ゲーム・チェンジャーの競争戦略】

■ 株式会社情報工場について(http://www.serendip.site

情報工場は、2005年の創業以来、創造力を育成する「きっかけ」として、週に1,000 冊以上も出版される書籍の中から価値ある本を厳選配信するダイジェストサービス「SERENDIP」を提供し、知的好奇心のあるビジネスパーソンを中心に高い評価を得ています。また、企業の要望にあわせカスタマイズした教育用コンテンツや書籍の販促用ツールなどの編集企画サービスも提供しています。

e-hon会員限定!SERENDIP年間購読キャンペーン開催!

お申し込みの流れ

SERENDIP 購読お申込みはこちら
e-hon会員専用キャンペーンコード:EH01

■ 紹介書籍

2016年12月期

人事評価はもういらない

著者:松丘啓司

出版社:ファーストプレス

要旨(SERENDIP提供)

現在、日本の多くの企業で、成果主義に基づく年度、あるいは半期ごとの人事評価が行われている。こうした評価制度は、もとは米国の企業で一般的に行われているのを取り入れたものであり、旧来の年功序列よりも合理的で優れているとされてきた。しかし、ここにきて米国企業の間で年次での人事評価制度を見直す動きが出てきており、改革が進められているのだという。本書では、そうした米国での改革の中身(パフォーマンスマネジメント改革)を紹介するとともに、それが何をめざしているのか、企業経営のかたちをどのように変えていくのかを論じている。日本企業にも必要とされるこの改革の要諦は、目標設定とフィードバックの頻度を増やし、コラボレーションを前提とすることだ。著者はエム・アイ・アソシエイツ株式会社代表取締役。同社は内発的変革をテーマに企業研修とコンサルティングサービスを行っている。

世界で大活躍できる13歳からの学び

著者:高橋一也

出版社:主婦と生活社

要旨(SERENDIP提供)

グローバリゼーションや国際化は、今後も否応なく進行していくと考えられる。将来グローバルに活躍するであろう子供たちに対し、日本の初等中等教育は十分対応できているといえるだろうか。語学力のみならず、世界に通用する思考力や判断力、発想力、表現力といった能力を、今の中学生の段階からいかに育てていけばいいのか。本書は、そのヒントを提供する。著者は教育界のノーベル賞と言われる「グローバル・ティーチャー賞」2016年ファイナリスト10人に日本人で初めて選ばれた、現役の中学校教師。本書では、自らの教育実践や諸外国での事例、日本の教育の現状などを踏まえながら、これからの時代に必要な「本当の学び」とは何かを探っている。著者は現在、工学院大学附属中学校・高等学校の英語科教諭と中学校教頭を務める。なお、本書は中学生に語りかける形式で執筆されている。

移民の経済学

編:ベンジャミン・パウエル

監訳:藪下史郎

訳:佐藤綾野・鈴木久美・中田勇人

出版社:東洋経済新報社

要旨(SERENDIP提供)

移民・難民問題の解決は、現在の世界の主要な課題の一つと言っていいだろう。世界に衝撃を与えたBrexit(英国のEU離脱)やトランプ次期米大統領誕生にも移民・難民問題が深く関わっている。だが、この問題に対しては、半ば感情的な反応が前面に出ている感がある。移民増加による雇用喪失や賃金低下、治安の悪化などに対する明確な根拠のない懸念や恐怖、受け入れ推進派にしても「可哀想だから」といった人道的見地からの主張が多く見られる。本書では、これらの感情論を排し、移民問題に対し経済学をはじめとする社会科学による冷静なデータ分析と、それに基づいた政策提言を行なっている。その分析によれば、先進各国が移民を積極的に受け入れることで世界の富が大きく増えることになる。なお本書は11人の研究者が分担して執筆しており、編者のベンジャミン・パウエル氏は、テキサス工科大学教授・自由市場研究所所長を務める経済学者である。

熱狂の王ドナルド・トランプ

著者:マイケル・ダントニオ

訳:高取芳彦・吉川南

出版社:クロスメディア・パブリッシング

要旨(SERENDIP提供)

世界中の少なくない人々が、2016年のもっとも衝撃的な出来事として、米大統領選挙でのドナルド・トランプ共和党候補の勝利を挙げるのではないだろうか。不動産王の億万長者として知られていたドナルド・トランプ氏は、選挙戦を通して、またそれ以前から、人種・民族差別、女性蔑視ととられる“暴言”を繰り返すとともに、「偉大なアメリカ」を掲げナショナリズム、保護主義色の強い政策を訴えてきた。同氏が共和党候補に名乗りを上げた段階で米国で上梓された本書は、それまでの半生をたどることで、数々のエピソードや発言からドナルド・トランプという人物の真実に近い姿を浮かび上がらせたノンフィクション。ピュリッツァー賞受賞歴もあるフリージャーナリストの著者が、自らの長期間にわたる本人や関係者へのインタビューをもとに3年の歳月をかけて書き上げたものである。

教育費破産

著者:安田賢治

出版社:祥伝社

要旨(SERENDIP提供)

世界中で経済格差の問題がクローズアップされているが、日本では、国の将来をつくる要である「教育」に影響が及び始めている。学費の高騰や貸与奨学金の返済に苦しむ人が増え、後者にいたっては自己破産に至るケースもみられるという。本書では、現代の教育とお金にまつわる現状を、データを示しながら広く解説。教育費破産の悲劇とその連鎖を避け、一人ひとりが求める教育を受けて社会で存分に活躍するにはどうすればいいか、考えるヒントを提供している。著者は大学通信常務取締役で情報調査・編集部ゼネラルマネージャー。30年以上にわたり、大学をはじめとするさまざまな教育関連の情報を書籍や情報誌を通じて発信している。

Brexitショック企業の選択

著者:吉田健一郎

出版社:日本経済新聞出版社

要旨(SERENDIP提供)

2016年6月23日に英国で行われた同国のEU(欧州連合)離脱の是非を決める国民投票の結果は、世界中に衝撃を与えた。大方の予想を裏切る離脱派の勝利に、一時的とはいえ世界経済は大混乱に至った。この結果を受けて退陣したキャメロン氏に代わったメイ英首相は、2017年3月末までに離脱交渉を開始し、2019年に完了する方針を示している。本書では、Brexit(ブレグジット)と呼ばれる英国のEU離脱が世界にどのようなインパクトを与えたかを分析し、それに日本や日本企業はどのように対応すべきかを具体的に論じている。とくに、英国に進出する日本企業の行動についてアドバイスすることで、Brexitがもたらす未来像をあぶり出している。著者は、みずほ総合研究所欧米調査部上席主任エコノミスト。同研究所ロンドン事務所長も務めた英国通の研究者として知られる。

サピエンス全史(上)

著者:ユヴァル・ノア・ハラリ

訳:柴田裕之

出版社:河出書房新社

要旨(SERENDIP提供)

「人類の歴史は虚構の上に成り立っている」ことを前提に、未来への展望も含む全人類史を巨視的に俯瞰した書『SAPIENS』は、世界の主要メディアから絶賛されるなど注目を集め、世界的ベストセラーとなった。『銃・病原菌・鉄』で知られるジャレド・ダイアモンドや、ビル・ゲイツ、マーク・ザッカーバーグらも熟読したという同書の邦訳が本書『サピエンス全史』(上下巻)である。上巻では、約135億年前の「ビッグバン」から、中世ローマ帝国の時代までを扱い、「虚構」としての人類の文化、そしてそれが統一に向かう原理などについて論じている。著者は、中世史、軍事史を専門とするイスラエル人歴史学者。オックスフォード大学で博士号を取得し、現在はエルサレムのヘブライ大学で歴史学を教えている。

サピエンス全史(下)

著者:ユヴァル・ノア・ハラリ

訳:柴田裕之

出版社:河出書房新社

要旨(SERENDIP提供)

ビッグバンから未来予測に至るまでの人類の歴史(文化史、文明史)をマクロ的に俯瞰し、その本質を探る『サピエンス全史』。上下2巻のうち下巻では、中世ローマ帝国の時代から現代までの歴史を、宗教、科学の視点で追いつつ、「文明は人間を幸福にしたか」という、これまで歴史学で取り上げられたことの少ないテーマに挑んでいる。そして最後に、遺伝子工学やサイボーグ、コンピュータによる非有機的生命などのテクノロジー進化に触れ、現在の人類を超越した「超ホモ・サピエンス」出現の可能性を占っている。壮大な人類史を広く深く探究する著者はヘブライ大学歴史学教授。オンライン上での無料講義も行い、多くの受講者を得ている。

人工知能と経済の未来

著者:井上智洋

出版社:文藝春秋

要旨(SERENDIP提供)

2030年頃には、人間と同等に自ら判断してさまざまな知的作業をこなせる「汎用人工知能(AI)」が開発されるといわれている。今でも「AIに仕事を奪われる」ことを危惧する人が多いが、汎用AIの登場後、2045年頃までには、いよいよそれに現実的に対処する必要にせまられる可能性が高い。雇用や社会保障をはじめ、現在の社会構造や経済を大きく変革せざるを得なくなりそうだ。本書では、その変革の一つとして「ベーシックインカム(BI)」の導入を提案している。AIとBIによって人々を「生活のための労働」から解放し、より豊かな社会をめざす。本書では、AIの進化とそれによって社会がどう変わるかを概観しつつ、BI導入による「有用性」にとらわれない価値観への転換の可能性を探っている。著者は駒澤大学経済学部講師で、マクロ経済学、貨幣経済理論、成長理論を専門とする。

満員電車がなくなる日

著者:阿部等

出版社:戎光祥出版

要旨(SERENDIP提供)

2016年8月に就任した小池百合子・東京都知事は、選挙公約の一つに「満員電車ゼロ」を掲げていた。その実現性については関係者の間で賛否の議論を呼んでいるところだが、小池知事の公約のベースとなったのが『満員電車がなくなる日』(角川SSC新書)である。本書は、2008年に出版された同書に、出版時以降の大きな変化や出来事を追記しつつ、8年間の検討や現場観察を踏まえた補足説明、工学院大学特任教授の曽根悟氏による解説などを加えた改訂版。わが国における満員電車とその対策の歴史を踏まえた上で、首都圏をはじめとする都市部の鉄道における朝夕の混雑を緩和するための具体策、イノベーションを提案している。著者は1988年にJR東日本第1期生として入社し、鉄道の実務と研究開発に17年間従事。現在は自ら創業した株式会社ライトレール代表取締役社長として交通計画のコンサルティングを行っている。

要旨(SERENDIP提供)

日本国内での知名度は低いが、越境EC(海外市場を対象とする電子商取引)で日本最大級の売上を誇るのが、中古自動車・自動車部品を扱う「ビィ・フォアード」だ。従来の中古車業界の常識を破るBtoCビジネスで、とくにアフリカ諸国で知らない人はいないほどの人気を博しているという。本書では、同社の創業者で代表取締役である著者が、成功までの経緯、ECビジネスや、アフリカをはじめとする新興国・途上国の人々の心をつかむコツなどを詳しく語っている。著者は株式会社ビィ・フォワードのほか、中古車買取業の株式会社ワイズ山川の代表取締役を務める。東京日産自動車販売などを経て株式会社カーワイズに入社の後、独立した。

ニワトリ人類を変えた大いなる鳥

著者:アンドリュー・ロウラー

訳:熊井ひろ美

出版社:インターシフト

要旨(SERENDIP提供)

ニワトリは鳥類の中でもっとも人間に親しまれてきた種と言っていいだろう。卵や肉を使った料理は世界中にあり、漢方薬をはじめ東西の医薬品の原料にもなっている。さらには「神の使い」として宗教的な象徴とされたり、闘鶏という娯楽の対象にもなった。日本でも同様で、十二支の一つとしておなじみだ。本書では、それほどまでに身近で有用な存在でありながら、ふだんその重要性が意識されることの少ないニワトリにスポットを当てている。いかに世界中に広がり人類の大切なパートナーになっていったかの歴史を辿りながら人類文明を論じ、今後ニワトリたちとどのような関係を築くべきかにも言及している。著者は「サイエンス」「ナショナル・ジオグラフィック」などの雑誌や新聞で多数の記事を執筆するライターで、「ベスト・オブ・サイエンス・アンド・ネイチャー・ライティング」賞などを受賞している。

↓バックナンバーはコチラから
2016年11月期

「スマホ首」が自律神経を壊す

著者:松井 孝嘉

出版社:祥伝社(祥伝社新書)

要旨(SERENDIP提供)

今や街角や電車の中などで、使用しているのを見かけない日はないスマートフォン(スマホ)。利便性は高いものの、歩行中のスマホの使用が通行の邪魔になったり、事故の原因になるなどの弊害も指摘されている。本書では、スマホの長時間使用が重大な健康被害につながることを指摘、脳神経外科医の立場から警鐘を鳴らしている。すなわち、スマホの画面に集中するときの前傾姿勢が首の筋肉を痛め、著者が発見、命名した「首こり病」を招く。そしてそれが頭痛、めまい、胃痛などの諸症状の発現と重症化、はては「うつ」を発症することもあるという。本書では、首こり病発症のメカニズム、各症状の詳細、対処法などが詳細に述べられている。著者は東京脳神経センター理事長。「首の研究」の第一人者として研究と診療に携わるほか、米国で世界初の全身CTスキャナの開発に関わり日本に普及させたことでも知られている。

宗教・地政学から読むロシア

編集:下斗米 伸夫

出版社:日本経済新聞出版社

要旨(SERENDIP提供)

ヨーロッパとアジアにまたがる広大な領土を有するロシアは、近現代の国際政治で常にキャスティングボードを握る存在であり続けている。とくに2014年にクリミア危機が発生してからは、「新冷戦」とも言われる欧米諸国との対立が生じ、ますますその動向が注目されるようになってきている。本書は、プーチン政権下のロシアをめぐる国際情勢を「宗教」の観点から読み解く。プーチン大統領は伝統的な東方正教を重視し、ロシアを「正教大国」と表現。クリミア危機の背景にも宗教間の対立があった。本書では、こうした国家と宗教の関係を描きながら、現代ロシア政治の深層を探っている。著者は法政大学法学部国際学科教授でロシア政治研究の第一人者。

ライフ・シフト

著者:リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット

出版社:東洋経済新報社

要旨(SERENDIP提供)

医学の進歩などにより、日本を筆頭に世界各国で長寿化が進行している。いずれ「人間の寿命は100歳」が常識になる可能性も高い。私たちは、「100年ライフ」を前提として社会の諸制度や法律、企業のあり方、そして何より個々人の生き方をシフトする必要に迫られているといえる。本書は、長寿化を前提に個人の働き方や生活をどのように変えていくべきかを論じている。これまでの私たちの人生は、教育、仕事、引退後という三つのステージに分かれていた。これが今後、「100年ライフ」のもと「マルチステージ化」するというのが著者の主張だ。そうなれば財産などの「有形の資産」よりも「無形の資産」の価値がより高まるという。著者はロンドン・ビジネススクールで教授を務める、人材論、組織論の世界的権威。著書に『ワーク・シフト』『未来企業』(いずれもプレジデント社)などがある。

「兆し」をとらえる

著者:野口 雄史

出版社:KADOKAWA(角川新書)

要旨(SERENDIP提供)

テレビ東京系列で週1回放送されている人気番組に『ガイアの夜明け』がある。さまざまな社会問題や経済問題をテーマとし、それにまつわる人や企業の物語を描く経済ドキュメンタリーだ。2002年4月に放送開始以来現在も続く、通算700回を超える長寿番組でもある。本書の著者は、同番組の立ち上げに関わり、ディレクター、プロデューサーを歴任、2011年10月から2015年6月まではチーフ・プロデューサーを務めた。本書では、同番組がどのように作られているかを著者の経験をもとに描く。そしてその過程で「何が重要なのか」という“兆し”をとらえ、それを具体的なかたちにしていく方法を明らかにしている。著者は現在、テレビ東京で『ワールドビジネスサテライト』のプロデューサーを務めている。

未来政府

編集:ギャビン・ニューサム/リサ・ディッキー

出版社:東洋経済新報社

要旨(SERENDIP提供)

改めて言うまでもなく、インターネットによってビジネスや人々の暮らし、そして社会のあり方も大きく変わった。今ではインターネットにつながったデバイスさえあれば、誰でも瞬時に最新の情報にアクセスできるとともに、SNSなどで自分の意見を世界に発信することができる。だが、そんな人々の生活に密接に関係しながらも、そうした進化に追いついていない分野がある。政治だ。エストニアなどで電子政府化が進んでいるものの、米国や日本のような先進国では、政府のICTへの対応は明らかに遅れている。本書では、そんな現状を問題視し、インターネットを最大限に活用した未来の新しい政治・行政の仕組みづくりを提言している。主著者のギャビン・ニューサム氏は、17のスモールビジネスを手がけた起業家で、元サンフランシスコ市長。民主党に所属し、現在はカリフォルニア州副知事を務めている。

仕掛学

著者:松村 真宏

出版社:東洋経済新報社

要旨(SERENDIP提供)

人には「わかっていてもついやってしまう」行動や習慣があるものだ。ダイエット中なのに甘いものに手を出したり、過度の飲酒や喫煙、部屋を散らかし放題、公共マナーを守らない、など。これらは、自ら固く決心したり、他人から注意されたところでやめられないことも多い。それらを「やらない」という「別の行動」に本人が意図しないかたちで導くのに、巧みな「仕掛け」が使われることがある。本書では、そうした仕掛けにはどんなものがあるか、仕掛けが行動変容に結びつくメカニズム、効果的な仕掛けをつくるにはどうしたらいいか、などを豊富な実例とアイデアを紹介しながら論じている。著者は大阪大学准教授で、上記のような「仕掛け」を収集、分析してその効果を探る「仕掛学」の提唱者である。

スマホが神になる

編集:島田 裕巳

出版社:KADOKAWA(角川新書)

要旨(SERENDIP提供)

総務省の「平成27 年通信利用動向調査」によると、2015年末時点での日本全国のスマートフォン(スマホ)普及率は53.1%で、初めて5割を超えた。二人に一人がスマホを持つ時代になったのである。スマホは従来の携帯電話よりも格段に機能が豊富であり、今や人々の生活に欠かせないものになりつつある。本書では、スマホを使ったゲーム「ポケモンGO」の世界的ヒットに象徴されるスマホブームと宗教との関連性を探っている。スマホの普及と宗教の衰退に相関関係があり、スマホが民衆にとって宗教を代替する役割を果たしているのではないか、というのが著者の仮説だ。本書では、それを多角的に検証している。著者は放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員などを歴任した宗教学者。『葬式は、要らない』(幻冬舎新書)等多数の著書がある。

観察力を磨く 名画読解

著者:エイミー・E・ハーマン

訳:岡本 由香子

出版社:早川書房

要旨(SERENDIP提供)

「観察」は、思考や推測、判断、コミュニケーションの基盤となる。物事の特徴や特性を正確に把握することができなければ、誤った判断により重大な結果を招くこともある。ビジネスや日常生活のさまざまな場面で観察力は大きな武器になりうる。本書では、絵画をはじめとするアート作品を見ることで観察力を磨き、情報収集をして判断やコミュニケーションに結びつける方法を説く。先入観をもたずにアート作品に何が描かれているか、表現されているものは何か、などを細部にわたり時間をかけて観察するというものだ。美術史家で弁護士でもある著者は、自身が開発したこのメソッドを「知覚の技法」と呼び、FBIやCIA、ニューヨーク市警、米軍、大手企業などでセミナーを実施。きわめて効果的な技法として高く評価されている。

超予測力

著者:フィリップ・E・テトロック/ダン・ガードナー

訳者:土方 奈美

出版社:早川書房

要旨(SERENDIP提供)

天気予報を考えればわかるように、未来に対する人間の「予測」は、しばしば外れるものだ。「平均的な専門家の予測の的中率は、チンパンジーが投げるダーツとだいたい同じくらい」という研究結果もある。その結論を導き出したのが本書の著者の一人、フィリップ・E・テトロック氏だ。そう言い切ったテトロック氏だが、米政府機関IARPA(情報先端研究開発局)とともに行った人間の予測力に関する実験では、驚異的な予測の的中率を叩き出す複数の「超予測者」と出会う。本書では、専門家でも特別に訓練を受けたわけでもない超予測者たちが、なぜ優秀な結果を残せるのか、彼らの予測の方法を観察、分析することで探っている。テトロック氏はペンシルバニア大学経営学・心理学教授。共著のダン・ガードナー氏はカナダのオタワ在住のジャーナリストで、『リスクにあなたは騙される』『専門家の予測はサルにも劣る』などの著書がある。

不平等をめぐる戦争

著者:上村 雄彦

出版社:集英社(集英社新書)

要旨(SERENDIP提供)

格差と貧困の広がり、地球環境の破壊、疫病の蔓延、紛争やテロ、ヘイトの連鎖など、現代社会の抱えるグローバル規模の課題は枚挙のいとまがない。一方的な富の収奪による不平等は、2016年4月に公表されたパナマ文書によっても明らかになっている。本書では、パナマ文書で衆目の下に晒されたタックス・ヘイブン(租税回避地)の問題点を指摘した上で、それを含むさまざまな地球的課題を解決する「グローバル・タックス」の考え方と仕組み、可能性を示している。著者は横浜市立大学学術院国際総合科学群教授、同グローバル協力コース長。国連食糧農業機関住民参加・環境担当官などのキャリアがあり、2005年以降、グローバル・タックスの研究を進めてきた。日本におけるグローバル・タックスの実現を検討する「グローバル連帯税推進協議会」の委員も務めている。

最後の秘境 東京藝大

著者:二宮 敦人

出版社:新潮社

要旨(SERENDIP提供)

東京藝大(正式名称・国立大学法人東京藝術大学)は、東京都台東区上野にメインキャンパスのある、国内芸術系大学の最難関である。美術学部と音楽学部を擁し、2学部合わせて約2,000人の学生が所属している。古典から最先端の現代美術・音楽まで、日本の伝統工芸などを含む世界中のあらゆる芸術を学ぶことができる。名実ともに芸術系教育機関の国内トップに君臨するため、学生、教員とも、“天才”と呼ぶにふさわしいハイレベルのアーティストが揃っているのが最大の特徴といえる。本書は、そんな東京藝大(藝大と略記)に“潜入”したルポルタージュ。藝大生の妻をもつが、本人は藝大出身ではない小説家が、現役学生やOB・OGたちを徹底取材。個性あふれる“天才”たちの素顔から、東京藝大の真の姿、そして芸術とは、人生とは何かといった哲学的問いの答えを浮かび上がらせている。

ユーロから始まる世界経済の大崩壊

著者:ジョセフ・E・スティグリッツ

訳:峯村 利哉

出版社:徳間書店

要旨(SERENDIP提供)

2016年の英国国民投票でのEU離脱派の勝利、ユーロ圏でのナショナリズムの広がり、各国の財政危機や格差・不平等、あふれる難民・移民問題など、統合をめざしてきたヨーロッパに逆風が吹き荒れている。世界経済にも大いに影響を及ぼすこうしたヨーロッパの不安定さをもたらした元凶は、共通通貨“ユーロ”であると、本書の著者、ノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ氏は指摘する。ヨーロッパの政治統合が不完全なまま、ユーロによる経済統合が先行したことによる歪みが生じているというのだ。本書では、経済学の観点からユーロという制度のどこに欠陥があったのかを明らかにするとともに、これからできる改革にはどのようなものがあるかなど、ユーロ崩壊を防ぐ具体的な策を探っている。著者は2001年に「情報の経済学」を築き上げた功績によりノーベル経済学賞を受賞。クリントン政権の大統領経済諮問委員会委員長、世界銀行上級副総裁兼チーフエコノミストを歴任するなど「行動する経済学者」として知られる。

ビジネスZEN入門

著者:松山 大耕

出版社:講談社(講談社+α新書)

要旨(SERENDIP提供)

かのスティーブ・ジョブズが日本の「禅」に傾倒していたことはよく知られている。それ以外にも外国人の経営者やデザイナーなどで禅に影響を受けたと公言する人は多い。米国では禅を含む仏教を信仰する人が近年増えているとも聞かれる。しかし、それらすべての人が本来の禅の教え、禅の本質を理解しているとは限らないのではないだろうか。本書では、海外に禅を紹介する機会も多い禅僧である著者が、真の禅の教え、他の宗教や瞑想法との違いなどをわかりやすく解説。海外や国内のさまざまな人々との交流のエピソードを明かしながら、ビジネスにも応用可能な禅の理解の仕方や実践について紹介している。著者は京都にある妙心寺退蔵院副住職。日本の禅宗の代表の一人として前ローマ教皇に謁見、ダライ・ラマ14世との会談、ダボス会議への出席など幅広い活動を続けている。

IoTが拓く次世代農業 アグリカルチャー4.0の時代

著者:三輪 泰史/井熊 均/木通 秀樹

出版社:日刊工業新聞社

要旨(SERENDIP提供)

ICT(情報通信技術)の発展に伴い、もっともアナログな産業のイメージもあった農業も様変わりしつつあるようだ。政府も成長産業の一つに農業を位置づけ、農林水産省を中心に先進技術を用いた農業改革を推進している。本書では、そうした変革によって現れるであろう新しい農業を「アグリカルチャー4.0」と名づけ、先端的なICT、IoT(モノのインターネット)が現状の農業の課題をどのように解決できるのか、具体的なシステム案も含めた施策を提言している。著者の3人はいずれも日本総合研究所創発戦略センターに所属し、井熊氏は同社常務執行役員で同センター所長。三輪氏と木通氏はともにシニアスペシャリストであり、三輪氏は農業ビジネス戦略論など、木通氏は新市場開拓を目指した社会システム構想などを専門とする。

2016年10月期

はじめての森田療法

著者:北西憲二

出版社:講談社(講談社現代新書)

要旨(SERENDIP提供)

仏教、禅の瞑想を応用したマインドフルネスが注目されているが、同様に東洋思想をルーツとした「心を整える」技法がある。神経症などの精神疾患の治癒に効果的な日本発祥の治療法に「森田療法」である。1919年に森田正馬医師によって創始されたもので、高い効果のある療法として医学的に認められている。その本質は、人が「あるがまま」に生きることを手助けすることだ。本書は、森田療法について、その歴史と、考え方や実際の方法のエッセンスを、精神医学に関心のなかった人にもわかりやすく解説した入門書である。著者は現在、森田療法研究所所長・北西クリニック院長。1979年から1995年まで、東京慈恵会医科大学附属第三病院にて森田療法の実践と研究に従事していた。

プロ野球「熱狂」の経営科学

編集:水野誠/三浦麻子/稲水伸行

出版社:東京大学出版会

要旨(SERENDIP提供)

1936年に日本職業野球連盟が発足して以来、80年の歴史をもつ日本のプロ野球。サッカー人気もあるものの、今なお国民的スポーツの一つとして、多くのファンを獲得している。本書では、そのプロ野球を題材に、スポーツチーム(球団)を応援するファンが、どのような動機で応援するようになったか、どんな意識で声援を送っているのかなどを、マーケティング、および社会心理学の視点から分析、さらにマネジメントの視点から球団運営のあり方を論じている。とくに読売ジャイアンツ(巨人)、阪神タイガースという人気2球団に、2016年に25年ぶりのリーグ優勝を果たした広島東洋カープを加えた3球団のファンを対象にした独自調査の結果、諸学説などをもとにアカデミックな考察を加えている。編者の水野誠氏は明治大学商学部教授、三浦麻子氏は関西学院大学文学部教授、稲水伸行氏は筑波大学ビジネスサイエンス系准教授で、水野教授と稲水准教授は広島ファン、三浦教授は阪神ファン。本書はこの3人を含む10人の研究者によって執筆された。

「言葉にできる」は武器になる

著者:梅田 悟司

出版社:日本経済新聞出版社

要旨(SERENDIP提供)

リポートや報告書、メールなどの「書く」場面、あるいはプレゼンや口頭での報告、営業・商談など「話す」場面が頻繁にある、ほぼすべてのビジネスパーソンには「言葉」を使った円滑なコミュニケーションが求められているといえる。日常生活でも言葉で物事を伝えることが重要になることは言をまたない。相手に自分の意図がうまく伝わらない、納得してもらえないなどの悩みを抱える人も多いのではないだろうか。本書では、言葉には外に出ていく「外に向かう言葉」と、自分の中での思考に用いる「内なる言葉」の二つがあることを指摘。後者を鍛えることで、前者に重みと深みが出るとしている。その上で内なる言葉の鍛え方、さらにそれを外に向かう言葉に変換する際のテクニックを具体的に指南している。著者は数々のヒットCMも手がける電通のコピーライター、コンセプター。

東大 VS 京大

著者:橘木 俊詔

出版社:祥伝社(祥伝社新書)

要旨(SERENDIP提供)

東京大学と京都大学は、明治時代に創立されて以来、日本の研究・教育・人材輩出などに多大な貢献をし、日本のアカデミズムのトップ2として君臨してきた。しかし、最近では英国の教育誌「タイムズ・ハイアー・エデュケーション」の世界大学ランキングでアジア各国の大学の後塵を拝するなど、国際的な評価が下がる傾向にある。本書では、日本の大学の水準を上げるためには、今の時代に合った両大学の変革が必要であると指摘。東大と京大それぞれの創立経緯、現在までの歴史を振り返りつつ、なぜ日本を代表する大学になり得たのか、その位置を保持し続けている理由と現状を明らかにしている。著者は京都大学名誉教授で、日本の大学教育に関する著書を数多く手がけている。

ドイツの地方都市はなぜクリエイティブなのか

編集:高松 平藏

出版社:学芸出版社

要旨(SERENDIP提供)

ドイツの都市で日本人にもよく知られているのは、ベルリン、ミュンヘン、フランクフルトあたりだろうか。だがドイツでは、これら人口の多い大都市のほかに、それぞれ個性をもった小都市が存在感を発揮している。南部の人口約10万人のエアランゲン市もその一つだ。同市は、ドイツ全体の都市GDP平均の2倍以上で、2011年の「クリエイティブ・クラス」調査では国内堂々第1位を獲得している。本書では、大学町でシーメンス社の医療開発部門が立地、さらに240年の伝統を誇るビール祭りでも知られるエアランゲンのまちづくりについて、同市在住の著者がその質の高さを実現、維持するメカニズムを探っている。著者はジャーナリストで2002年からエアランゲン市を拠点に活動している。

オープン&クローズ戦略

著者:小川 紘一

出版社:翔泳社

要旨(SERENDIP提供)

製造業をはじめとするあらゆる産業で、活力を失う日本企業が多くなっている。本書は、この長きにわたる停滞を脱し、日本の産業全体を再生させるための戦略を提起する。それが、自社のコア領域をクローズさせて独占しつつ、市場との境界にオープン領域を設定する「オープン&クローズ戦略」である。これはアップルやインテル、クアルコムなどの欧米企業が生み出した知財マネジメントとビジネスモデルであり、本書ではその構造を分析し、日本や日本企業がこの戦略を取り入れ成功する可能性を探っている。著者は東京大学政策ビジョン研究センター・シニアリサーチャー。富士通研究所研究部長、東京大学ものづくり経営研究センターを経て、内閣や経済産業省のタスクフォースや委員を数多く務める。なお、本書は2014年の初版に、IoT、インダストリー4.0の進行を踏まえた論考を加え、改稿した増補改訂版である。

2025年、高齢者が難民になる日

編集:小黒 一正

出版社:日本経済新聞出版社(日経プレミアシリーズ)

要旨(SERENDIP提供)

人口減少と超高齢社会の進行に合わせて社会のかたちを変えていくことに、私たちはそろそろ本腰を入れなければならないだろう。少なくとも人口の多い団塊の世代が後期高齢者となる2025年までには対策を固める必要がある。さもないと、必要な医療・介護サービスを受けられない高齢者、「介護難民」があふれることになる。本書では、その対策として「ケア・コンパクトシティ」の推進を提言している。ケア・コンパクトシティとは、要介護者を多職種が連携し地域ぐるみで支える「地域包括ケアシステム」と、都市の生活関連機能を分散させずに一定の地域内にまとめる「コンパクトシティ」を融合させたものだ。本書ではその対策を進める上で必要なことや課題、実践例などを幅広く論じている。編著者は法政大学経済学部教授。

賢い組織は「みんな」で決める

著者:キャス・サンスティーン/リード・ヘイスティ

訳:田総 恵子

出版社:NTT出版

要旨(SERENDIP提供)

現実の人間行動を正しく分析する理論として注目されている行動科学(行動経済学)は、個人の考え方は時に不合理で間違いを犯しやすいことを証明している。本書では、それが集団にも当てはまるか、集団であれば個人のような間違いが起きないのか、といった疑問について検証。後者については、集団はかえって個人の間違いを助長することが多いことを示し、どうすればそれを防ぎ、成功する「賢い組織」になれるのかを事例や実験結果などをもとに具体的に論じている。著者のキャス・サンスティーン氏はハーヴァード大学ロースクール教授の法学者で、オバマ政権第1期で行政管理予算局の情報・規制室室長を務めた。リード・ヘイスティ氏は心理学者でシカゴ大学ブース・ビジネススクール教授。

空気のつくり方

著者:池田 純

出版社:幻冬舎

要旨(SERENDIP提供)

プロ野球球団・横浜DeNAベイスターズはリーグ3位の成績で2016年シーズンを終え、球団史上初のクライマックスシリーズ進出を決めた。同チームは2006年から10年連続Bクラス(リーグ4位から6位)と低迷していた。それにも関わらず近年は横浜スタジアムでのホーム試合の観客動員数が驚異的な伸びを記録している。本書の著者は、2011年に横浜DeNAベイスターズ初代社長に就任し、チームをここまでの人気球団に育て上げた立役者である。本書では、球団の成功要因を「空気をつくることができた」ことであるとし、空気のつくり方や、そのためのセンスの磨き方、空気をマーケティングやブランディングに生かす方法などについて、自らのベイスターズにおける実践例を挙げながら詳しく解説している。著者は住友商事、博報堂等を経て2007年にDeNAに入社した。

徹底調査 子供の貧困が日本を滅ぼす

著者:日本財団 子どもの貧困対策チーム

出版社:文藝春秋(文春新書)

要旨(SERENDIP提供)

「6人に1人の子どもが貧困状態にある」。これは、まぎれもなく世界第3位の経済大国・日本の話だ。しかし、この問題を身近な「ジブンゴト」として考えている人はさほど多くないだろう。本書では、こうした現状を表すさまざまなデータを挙げながら、子どもの貧困問題が税収減少や社会保障費の増大を生むだけでなく、貧困の連鎖のせいで将来にわたる国力低下に結びつくことを指摘する。その上で、生活保護世帯、児童擁護施設、ひとり親家庭の当事者へのインタビュー、海外の事例などをもとに、これからの日本にどんな対策が必要かを提言している。なお本書は、著者である日本財団子どもの貧困対策チームが2015年12月に発表した「子どもの貧困の社会的損失推計レポート」に新たな仮説などを加筆したものである。

サステイナブル・カンパニー入門

著者:大室 悦賀

出版社:学芸出版社

要旨(SERENDIP提供)

ビジネスにおいてCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)の重要性が叫ばれて久しい。さらに2006年には経済学者マイケル・ポーター氏が、企業の利益追求と社会的課題の解決を両立するCSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)を提唱。社会的課題の解決を第一義に考えるソーシャルビジネスの展開も目立つ。本書では、これらを踏まえ、一般企業が、「本業の社会化」により「社会的課題を生まない」持続的な経営をめざすための考え方・方法を論じている。そしてそのためには自然環境や次世代も含めた「マルチステイクホルダー」の視点、「異質なものをつむぐ」ことが根底にある経営哲学などが重要であると主張する。著者は、東京都府中市に入職したのち、現在京都産業大学経営学部教授、京都市ソーシャルイノベーション研究所所長を務めている。

誰が音楽をタダにした?

著者:スティーヴン・ウィット

訳:関 美和

出版社:早川書房

要旨(SERENDIP提供)

音楽業界では、Spotify、Apple Musicなど定額制配信サービスの台頭もあり、世界的にいよいよ本格的に「CDが売れない」時代が到来しているようだ。そればかりか、曲の違法アップロードは後を絶たず、またYouTubeなどで無料で音楽を楽しむ人も多くなっている。音楽は“タダ”で聴けるという風潮が蔓延しているのだ。本書は、こうした音楽業界の現状を招いた経緯を、3人の人物をめぐるストーリーによって描き出すノンフィクション。3人とは、田舎の工場で発売前のCDを盗んでいた労働者、mp3を発明したオタク技術者、業界を牛耳る大手レコード会社のCEO。ダイジェストでは3番目に挙げた元ユニバーサル・ミュージックCEO、ダグ・モリス(現ソニーミュージックCEO)のパートからピックアップした。著者は「ニューヨーカー」誌などで活躍するジャーナリスト。

2016年9月期

2050 近未来シミュレーション日本復活

著者:クライド・プレストウィッツ

訳者:村上博美/小野智子

出版社: 東洋経済新報社

要旨(SERENDIP提供)

企業の国際競争力低下、少子高齢化の進展と地方の衰退など、社会全体に漂う沈滞感が拭いきれない現在の日本。その日本が2050年には大復活を遂げ、あらゆる側面で「世界最強国」になっているとしたらどうだろう? 信じられるだろうか? 本書では、まさにそのような未来予測に行き着くシミュレーションを行っている。停滞していた日本は2017年に各分野の識者や知日派外国人からなる「特命日本再生委員会」を設立、政治・行政、産業・労働、外交・安全保障、エネルギー、医療・農業など、すべての分野において大改革を提言する。本書では、それぞれにおいてどんな視点でどんな改革をするかを予想することで、現状の日本の問題点を浮かび上がらせる。著者は現在経済戦略研究所所長で1965年に初来日し、1970年代にも外資系企業役員として日本に滞在。日米貿易摩擦時の辣腕対日交渉担当官として知られる。なお、本書の記述で2016年4月以前の出来事はすべて事実だが、それ以降は著者の予測である。

魚が食べられなくなる日

著者:勝川俊雄

出版社:小学館

要旨(SERENDIP提供)

周囲を海で囲まれた日本は、1970年代まで漁業大国として世界に君臨していた。それが今では、漁業を成長産業とするノルウェー、ニュージーランド、アイスランドなどに大きく水をあけられた斜陽産業になってしまった。高齢化・後継者不足もあり漁業自体が衰退の一途に。頼みの綱の輸入魚も世界的な価格の高騰で日本は買い負けている。獲れない、買えないで、このままでは魚は高嶺の花になってしまう。なぜこうなったのか。本書では、その原因を探りながら、現在の漁業先進国での現地取材などを踏まえた上で、日本漁業を復活させるための具体的方策を含む提言を行っている。著者は東京海洋大学産学・地域連携推進機構准教授。水産資源管理と資源解析を専門とし、日本漁業を持続可能な産業に再生するための活動を積極的に展開している。

人工知能のための哲学塾

著者:三宅陽一郎

出版社:ビー・エヌ・エヌ新社

要旨(SERENDIP提供)

囲碁やチェスのゲームで人間に勝利したり、Pepperなどのロボットやスマートフォンの音声認識などで身近になった人工知能(AI)。その驚くべき進化から、人間の仕事が奪われることを危惧する声も大きい。AIの性能を人間に近づける、さらに人間を超えさせるためには、そもそも「知能とは何か」という問いを避けて通ることはできないだろう。これまでの人類の歴史の中で、その問いに答えようとしてきたのが「哲学」だ。本書は、2015年5月から2016年4月まで全6回で開催されたイベント「人工知能のための哲学塾」の内容をベースに、AI開発の基礎にある哲学、主に現象学の分野の命題を読み解いている。著者で同イベントの主宰者である三宅陽一郎氏は、長年にわたり人工知能研究者、ゲームAI開発者として活躍。国際ゲーム開発者協会日本ゲームAI専門部会チェアなどを務める。

超金融緩和からの脱却

著者:白井 さゆり

出版社:日本経済新聞出版社

要旨(SERENDIP提供)

長らく続いたデフレ脱却を目指し、2012年12月に発足した第2次安倍内閣は「アベノミクス」の名のもと大胆な金融緩和と財政政策を断行した。とくに黒田東彦日本銀行総裁のもと次々に打ち出された超金融緩和は「黒田バズーカ」とも呼ばれ、日本および世界経済にインパクトを与えている。また、こうした非伝統的金融緩和は近年、日本だけでなく米連邦準備理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)など世界の主要中央銀行が行っており、世界経済の動向に多大な影響を与えている。本書は、そうした世界の中央銀行による金融政策を分析しつつ、超金融緩和の出口に向けてどのような課題があるかを解説しながら論じている。著者は、国際通貨基金(IMF)エコノミストなどを経て、2011年から2016年まで日本銀行政策委員会審議委員として日銀による金融政策の策定の現場に立ち会っている。

ヒラリー・クリントン

著者:春原 剛

出版社:新潮社(新潮新書)

要旨(SERENDIP提供)

2017年から4年間の米国、ひいては米国が主導する世界のリーダーを決める大統領選挙が、2016年11月に行われる。二大政党制のもと、民主党ではヒラリー・クリントン氏、共和党ではドナルド・トランプ氏がそれぞれ指名候補となっている。ヒラリー氏は元米大統領のビル・クリントン氏の妻であり、2008年の大統領選においては民主党指名候補争いにてバラク・オバマ現大統領に敗れるも、オバマ政権では国務長官を務めた。今回の選挙で同氏が当選の暁には、米国初の女性大統領が誕生する。本書は、著者が2014年6月、まだ大統領選に出馬するかどうかが取りざたされていた頃にニューヨークでヒラリー氏にインタビューした内容を中心に、同氏の掲げる外交や経済政策、思想、生い立ちなどを多方面から解説。可能性の高い2017年からの世界情勢をも占える内容となっている。著者は日本経済新聞社編集局長付編集委員。

錆と人間

著者:ジョナサン・ウォルドマン

訳者:三木 直子

出版社:築地書館

要旨(SERENDIP提供)

鉄が腐食して出現する「錆(さび)」に良いイメージをもつ人は少ないだろう。ステンレス鋼の普及により、私たちの普段の生活ではそれほど見かけなくなったが、橋などの建造物や艦船、飛行機、原油や天然ガスのパイプラインなどにとっては大敵であり、放置すれば大きな被害が発生する可能性がある。本書は、錆(金属腐食を含む)を防ぐ(防食)、錆と戦う、あるいは錆に美を感じるなど、さまざまな錆と人間の関わりのストーリーを描くノンフィクション。多大な被害をもたらす自然現象の一つであるにも関わらず注目されることが少ない錆について、その対策が必至であり、あらゆる業界が関心をもつべきと訴えている。著者はワシントン・ポスト紙などに寄稿する環境・科学ジャーナリスト。初の著書である本書はウォールストリート・ジャーナルのベストブック・オブ・ザ・イヤーを受賞している。

「ユマニチュード」という革命

著者:イヴ・ジネスト/ロゼット・マレスコッティ

日本語監修:本田 美和子

出版社:誠文堂新光社

要旨(SERENDIP提供)

超高齢社会となった日本では、施設や専門職の数など介護の「量」はもちろん、介護の「質」を高めていかなければならないだろう。とくに課題といえるのは認知症の介護(看護)。福祉国家と言われる国々には数々の看護・介護の先進的技術があるが、なかでも注目を集めているのが「ユマニチュード」だ。フランスで1980年代から実践が始まったユマニチュードは、ケアの対象者に「人間らしさ」を取り戻してもらうための哲学と技術である。フランスでは400以上の病院やケアホームで取り入れられ、日本を含む数カ国で実践されている。本書では、ユマニチュードを開発した二人が、日本の読者のために、その哲学・理念や基本的な技術について詳しく解説している。著者のイヴ・ジネスト氏はジネスト・マレスコッティ研究所所長、ロゼット・マレスコッティは同副所長を務め、ユマニチュードの実践と啓蒙活動を行っている。

テニスプロはつらいよ

著者:井山 夏生

出版社:光文社(光文社新書)

要旨(SERENDIP提供)

錦織圭選手の大活躍により、日本国内ではかつてないほどプロテニスが注目されている。だが、国内リーグにも人気のある野球やサッカーと違い、錦織選手以外の日本人男子プロにスポットが当たることはほとんどない。それは、テニスプロは世界ツアーで試合をし賞金を稼ぐことで生計を立てており、世界ランキングで順位の低い選手はテレビ中継されるような大きな大会になかなか出場できないからだ。錦織選手の世界ランクは5位(2016年9月12日現在)だが、グランドスラム4大会本戦出場の条件である100位以内に入っている日本人選手は他に一人もいない。本書では、錦織選手の2歳年下で世界ランキングの最高位が259位のテニスプロ、関口周一選手を取り上げ、その奮闘の歴史を振り返るとともに、選手間の格差の激しいプロテニス界の独特なシステムを紹介している。著者は元「テニスジャーナル」編集長であるフリーランスの編集者兼ライター。

水力発電が日本を救う

著者:竹村 公太郎

出版社:東洋経済新報社

要旨(SERENDIP提供)

東日本大震災以降、日本の電力エネルギーは、再生可能エネルギーの比率を上げるなど、多様性を確保する工夫が求められているといえる。再生可能エネルギーにはいくつかの選択肢があるが、どうしても太陽光発電に目が向きがちだ。しかし、忘れてはならないのが、古くからあるダムによる水力発電である。本書では、巨大ダムを増設するのが困難なために今以上に発電量を増やせないと思われている水力発電について、実はその潜在力が十分に発揮されていないことを指摘。既存のダムの使い方を工夫することで、コストのかからない純国産エネルギーが100年後、200年後にも変わらず確保できると主張している。著者は、長年建設省・国土交通省でダム・河川事業に携わり、現在は日本水フォーラム事務局長を務めている。

自分の時間

著者:アーノルド・ベネット

訳・解説:渡部 昇一

出版社:三笠書房

要旨(SERENDIP提供)

近代的な労働が行われるようになってから現代に至るまで、各個人は常に自分の時間の使い方に悩んできたのではないだろうか。すなわち余暇と呼ばれる、労働を行わない時間を無駄にせず、いかに有意義に過ごすか、という問題である。1日は誰にも等しく24時間しかない。その中で自己を高める時間をどのように確保するか。それについて有為な提案を行う本書は、19世紀末期から20世紀初頭にかけて活躍した英国を代表する作家、アーノルド・ベネット(1867-1930)が1908年に発表したものだ(本書は邦訳版の新装新版)。以来、時間活用術の名著として読み継がれ、時代や国境を越え、知識人をはじめ数多の人々に普遍性の高いメッセージを届けてきた。著者の代表作には20世紀英国小説の最高傑作と賞される『二人の女の物語』(岩波書店)がある。

村上春樹はノーベル賞をとれるのか?

著者:川村 湊

出版社:光文社(光文社新書)

要旨(SERENDIP提供)

毎年10月初旬のノーベル賞受賞者発表の時期になると、「日本人の受賞」があるかどうかに関心が集まり、みごと日本人が受賞した場合には国中が喜びで湧きかえることになる。そんななか、ここ数年の恒例になっているのが、海外でも人気のある村上春樹氏がノーベル文学賞を受賞するかどうかに、メディアやファンがやきもきする現象である。もし受賞すれば、日本人のノーベル文学賞受賞者は、川端康成、大江健三郎に次いで3人目となる。本書では、その、多くの人が気にしていると思われる「村上春樹氏によるノーベル賞受賞の可能性」について論じるとともに、ノーベル文学賞とはどういう賞なのか、これまでどんな人が受賞してきたのか、などを紹介。キーワードは「世界文学」であり、「国際性」とは何かを考えさせられる論考にもなっている。著者は文芸評論家で法政大学国際文化学部教授。

悪癖の科学

著者:リチャード・スティーヴンズ

訳:藤井 留美

出版社:紀伊国屋書店

要旨(SERENDIP提供)

心理学は、人間の心の動きとそれに伴うあらゆる行動について探究する学問だ。そのため扱うテーマは実に幅広く、社会常識的には「よくない行動」とされていたり、それについて公の場で言及するのがタブーであることも含まれている。性的行動、悪態、危険運転、過度の飲酒やドラッグ摂取、サボりなどだ。本書では、こうした“悪癖”について、それぞれ科学実験・研究やそこから得られたデータなどを紹介しながら、多数の興味深い知見や視点を提供している。著者は英国のキール大学心理学上級講師。「悪態をつくことにより苦痛を緩和する」研究で、2010年にイグ・ノーベル賞を受賞している。なお、ダイジェストでは「飲酒」と「悪態」について取り上げた。

やり抜く力

著者:アンジェラ・ダックワース

訳者:神崎 郎子

出版社:ダイヤモンド社

要旨(SERENDIP提供)

スポーツ、芸術、ビジネスなど、さまざまな分野で成功し、偉大な業績を残す人たちは、それ以外の人と何が違うのか。生来の才能と考える人も多いことだろう。だが本書の著者、ダックワース教授は研究の結果、才能よりも重要な要素があることを突き止めた。それが「情熱」と「粘り強さ」からなる「やり抜く力(グリット:GRIT)」だ。グリットは米国教育省の報告書が教育の最重要課題として提唱、グーグルがグリットの強い人材を積極的に採用し始めるなど、各界で大きな注目を集めている。本書では、同教授による調査結果、独自に開発した「やり抜く力」を測る「グリット・スケール」、誰にでも応用可能なグリットの開発方法などが詳しく解説されている。著者はペンシルベニア大学心理学部教授で、2013年にマッカーサー賞(別名「天才賞」)を受賞している。

2016年8月期

「みっともない」と日本人

著者:榎本博明

出版社:日本経済新聞出版社

要旨(SERENDIP提供)

身近な対人関係から国家レベルの交渉まで、日本・日本人と欧米の行動様式や価値観、コミュニケーション方法の違いは、しばしば指摘されるところだ。とくにグローバル化が進む現代では、その「違い」を乗り越えていかねばならない。本書では、日本人特有の考え方や行動様式を「間柄の文化」と表現。それに対する欧米に典型的な価値観を「自己中心の文化」とし、その文化に染まった行動をとる日本人を「みっともない」と感じる感性が、日本人にはあると指摘する。そして、いま盛んに叫ばれているグローバル化の標準が「自己中心の文化」になりつつあることへの懸念を表明し、日本人の「間柄の文化」こそが、あるべきグローバル化に貢献できると主張している。著者は心理学博士で、MP人間科学研究所代表。大学で30年以上にわたって心理学の講義を行いつつ、心理学を実生活、ビジネスに生かすための著述や研修・講演活動等を行っている。

ゴルバチョフに会いに行く

著者:亀山郁夫

出版社:集英社

要旨(SERENDIP提供)

ミハイル・セルゲーヴィチ・ゴルバチョフ。かつて存在したソビエト連邦(ソ連)最初で最後の大統領だ。1985年にソ連共産党書記長に就任し、ペレストロイカ(改革)とグラースノスチ(情報公開)を実行するとともに、「新思考外交」により冷戦を終結させた。ところが1991年に守旧派が「8月のクーデタ」を決行。ゴルバチョフは休暇で滞在していたクリミアに幽閉され、求心力をなくし失墜。大統領を辞任し、ソ連は崩壊へと向かう。本書では、ゴルバチョフの改革やソ連崩壊の実情、さまざまな難題を抱える現在のロシアや、グローバリズムの中で矛盾に直面する世界情勢の行方などについて、著者による2014年12月のゴルバチョフへのインタビューを中心に考察している。著者は日本のロシア文学研究・翻訳の第一人者。元東京外国語大学学長で、現在は名古屋外国語大学学長を務める。

失敗の研究 巨大組織が崩れるとき

著者:金田信一郎

出版社:日本経済新聞出版社

要旨(SERENDIP提供)

21世紀に入った頃から、とくに「巨大組織」と呼ぶにふさわしい伝統ある大会社や企業グループの不祥事や内紛、経営破綻などが相次いでいる。これらの「失敗」の原因には、外部要因のほかに、巨大組織ゆえの病があることも多い。本書では、近年の20の失敗事例を取り上げ、現場の取材や膨大な資料から、組織が崩壊していくメカニズムの分析を試みている。巨大組織が陥りがちな病を「肥満化」「迷宮化」「官僚化」「ムラ化」「独善化」「恐竜化」の6つに分類するとともに、個々の組織の問題に共通する、21世紀の経済が直面する問題点をあぶり出す(ダイジェストでは、とくに「迷宮化」の事例を取り上げる)。著者は、『日経ビジネス』元副編集長で、現在は日本経済新聞編集委員を務める。

物流ビジネス最前線

著者:齊藤実

出版社:光文社

要旨(SERENDIP提供)

アマゾン、楽天市場、ヤフーなどのネット通販は、利用者が拡大し、すでに私たちの日常生活に溶け込んでいる。実際の「モノ」を取引するネット通販では「物流」が生命線になる。ネット通販という成長産業が登場したことを契機として、それまで企業活動を地味に支える存在にすぎなかった物流に、経済全体にも影響を与える重要な存在としてスポットが当てられている。本書では、その「物流」について、ネット通販における新たな試み、ドライバー不足の問題、当日配送などラストマイル(消費者に配送される最後の段階)に関わる課題など、最新の状況について豊富な事例を交えながら論じている。著者は、日通総合研究所で物流に関する国内外の調査プロジェクトに従事した後、現在は神奈川大学経済学部教授を務める。

超一流はアクティブラーニングを、やっている。

著者:相川秀希

出版社:東京書籍

要旨(SERENDIP提供)

今、日本の大学教育などに盛んに取り入れられているアクティブラーニング。その定義はさまざまだが、従来の講義を聴くだけといった受け身一辺倒の学習ではなく、自ら問題を発見し、調べ、ディスカッションをする自発的・能動的な学びを指す。米国の教育現場や企業の研修では当たり前のように行われており、スタンフォード、MITといった“超一流”と賞される大学のビジネススクールでは、即興演劇などを取り入れた発展的なアクティブラーニングが盛んに実践されているという。本書では、国内のさまざまな教育・研修の機会に独自のアクティブラーニング技法を提供する日本アクティブラーニング協会理事長を務める著者が、アクティブラーニングの基本的な考え方や実践方法を説いている。著者は、大学受験の専門塾「早稲田塾」の創業者であり、株式会社サマデイCEO、株式会社アドミッションズオフィスCEO等も務める。

ハーバード数学科のデータサイエンティストが明かすビッグデータの残酷な現実

著者:クリスチャン・ラダー

訳者:矢羽野薫

出版社:ダイヤモンド社

要旨(SERENDIP提供)

マイナスイメージが強い日本とは異なり、米国ではいわゆる「出会いサイト」が健全な恋愛・結婚の機会の一つとして認知されている。中でも2004年に開設された最大手の「Okキューピッド」は、今では1000万人以上の利用者を集め、毎日300組のカップルが誕生しているそうだ。ハーバード大学で数学を専攻し、3人の友人と一緒に同サイトを立ち上げたのが、本書の著者。サイトでユーザーが記入するプロフィールや、相手に対する評価などの膨大なデータ(ビッグデータ)の分析から、サイト運営に関わる事柄の他に、人間行動、社会の動きについての傾向や法則が見えてくることがわかったという。本書では、出会いサイトならではのビッグデータ活用と、その結果どんなことが見えてくるのか、豊富な事例(個人情報は含まれない)を示しながら論じている。

iPS細胞が医療をここまで変える

監修:山中伸弥

著者:京都大学iPS細胞研究所

出版社:PHP研究所

要旨(SERENDIP提供)

近年、日本企業の間でも「コーポレートガバナンス(企業統治)」への取り組みが本格化しつつある。しかし、日本では一般的にコーポレートガバナンスはコンプライアンス(法令順守)と同一視されることも多く、本来の意味での普及は、まだこれからともいえそうだ。本書では、アベノミクスの「第3の矢」でもその強化がうたわれ、政府主導で具体的なコード(規定)づくりも行われたコーポレートガバナンスについて、日本での取り組みをはじめ、比較対象として英米・アジアなどの現況、これまでの歴史などについて解説。企業の健全な成長を促し、日本経済再生にも結びつくコーポレートガバナンスの運用について、事例や著者自身の取材、資料に基づき詳細に論じている。著者は日本経済新聞編集委員兼論説委員で、英フィナンシャル・タイムズのリーダーチーム(論説委員会)への参加経験も持つ。

行動経済学の逆襲

著者:リチャード・セイラー

訳者:遠藤真美

出版社:早川書房

要旨(SERENDIP提供)

経済学の領域では、現実の人間の行動や心理を観察、あるいは実験することにより理論を導き出す「行動経済学」の研究が盛んになってきている。行動経済学が台頭するまでの経済学の主流は、合理的な選択や行動をする人間を仮定し、それを前提として理論を組み立てるものだった。そのため、行動経済学は長らく異端として認められることはなかった。本書では、今や英米をはじめ世界各国の政策決定にも取り入れられている行動経済学の本質的な意義、学界で市民権を得るまでの経緯について、行動経済学のパイオニアの一人であるリチャード・セイラー博士が、自らの経験も踏まえながら解説している。著者は現在、シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネス教授、全米経済研究所(NBER)の研究員。2015年にはアメリカ経済学会会長に選出されている。

大村智ものがたり

著者:馬場錬成

出版社:毎日新聞出版

要旨(SERENDIP提供)

2015年は二人の日本人科学者がノーベル賞を受賞したが、そのうちの一人が、北里大学の大村智特別栄誉教授だ。「寄生虫による感染病に対する新しい治療法の発見」を理由に、米国メルク社のウイリアム・キャンベル氏と共同でノーベル生理学・医学賞を受賞。二人の功績により開発された治療薬はアフリカの数億人の命を救ったとされている。本書は、その大村氏の半生を、子どもから大人まで幅広い世代に向けて綴ったノンフィクション。工業高校夜間部教師から「学び直し」をして研究の道に入り、あらゆる面で「人まねをしない」ことを貫き通した大村氏のストーリーからは、生き方、働き方へのヒントと刺激を受け取ることができる。著者は元読売新聞記者で、現在は特定非営利活動法人・21世紀構想研究会理事長などを務める。なお本書は、第62回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書の一つに選ばれている。

民泊ビジネス

著者:牧野知弘

出版社:祥伝社

要旨(SERENDIP提供)

米国発、シェアリングエコノミーの雄である宿泊施設提供サービス、Airbnbが2014年に日本法人を設立して以来、個人が自宅などを旅行者に提供する「民泊」がクローズアップされてきている。だが、日本では旅館業法の規制があるため、欧米のように普及するまでにはいくつかの壁を越えなければならない。本書では、日本における「民泊」およびホテルなど宿泊施設全般の現状を俯瞰し、法整備などの問題点を整理。その上で、空き家を活用した民泊など、地方創生にもつながる日本ならではの民泊ビジネスのあり方を提言している。著者はボストンコンサルティンググループ、三井不動産を経て、現在はオラガHSC株式会社代表取締役としてホテル・不動産のアドバイザリーなどを行う。他に『空き家問題』(祥伝社新書)などの著書がある。

サイボーグ化する動物たち

著者:エミリー・アンテス

訳者:西田美緒子

出版社:白揚社

要旨(SERENDIP提供)

バイオテクノロジーと電子工学、コンピュータ技術は、現在に至るまでに、それぞれ驚異的な発展を遂げている。動植物のDNAを操作することにより、何世代もかかっていた品種改良がわずかな期間でできるようになった。さらには、電子回路やコンピュータ、機械を動物に埋め込むことにより身体機能や知能を高めるといった「サイボーグ化」の研究もSFの世界から現実のものになっているという。本書は、そんな動物を人間が意図するようにつくり変える技術について、その最前線の成果と進捗をリポート。またそれに伴う倫理的な問題について考察を進めている。著者は「ニューヨークタイムズ」「ネイチャー」「ワイアード」など各紙誌に執筆する新進の科学ジャーナリスト。なお本書は、優れた科学書に贈られる「AAAS/Subaruサイエンスブックス&フィルム賞」を受賞している。

2016年7月期

ゼロイチ

著者:林要

出版社:ダイヤモンド社

要旨(SERENDIP提供)

近年の日本では、たとえばiPhoneのような画期的なイノベーションがなかなか生まれない、といった嘆きがよく聞かれる。成功するしないに関わらず、誰かがつくった「1」を改良、進化させて「10」にするのではなく、自らの手で「0」から「1」を生み出す意欲のある人材が、今の日本には求められているのだ。この「0」から「1」を生み出す仕事を、本書では「ゼロイチ」と呼んでいる。トヨタで「レクサスLFA」の開発プロジェクトに加わり、その後ソフトバンクで世界初の感情認識パーソナルロボット「Pepper」の開発リーダーとなった著者が、自らの経験をもとに、組織の中で「ゼロイチ」を成功させる上で意識すべきことを語っている。著者は2015年11月にロボット・ベンチャー「GROOVE X」を設立、新世代の家庭向けロボットの開発を進めている。

中東から世界が崩れる

著者:高橋和夫

出版社:NHK出版(NHK出版新書)

要旨(SERENDIP提供)

石油など資源の産出国が多いうえに、宗教(宗派)の対立による紛争・戦争が絶えず、長らく「世界の火薬庫」の筆頭に挙げられる中東。近年では「イスラム国」の台頭と残虐行為、それに対する空爆、難民の大量発生など、世界情勢に多大な影響を与える諸問題が深刻さを増している。本書では、中東情勢のカギを握る2大国、イランとサウジアラビアそれぞれの動きと両国間の関係を主に解説。中東再編の可能性とその世界全体の政治経済への影響について「中東研究の第一人者」として知られる著者が最新の情勢を踏まえて考察している。著者は放送大学教員で、中東情勢のコメンテーターとしてしばしばTVニュース番組に出演している。

戦力「内」通告

著者:ダン・ラスト

訳者:武藤陽生

出版社:ハーパーコリンズ・ジャパン

要旨(SERENDIP提供)

会社は人の集まりであり、上司部下、先輩後輩、同僚などの人間関係のトラブルはつきものである。また、昨今では経営環境の悪化に伴い突然のリストラに遭うことも珍しいことではない。そうしたネガティブな出来事のおかげで、思い描いていたキャリアの変更を余儀なくされる人も少なくないのではないか。本書では、そんなトラブルや逆風にも負けずに社内でキャリアを築き、大きな成功を収めるにはどうしたらよいかを、豊富な事例とともに説いている。原題の「WORKPLACE POKER」は「職場のポーカー」を意味し、ポーカーゲームのような社内政治に勝利するとともに、人間関係でつぶれない心のもち方と行動をアドバイスする。著者は米国で企業向けのトレーニングを行うフロントライン・ラーニング社の創立者にして作家、講演者。

謎のアジア納豆

著者:高野秀行

出版社:新潮社

要旨(SERENDIP提供)

朝食などで米飯と一緒に食される「納豆」。和食の定番でもあり、日本独自の食品と思っている人も多いのではないだろうか。実際には作り方、加工方法、食べ方は違っても、日本納豆と同じと見なされる食品が、ミャンマーやタイ、ネパール、ブータンの山岳地帯、中国南部などに存在するという。本書の著者はそれらを「アジア納豆」と名づけ、現地を訪問して実際に食するとともに作り方を学んでいく。また国内でも「日本の納豆の起源」を追い求め旅に出る。そうした取材紀行の記録と、アジア納豆、そして日本納豆についての文化的な考察をまとめたのが本書である。著者は「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それをおもしろおかしく書く」をモットーとするノンフィクション作家。著書に『謎の独立国家ソマリランド』(本の雑誌社)、『未来国家ブータン』(集英社文庫)などがある。

ドイツに学ぶ科学技術政策

著者:永野博

出版社:近代科学社

要旨(SERENDIP提供)

英国離脱の決定により揺れるEUで、今後の舵取りが注目されるドイツ。近年は科学技術政策の一環として「インダストリー4.0」を打ち出し、さまざまな「つながり」ができる新しい社会システムの構築で世界をリードしている。本書では、「インダストリー4.0」を含むドイツの科学技術政策について、20世紀初頭からのドイツ発展の歴史を追いつつ、特徴的なフラウンホーファー協会などの独立研究機関やそれらを媒介した産学公連携などについて詳細に解説。日本の政策を考える上で示唆を与えるドイツのシステムの特徴の数々を指摘している。著者は文部科学省科学技術政策研究所長、政策研究大学院大学教授などを歴任し、2011年よりOECDグローバルサイエンスフォーラム議長、2015年から慶應義塾大学理工学研究科特別招聘教授および研究・イノベーション学会会長を務める。

「18歳選挙権」で社会はどう変わるか

著者:林大介

出版社:集英社(集英社新書)

要旨(SERENDIP提供)

貧困家庭、奨学金破産、教育格差など、子どもや若者を取り巻く環境にさまざまな深刻な問題が噴出するなか、2016年から「18歳選挙権」制度がスタートした。新たに18歳、19歳の約240万人が有権者になるため、その240万票が社会に与える影響は小さくないだろう。問題は、若者の「政治離れ」が危惧される状況で、どのようにして「10代からの政治参加」を推し進めるべきか。本書の著者は、若者たちに「自分たちが社会の担い手なのだ」ということをしっかりと意識させることが、政治参画への第一歩となり得ると指摘する。本書では、18歳選挙権導入の経緯と問題点、本制度を起爆剤とした若者の政治参画への展望に関して、わかりやすく解説、提言。著者は東洋大学社会学部助教で、「子どもの主権者教育」の第一線の研究者である。

企業の真価を問う グローバル・コーポレートガバナンス

著者:小平龍四郎

出版社:日本経済新聞出版社

要旨(SERENDIP提供)

近年、日本企業の間でも「コーポレートガバナンス(企業統治)」への取り組みが本格化しつつある。しかし、日本では一般的にコーポレートガバナンスはコンプライアンス(法令順守)と同一視されることも多く、本来の意味での普及は、まだこれからともいえそうだ。本書では、アベノミクスの「第3の矢」でもその強化がうたわれ、政府主導で具体的なコード(規定)づくりも行われたコーポレートガバナンスについて、日本での取り組みをはじめ、比較対象として英米・アジアなどの現況、これまでの歴史などについて解説。企業の健全な成長を促し、日本経済再生にも結びつくコーポレートガバナンスの運用について、事例や著者自身の取材、資料に基づき詳細に論じている。著者は日本経済新聞編集委員兼論説委員で、英フィナンシャル・タイムズのリーダーチーム(論説委員会)への参加経験も持つ。

米軍式 人を動かすマネジメント

著者:田中靖浩

出版社:日本経済新聞出版社

要旨(SERENDIP提供)

先の読めない現代のビジネス環境において、旧来のPDCAに代表される管理手法や「人を動かす」戦略がうまく機能していない組織も多いのではないだろうか。米軍は、近年のテロやゲリラ戦に対応し、規律とヒエラルキーの重視から、現場が機動的に動ける自主的な組織運営と戦い方に、大きく方針を変えているという。本書では、そんな現在の米軍の戦い方の主流である「機動戦」のあり方を紹介しながら、それをビジネスに生かす方法を探っている。「動く」個人をつくる米軍の戦略は「OODA」と呼ばれ、本書ではそれをPDCAと比較しながら解説。著者は、さらにそれを実践的にした「D-OODA」という経営手法を提案している。著者は公認会計士で、田中公認会計士事務所の所長を務める。主にスモールビジネスや中小企業の経営サポートに注力している。

捨てられる銀行

著者:橋本卓典

出版社:講談社(講談社現代新書)

要旨(SERENDIP提供)

2013年以降の大規模金融緩和やマイナス金利政策にかかわらず、とくに地方企業において景気回復の実感が乏しいという。それは人口減少だけでなく地方銀行のあり方にも問題があるからではないか。2015年に就任した森信親金融庁長官は、そこにメスを入れる「金融行政方針」を発表。不良債権処理を第一義として仕事をしてきた地銀を、リスクをとって地元企業の成長や事業再生を支援する組織に変える、大胆な改革を進めている。本書では、企業の事業ではなく金利や担保だけしか見ないこれまで通りのやり方では、地銀は顧客から「捨てられる」運命にあることを指摘。森長官の改革の意図するところを読み解きながら、地方創生、ひいては日本経済再生にもつながる銀行のあるべき姿を論じている。著者は共同通信社経済部記者で、金融庁を担当している。

昭和30年代に学ぶコミュニケーション

著者:宮田穣

出版社:彩流社

要旨(SERENDIP提供)

人と人のコミュニケーションのかたちは、電話の発明からLINE、SNSまで、技術の進化や生活スタイルの変遷に沿い、大きく変化してきた。だが、情報を交換したり、感情を通わせたりするコミュニケーションの目的は太古の昔から変わっていないように思われる。本書ではそのコミュニケーションの「変わらない(=不易)」部分、あるいは時代に伴い「変わった(=流行)」部分を、「昭和30年代」のコミュニケーション風景を眺めることで探っている。そして、現代に失われた「良い部分」を見直し、生活とコミュニケーションに上手に取り入れることで、人間としてのバランスをとる方法を提案。著者は相模女子大学人間社会学部社会マネジメント学科教授。東京経済大学大学院に社会人入学し、日本で第1号となる博士(コミュニケーション学)を取得している。

サードウェーブ

著者:スティーブ・ケース

訳者:加藤万里子

出版社:ハーパーコリンズ・ジャパン

要旨(SERENDIP提供)

未来学者アルビン・トフラーは1980年の著書『第三の波』(邦訳は1982年、中央公論新社)で、農業革命、産業革命に次ぐ第三の波を情報革命とし、現代の情報化社会の出現を見事に予言した。本書では、トフラーの第三の波の中にあるインターネット社会にも第一の波、第二の波があり、今は“インターネット時代版”第三の波が押し寄せているところだとする。著者は「第一の波」の担い手としてインターネット黎明期にインフラと土台を築いた企業の一つ、AOL(アメリカ・オンライン)の共同創設者。あらゆる産業のほぼすべての製品・システムがインターネットにつながり、それによって産業自体が大きく変革する「第三の波」においては「第一の波」の時と同様の問題が発生し、それを乗り越えなくてはならないと説く。著者自身のAOLでのかつての経験を紐解きながら、第三の波の中で成功するためのヒントを提供している。著者は現在、投資会社レボリューション会長兼CEO、起業家を支援するケース財団会長を務める。

フレンチの王道

著者:井上旭

聞き手:神山典士

出版社:文藝春秋(文春新書)

要旨(SERENDIP提供)

東京・京橋にある、国内最高級のフランス料理を提供する『シェ・イノ』。1984年に開店して以来30年以上にわたり、政財界の重鎮や芸術家、セレブリティたちの舌をうならせてきた同店を一代で作り上げたオーナーシェフが井上旭(のぼる)さんだ。21歳で渡欧し、フランスの3つ星レストラン『トロワグロ』『マキシム』などで修業を積み、帰国後は銀座『レカン』料理長などを務めた。本書では、日本のフランス料理を本国をはじめ世界と肩を並べるレベルにまで押し上げた井上さんが、自らの遍歴とともに、自らのフランス料理、フレンチレストランへの思い、「伝統と創造」についての考えなどを、余すところなく語り尽くしている。聞き手として背景説明やコメントを添える神山典士さんは、大宅壮一ノンフィクション賞などの受賞歴もあるノンフィクション作家。

日本デジタルゲーム産業史

著者:小山友介

出版社:人文書院

要旨(SERENDIP提供)

1978年に登場したインベーダーゲームの大ブームから、いま隆盛を誇るスマホゲームまでの約40年間、「ゲーム」は、わが国において一大産業を築いてきた。任天堂をはじめとするゲーム企業は、世界市場にも積極的に進出し、マンガやアニメと並びクール・ジャパンの一翼も担う。本書では、そんな日本のゲーム産業の歴史を紐解き、ハードウェア、ソフトウェア、プラットフォームの変遷、興亡の歴史を描き出している。ゲームセンターに置かれたアーケードゲーム、PCゲーム、家庭用ゲーム機、ソーシャルゲームなどそれぞれの技術やビジネスモデルを包括的に詳述するとともに、欧米との比較、規制や違法コピーの問題にも言及している。著者は芝浦工業大学システム理工学部教授で、進化経済学・コンテンツ産業論・社会情報学を専門とする。

ORIGINALS

著者:アダム・グラント

監訳者:楠木建

出版社:三笠書房

要旨(SERENDIP提供)

過去の偉大な発明家、政治家、芸術家、そして成功を収めた起業家たちは、言うまでもなく「他の大多数の人とは違うこと」を行ってきた、「オリジナル」な人たちだ。多くは天才と呼ばれ、生まれつきの才能や、リスクを負うことを躊躇しないあくなきチャレンジ精神をもった「特別の人」とみなされる。だが本書の著者、アダム・グラント氏はそれに疑問を投げかける。彼らのほとんどは生まれながらの天才でも、常に無謀な賭けに出るリスクテイカーでもない、「ふつうの人」だと指摘。むしろ安定した職や地位を保持したまま新しいことに挑んだ方が成功の確率が高いという。本書では、そんな「ふつうの人」が「オリジナル」なことを成し遂げるために何が必要かを、心理学など科学的根拠を示しながら論じている。著者はペンシルベニア大学ウォートン校教授を務める組織心理学者で、ベストセラー『GIVE & TAKE』(三笠書房)の著者。なお、本書の巻頭にはフェイスブック最高執行責任者(COO)、「リーンイン.org」創設者のシェリル・サンドバーグ氏が解説文を寄せている。

2016年6月期

ネット炎上の研究 誰があおり、どう対処するのか

著者:田中辰雄、山口真一

出版社:勁草書房

要旨(SERENDIP提供)

インターネット、とくにSNSをひんぱんに利用する人であれば、いわゆる「炎上」がしばしば起こり、発信する際にはそれを警戒しなければならないことは認識しているはずだ。「炎上」とは、発信した個人あるいは企業等に対し批判や誹謗中傷の書き込みが殺到すること。激しい場合には発信者が精神的に傷つくだけでなく、謝罪などに追い込まれることもある。本書では、この「炎上」現象について定量分析などを用いて実証的に検証。インターネットでの議論の自由を守ることを前提とし、炎上に参加する者の数や比率、どういう人々なのかを明らかにしつつ、炎上を防ぐための策として「サロン型SNS」導入を提案している。なお巻末には「高校生のための荒らし・炎上リテラシー」として、炎上に萎縮することなく情報発信を行うための「炎上リテラシー教育」のひな型が収録されている。著者の田中辰雄氏は慶應義塾大学経済学部准教授、山口真一氏は国際大学グローバル・コミュニケーション・センター助教で、いずれも計量経済学を専門としている。

USJを劇的に変えた、たった1つの考え方

著者:森岡毅

出版社:KADOKAWA

要旨(SERENDIP提供)

テーマパークUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)は2015年の入場者数で「世界のテーマパーク ランキング」の第4位に浮上、東京ディズニーシーを抜き、3位の東京ディズニーランド(TDL)に迫った。単月であればTDLを抜き、集客数日本一となったこともある。2014年にオープンした「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」などが当たり、もっとも落ち込んだ2009年度から2倍近くの1390万人にまで集客を伸ばした。本書では、そうしたUSJの快進撃は、「マーケティング」を重視したことにあるとして、他職種も含むビジネス全般を成功させる方法論としてのマーケティングの基本を解説するとともに、著者の考えるキャリアのあり方について意見を述べている。著者は、P&Gでマーケティングを学び、2010年USJ入社以降、奇跡的なV字回復を成功させた立役者。現在は同社チーフ・マーケティング・オフィサー、執行役員、マーケティング本部長。

空港は誰が動かしているのか

著者:轟木一博

出版社:日本経済新聞出版社

要旨(SERENDIP提供)

報道によれば、日本全国97の空港の多くが経営に問題を抱えており、2013年度は国以外の自治体等が管理する64空港すべての収支が赤字になっている。日本の空港のどこに問題があるのだろう? 本書では、一般には知られていない空港の運営の仕組み、抱える課題について解説するとともに、著者自ら関わった関西国際空港の経営改革の経緯とそこで明らかになった問題点について論じている。日本の空港は、国や自治体、エアラインなどの民間企業などがそれぞれ役割分担しており、官民のバランスをとった難しい運営を強いられているという。著者は国土交通省航空局及び新関空会社において、関空と伊丹空港の経営統合およびコンセッション(運営権の売却)の全プロセスを統括した。現在は株式会社経営共創基盤マネジャー。

ウナギと人間

著者:ジェイムズ・プロセック

訳者:小林正佳

出版社:築地書館

要旨(SERENDIP提供)

「土用の丑の日」の慣習など、日本特有の文化にも深く関わる「ウナギ」。その異彩を放つ外形も相まって、世界では「最もミステリアスな魚」とも呼ばれている。ニュージーランドのマオリ族などポリネシアを中心に神話の主人公として信仰される一方、海中の卵から孵化し、陸地の河川まで何千キロも旅をする回遊魚でもある。また、近年その生息数が著しく減少し、絶滅の危機にあるともされている。本書では、そんなウナギについて、誕生の地とされるサルガッソ海、神話が存在するニュージーランド、豊かな食文化が存在する日本など、世界中を巡りながら探究。人間との関わり、神話性、哲学的な意味などについて自由に考察している。著者は、マス、釣り、自然との関わりの中で出会った人々をテーマとする著書などで知られるライター。自身、自然保護運動にも関係するとともにアーティストとしても活躍している。

The Customer Journey

著者:加藤希尊

出版社:宣伝会議

要旨(SERENDIP提供)

IT化、グローバル化の波が市場を席巻し、消費者の意識や嗜好、価値観は多様化し、常に変化している。言うまでもなく各企業は、そのますます加速する変化に対応していかなくてはならない。そのような状況下では、顧客一人ひとりがブランドや商品をどのように認知し、購入、体験に至るかを把握し対応することが求められる。こうした顧客がブランドや商品に接する一連のプロセスが「カスタマージャーニー」である。本書では、独自の調査から見えてきた各企業に共通する三つの課題「スマート化」「コモディティ化」「人口減少」を明らかにするとともに、それらの対策となるカスタマージャーニーの描き方、コンセプトのつくり方等を、30社の事例を紹介しながら論じている。著者はプロフェッショナル・マーケターとして活躍するとともにトップマーケターのネットワーク「JAPAN CMO CLUB」を宣伝会議と一緒に立ち上げ、運営にあたっている。

運が99%戦略は1% インド人の超発想法

著者:山田真美

出版社:講談社(講談社+α新書)

要旨(SERENDIP提供)

紀元前2000年頃に栄えたインダス文明から連なる悠久の歴史をもち、現代では世界第2位となる約13億の人口を有するインド。多様な民族がひしめく複雑な国家であり、20年で驚異的な経済成長を遂げた新興国でもある。仏教の起源として、文化的に日本と決して浅くないつながりがあるものの、インド人の国民性や価値観、行動様式について正しく理解している日本人は少ないのではないだろうか。本書では、36年にわたりインドとインド人に深く関わってきた著者が、インド人のものの考え方や価値観について、日本との違いに言及しながら多面的に解説している。インドの根幹には古代から続く精神風土に根ざした思考法があり、それが同国及び同国民の強みになっているという。著者は、インド工科大学客員助教授、公益財団法人日印協会理事を務め、「ブリタニカ国際年鑑」のインドの内政・経済・外交記事を担当している。

データサイエンティストが創る未来

著者:スティーヴ・ロー

訳者:久保尚子

出版社:講談社

要旨(SERENDIP提供)

「ビッグデータ」時代の到来が叫ばれはじめてしばらく経つ。ビッグデータに精通し、そこから知見を引き出し意思決定につなげる「データサイエンティスト」による成果が、人工知能(AI)との組み合わせなども含め、少しずつ現れはじめている。本書では、医療をはじめさまざまな分野でのビッグデータ活用、データサイエンティストたちの声などを紹介しつつ、人間がデータとどう向き合うべきか、データ中心の考え方(データ・イズム)が社会をどのように変えていくのか等について多角的に論じている。著者は20年以上にわたりビジネス、経済、テクノロジー分野で執筆活動を続ける『ニューヨークタイムズ』記者。

ポートランド 世界で一番住みたい街をつくる

著者:山崎満広

出版社:学芸出版社

要旨(SERENDIP提供)

近年、米国西海岸オレゴン州の「ポートランド」という人口約62万人ほどの都市が注目を集めている。シアトルとサンフランシスコの間に位置する緑豊かなこの市は、サステイナブル(持続可能)な環境先進都市、コンパクトシティをめざし、それを見事に実現した、言わば「まちづくり」のモデル都市なのだ。洗練された文化があり、クリエイティブな才能が集まるこの街は10年連続で「全米一住みたい街」に選ばれている。本書では、この地に惚れ込み移住、ポートランド市開発局(PDC)で仕事をする著者が、同市の魅力、都市計画・開発の経緯、市民参加の仕組み、ビジネス支援などを紹介、解説している。著者は1995年に渡米し南ミシシッピ大学大学院を修了、PDCには2012年3月にビジネス・産業開発マネージャーとして入局、同年10月から国際事業開発オフィサーを務めている。

富士山大噴火と阿蘇山大爆発

著者:巽好幸

出版社:幻冬舎(幻冬舎新書)

要旨(SERENDIP提供)

3.11以降、御岳山噴火、熊本地震と立て続けに日本の地盤が揺れている。日本列島は「活動期」に入ったといわれ、富士山噴火を予言する専門家の声もある。しかし、著者はそれらの多くが、科学的根拠がないままに流布されているものだと指摘。一方、300年以上も沈黙を続ける富士山はいつ噴火してもおかしくない「活火山」であり、さらには日本有数の巨大火山である阿蘇山が噴火した場合、富士山噴火より遙かに甚大な被害を及ぼす可能性があると警鐘を鳴らしている。本書は豊富なデータをもとに噴火の可能性とメカニズムについて徹底解説。著者は神戸大学大学院理学研究科教授で、2012年には米国地球物理学連合(AGU)N.L.ボーエン賞を受賞したマグマ学の第一人者である。

デジタル・ジャーナリズムは稼げるか

著者:ジェフ・ジャービス

訳者:夏目大

監修・解説:茂木崇

出版社:東洋経済新報社

要旨(SERENDIP提供)

インターネットの登場によって、新聞・雑誌、テレビ・ラジオなど旧来の“アナログ”のマスメディアは部数や視聴率・聴取率の低下に苦しみ、危機に瀕していると言われる。そうしたメディアで活躍していたジャーナリストたちは、従来とは勝手が異なるデジタルメディアの登場によって、新しいジャーナリズムの模索を強いられることとなった。本書では、これまでの少数の送り手が多数の受け手に情報を送るかたちから、デジタルな手段により多数の情報の送り手が存在する現代において、あるべきジャーナリズムのビジネスモデルを探っている。それは、従来の記事の形態にとらわれず、ジャーナリストとコミュニティの成員が共にコンテンツを作り上げていくものだという。著者はニューヨーク市立大学大学院ジャーナリズム学科教授で、同大学院起業ジャーナリズム・タウ・ナイト・センター所長も務めている。

ロケット・ササキ

著者:大西康之

出版社:新潮社

要旨(SERENDIP提供)

日本の電子産業は、半導体やLSI、それを搭載した電卓、液晶技術などでかつて世界を席巻した。終戦後からPC・スマホ全盛の現代まで、これらの技術をリードし、影響を与え続けた伝説の人物が、佐々木正氏だ。台湾で育ち、戦中は軍需産業に手を染める。戦後、神戸工業を経て早川電機(後のシャープ)に入社し、同社を日本を代表する電機メーカーの一つに育て上げた佐々木氏は、スピーディな行動力と世界に張り巡らされた豊かな人脈、そして「共創」の精神によるイノベーションで電子立国日本を牽引。さらにソフトバンク創業前の孫正義氏を見出し、創業のための資金調達を手引きした孫氏の「大恩人」としても知られる。本書はそんな佐々木氏の波乱万丈の足跡を辿った評伝である。著者は元日経記者のジャーナリスト。著書に『稲盛和夫 最後の闘い』『会社が消えた日』などがある。

「ひと粒五万円!」世界一のイチゴの秘密

著者:白石拓

出版社:祥伝社(祥伝社新書)

要旨(SERENDIP提供)

日本の農業がさまざまな問題を抱えていることは否めないだろう。TPP(環太平洋パートナーシップ)をめぐる動向も、当事者たちの危機感を駆り立てているようだ。そんな中、大規模化農業の模索、農業協同組合の改革など数々の課題をよそに、独自の工夫で成功している農家たちも存在する。本書で紹介される奥田美貴夫さんもその一人だ。岐阜県羽島市にて夫婦でイチゴづくりをしている零細農家だが、独自に開発した品種「美人姫」が大評判となった。50歳にして農協を離れ、贈答用の最高級品はひと粒の売価5万円にもなる美人姫とその加工物について、自ら生産、加工、販売をすべて手がける。本書では、その成功ストーリーを追いながら、日本農業のこれからを考える上でのヒントを提供する。なお、本書では比較対象として、石川県の「ひと房100万円のブドウ」の開発プロセスも紹介されている。著者は幅広いジャンルで活躍する科学ジャーナリスト。

世界の不思議な音

著者:トレヴァー・コックス

訳者:田沢恭子

出版社:白揚社

要旨(SERENDIP提供)

私たちを取り巻く環境には一部の例外を除き、必ず「音」が存在する。人間は耳を閉じることができないので、私たちは意識するしないに関わらず、常に音を聞いていることになる。「THE SOUND BOOK」を原題とする本書は、文字どおり「音の本」だ。風や川のせせらぎのような自然の環境音、話し声、生物の鳴き声、音楽など、あらゆる「音」と音響、あるいは「静寂」について、音響工学だけでなく、心理学、生物学、文化、芸術などさまざまな角度から検証。英国マンチェスターにあるソルフォード大学の音響工学教授である著者は、世界中の珍しいサウンドスケープ(音の風景)を求めて旅をし、そこに存在する音(あるいは無音)について、これまでの研究成果を交えながら考察している。なお、https://soundcloud.com/sonicwonderlandで、著者が紹介する“音の驚異”を聴くことができる。

2016年5月期

超訳 武士道

著者:松本 道弘

出版社:プレジデント社

要旨(SERENDIP提供)

グローバリゼーションが進む現代社会では、個々が自国のアイデンティティを再確認し、それを他国の人々に発信する必要があるだろう。異文化交流の中でそれが相互理解のもととなり、信頼を得ることにもつながる。日本人のアイデンティティの源流の一つといえるのが「武士道」だ。江戸時代に確立した武士階級の倫理・道徳基準であり、明治時代に新渡戸稲造が英語で『BUSHIDO』を著したことで世界にも広められた。本書は、その『BUSHIDO』のエッセンスを現代人にもわかりやすいように“超訳”した武士道解説書である。武士道にまつわる83のトピックスを抽出。それぞれに著者オリジナルの日本語と英語による解説文が付されており、国際ビジネスや異文化交流の場で日本の文化や日本人の精神を伝えるのにも役立つ構成となっている。著者は、日商岩井、アメリカ大使館同時通訳者などを歴任し、現在は国際ディベート学会会長、私塾「紘道館」館長を務める。

バイトを大事にする飲食店は必ず繁盛する

著者:大久保 伸隆

出版社:幻冬舎(幻冬舎新書)

要旨(SERENDIP提供)

飲食業界は激しい競争により売上が伸び悩み、さらにブラックバイトの問題も重なり、採用不況にもあえいでいる。そんな中、「塚田農場」にだけはアルバイトが集まり、同時に客が「並んででも入りたい」居酒屋チェーンとして、売上は2015年度3月期には192億3500万円と成長を続けている。その秘密は「アルバイトは、従業員であると同時に、大事なお客さまである」と考え、アルバイトを精神的かつ経済的に満足させる独自の経営理念によるものであった。2008年に「塚田農場錦糸町店」の店長に抜擢され、4年連続年商2億円を達成し、30歳にして取締役副社長に就任した大久保伸隆氏が、店長時代に編み出し現在も実践する、アルバイトのやる気を引き出し、顧客のリピート率を上げることができる経営モデルのすべてを明らかにしている。

「つくす」若者が「つくる」新しい社会

著者:藤本 耕平

出版社:KKベストセラーズ(ベスト新書)

要旨(SERENDIP提供)

2016年夏の参議院選挙から選挙権年齢が引き下げられ、18歳以上20歳未満の「若者」たちが投票行動で政治に参加する。そのこともあり、現代の若者の意識や価値観、行動を知ろうとする機運が高まっている。そんな中、2015年3月出版の著書で現代の若者を形容するワードとして、従来の「ゆとり」「さとり」に代わる「つくし世代」を提示したのが藤本耕平氏だ。同著者による本書では、情報感度の高い大学生で構成される若者研究組織「ワカスタ」とともに生み出した「つくし世代」の行動と価値観をさらに掘り下げ、彼らが未来に向けてどのような社会をつくろうとしているのか、彼らの潜在能力を引き出すにはどうしたらいいかを探っている。著者は広告会社アサツー ディ・ケイ(ADK)で企業の戦略マーケティングに関わり、2010年から若者プロジェクトリーダーとして研究活動を行っている。前著は『つくし世代「新しい若者」の価値観を読む』(光文社新書)。

通勤の社会史

著者:イアン・ゲートリー

訳者:黒川 由美

出版社:太田出版

要旨(SERENDIP提供)

世界中の多くの社会人が月曜から金曜までの毎日、ほぼ決まった時間に行っているのが「通勤」である。一定の時間を割かれるとともに、手段とタイミングが合わなければ混雑に見舞われ、体力を消耗する。そんな、必要悪とも見なされがちな通勤だが、働き手を職場まで移動させる以外に、どんな意義が見出せるのか。本書では、19世紀に英国の鉄道ブームで始まった「通勤」の現在・過去・未来を論じながら、都市化やライフスタイルの変化、職業選択自由の獲得など、「通勤」が私たちにもたらしたさまざまな影響を分析している。さらに、「通勤大国」日本をはじめとする各国の事情、ストレス源になるか否か、駅員や車掌、運転手の心理、将来通勤は必要なくなるかなど、ありとあらゆる角度から「通勤」に迫っている。著者は、金融関係の仕事の経験をもつ英国人ジャーナリスト、ライター。

経済で読み解く明治維新

著者:上念 司

出版社:KKベストセラーズ

要旨(SERENDIP提供)

歴史の教科書や一般的なイメージ上の「江戸時代」は、身分制度のもと、貧しい農民が厳しく年貢を取り立てられるなど苦しい生活を送っている、といったものだろう。だが、本書の著者は、それは明治新政府が自らの“統治の正当性”を国民に浸透させるために植えつけた、自虐的な「貧農史観」であると指摘する。実際には、江戸時代に日本経済は飛躍的な発展を遂げ、貨幣制度、物流システム、市場経済まで、当時のヨーロッパ諸国にも見劣りしなかったのだという。なぜこの高い経済力を徳川幕府は生かせなかったのだろうか? 本書では、幕藩政治の限界や明治維新の必然性を説きながら江戸時代の社会経済を分析、“歴史の常識”の見直しを図っている。著者は経済評論家。2007年に勝間和代氏と株式会社「監査と分析」を設立し、代表取締役を務める。

下り坂をそろそろと下る

著者:平田 オリザ

出版社:講談社(講談社現代新書)

要旨(SERENDIP提供)

司馬遼太郎の小説『坂の上の雲』には明治時代の「開花期」という坂を上る日本の姿が描かれている。その後も日本は戦後復興・高度成長というもう一つの急坂を上りきった。現在をその坂を下る「衰退期」とし、どうやって「そろりそろりと下る」か、著者の考えを綴ったのが本書である。著者自身の、香川県善通寺市にある四国学院大学の学長特別補佐として、また小豆島町など同県内の自治体の教育政策・文化政策への協力、各地での子どもたちを対象とした演劇ワークショップなどの経験をもとに、「文化資本」を育てることの重要性を強調。それをもとに、「寛容と包摂の社会」をつくることが、「坂をゆっくり下る」ために必要であるとする。著者は、劇団「青年団」を主宰する、日本を代表する劇作家の一人。現在、東京藝術大学COI研究推進機構特任教授、大阪大学コミュニケーションデザイン・センター客員教授。

成城石井の創業

著者:石井 良明

出版社:日本経済新聞出版社

要旨(SERENDIP提供)

かつて「高級スーパーマーケット」の一つとして名を馳せ、惣菜販売、深夜営業、ワイン直輸入、デパ地下、駅ナカ展開など業界の先駆けとなる新ビジネスを次々と成功させた「成城石井」。その成功の元となった確固たるブランドは、どのようにして築かれたのか。本書では、家業の石井食料品店を継ぎ、スーパーマーケット「成城石井」を創業、2004年に代表取締役を退くまでに、人気チェーンに育て上げた著者が、その経緯や自らの戦略について詳細に語っている。同社のブランドは、徹底して「品質の良いもの」を提供すべく努力を続けたことにあった。著者は、現在数社の社外取締役を務めるほか、起業家を支援する活動「メンター三田会奨学金」の代表などを務める。成城石井は著者が退く際に売却され、さらに2014年にはコンビニ大手のローソンが買収している。

ハーバードの人生が変わる東洋哲学

著者:マイケル・ピュエット/クリスティーン・グロス=ロー

訳者:熊谷 淳子

出版社:早川書房

要旨(SERENDIP提供)

私たちは、仕事や人間関係において、西洋の価値観に基づいて行動しがちだ。たとえば、「本当の自分」を見つけて、それに忠実な生き方を見つけるべきだと考える。ところが実は、それが逆に私たちの枷になっていることが多い。本書では、東洋哲学の思想や価値観を取り入れることで、固定化された常識を覆し、人間関係を改善したり、自分の生き方を変えられることを示している。取り上げられているのは、古代中国の思想家たち、孔子・孟子・老子・荘子・荀子らの言葉を編纂した著作。それらにつづられている思想をいかに現代の私たちの日常生活に活かせるか、ハーバード大学東アジア言語文明学科の中国史教授であるマイケル・ピュエット氏が、身近な事例などを交えながら紹介、解説している。同教授によるハーバードの学部授業「古代中国の倫理学と政治理論」は学内3位の履修者数を誇る。共著者のクリスティーン・グロス=ロー氏は、ウォール・ストリート・ジャーナルなどに寄稿するジャーナリスト。

未来から選ばれる働き方

著者:神田 昌典/若山 陽一

出版社:PHP研究所(PHPビジネス新書)

要旨(SERENDIP提供)

景気低迷が続いた20年間で、働き方や会社の在り方は大きく変わった。会社という安定した枠の中で仕事の成功や個人の幸福実現をめざす、といったストーリーは描ききれなくなった。これからは自らの絵を描くキャンバスをまず自分で用意しなくてはならない。そしてそのキャンバスを組織の力を使って広げていく必要がある。これからは、そのように自らキャリアを切り拓いていく力が問われる、というのが本書の著者二人に共通する認識だ。本書では、その前提のもと対論形式により、今までの「働く」という概念を一変する驚きの未来を予測。その未来に備えるのに必要な革新的な取り組みについて語っている。著者は「日本のトップマーケター」に選出された経営コンサルタントの神田昌典氏と、「正社員として雇った社員を派遣する」という信念のもと、製造業派遣業界の先頭を走るUTグループ株式会社代表取締役社長兼CEOの若山陽一氏。

日本人の知らないHONDA

著者:ジェフリー・ロスフィーダー

訳者:依田卓巳

出版社:海と月社

要旨(SERENDIP提供)

日本を代表する自動車メーカーを数社挙げたときに、トヨタ、日産と並び必ず名前が出るのがホンダ(本田技研工業)である。1946年に本田宗一郎によって創業された同社は、エンジンやオートバイでは世界一の実績を上げているほか、数々の独創的モデルや新技術を投入し高い評価を受けている。海外では、トヨタについてはリーン生産方式などで注目され、書籍や研究論文などが多数発表されている。だが、ホンダについては、その実績に比して知られていない。本書では、米国人のベテランジャーナリストがホンダを徹底研究。関係者への取材や膨大な資料をもとに、本田宗一郎の足跡や「三つの原則」、多国籍企業としての戦略など、さまざまな角度から同社の独自性と成長の秘密に迫っている。

ヤンキーの虎

著者:藤野 英人

出版社:東洋経済新報社

要旨(SERENDIP提供)

日本では人口減少、少子高齢化が進み、とくに地方の衰退が大きな社会問題としてクローズアップされている。だが一方で、地方に根を張り、多角的な事業を展開し、成功している経営者が多数存在するという。ファンドマネジャーとして活躍する本書の著者は、仕事でさまざまな地域を訪れる中で、そうした地方の成功者たちがいることを知り、彼らを「ヤンキーの虎」と名づけた。本書では、その「ヤンキーの虎」たちの実像に迫り、成功したビジネス手法を分析。さらに、彼らの躍進が地方経済の未来にどのような影響を及ぼすか等について論じている。著者はレオス・キャピタルワークス代表取締役社長・最高投資責任者。ベンチャーキャピタリストとしても実績を上げている。

キリンビール高知支店の奇跡

著者:田村 潤

出版社:講談社(講談社+α新書)

要旨(SERENDIP提供)

気軽に飲めるアルコール飲料として日本人に親しまれてきたビール。国産ビールについては、キリンビールが長らくトップシェアの座を守り抜いていたが、2001年にアサヒビールに明け渡すことになる。それから8年後の2009年にキリンは再び首位奪回を果たすが、そのときに同社代表取締役副社長兼営業本部長として全国本支店の指揮をとったのが本書の著者、田村潤氏だ。そして同氏の「闘い方」の原点は、1995年にほぼ左遷のようなかたちで赴任した高知支店支店長の経験にあった。本書では、同支店赴任後わずか2年半で業績を反転させた実績をつくった営業の考え方、具体的な戦略を経緯を追いながら明らかにするとともに、その後の著者の「より大きな舞台」での行動と実績を描いている。著者は2011年に退職、現在は「100年プランニング」代表として営業テクニックの講演などを行っている。

2016年4月期

ほとんどの社員が17時に帰る10年連続右肩上がりの会社

著者:岩崎 裕美子

出版社:クロスメディア・パブリッシング

要旨(SERENDIP提供)

仕事とプライベートライフをともに充実させる「ワーク・ライフ・バランス」、女性が安心して働きキャリアアップできる環境づくりについては、政策上、あるいは民間における取り組みが進められている。しかし実態は、他の先進国に遅れをとっていると言わざるを得ない。そんななか「ほぼ残業ゼロ」「社員の半数以上がママ社員」といった理想的な職場環境を実現しつつ、「創業以来10年連続で売り上げ右肩上がり」を達成している日本企業がある。東京・銀座に本社を構える、従業員43名の化粧品会社「ランクアップ」だ。本書では、同社の創業者の一人で代表取締役を務める著者が、現在の「理想の職場」を実現するまでを、具体的な施策や壁にぶつかった経験などを含めて明かしている。

60歳で家を建てる

著者:湯山 重行

出版社:毎日新聞出版

要旨(SERENDIP提供)

現在50代~60代前半の人々は、アメリカンカルチャー全盛期の70年代に青春を過ごし、ライフスタイルへのこだわりが強い世代である。それだけに、彼らがリタイアを迎えるときには、家にも新しい視点が必要になってくるはずだ。そこで、同世代の建築家である著者が「60歳になって本当に自分が住みたいと思える家とは?」「もっとポジティブに人生を楽しむには?」と考えて出した答えが、アメリカ映画に出てきそうな、シンプルなフラットハウス(平屋)である。「60(ロクマル)ハウス」と名づけたこの家は、老後に暮らしやすいだけではなく、人生を積極的に楽しみ、自宅にいながらヴァカンス気分を味わえる家でもある。その「60ハウス」のアイデアとともに、身の丈サイズの家で、第2の人生をもっと面白く、もっと快適に歩んでいくためのヒントが語られている。

トヨタの強さの秘密

著者:酒井 崇男

出版社:講談社(講談社現代新書)

要旨(SERENDIP提供)

2016年3月期に売上高が過去最高となる27兆5000億円に達したトヨタ自動車。国内トップ、世界でも製造業に限ればアップルと世界一の座を争う、圧倒的に“強い”グローバル企業である。同社は以前からカンバン、カイゼンなどの「トヨタ生産方式(TPS)」で知られており、世界中の企業がそれを研究してきた。だが、トヨタの本当の強みはそこにあるのではない、と本書の著者は指摘する。それは「トヨタ流製品開発(TPD)」だという。今、日本以外の先端企業がこぞって取り入れようとしているのが、トヨタで1950年代から導入されているTPDであり、そのシステムである「主査制度」の考え方だというのだ。本書では、TPSの陰に隠れ、これまでなかなか紹介されることのなかったTPDについて詳細に説明し、企業経営におけるその可能性を探っている。著者はグローバル・ピープル・ソリューションズ代表取締役。コンサルタントとして、リーン開発・製品開発組織のタレント・マネジメントについて、国内外で講演・指導を行っている。

天草エアラインの奇跡。

著者:鳥海 高太朗

出版社:集英社

要旨(SERENDIP提供)

現在、日本国内を定期路線運航する航空会社はLCC(格安航空会社)を含めると20社近くに上る。その中でもっとも小さい航空会社が「天草エアライン」だ。熊本県西、有明海の島々からなる天草市・天草空港を拠点に、天草-熊本、天草-福岡、そして熊本-大阪(伊丹)の3路線を、たった1機の飛行機で運航している。かわいいイルカの親子が描かれた飛行機をメディアなどで見たことのある人も多いのではないだろうか。今では「観光エアラインとして地方活性化の突出した成功例にも挙げられる天草エアラインだが、かつては倒産寸前まで追い込まれていた。本書では、そんな状況から奥島透前社長のもと大改革を進め、5年連続黒字のV字回復を果たすまでの軌跡を中心に、同社の奮闘ぶりを描いている。著者は航空・旅行アナリスト。

中央銀行が終わる日

著者:岩村 充

出版社:新潮社

要旨(SERENDIP提供)

ネット決済ツールとして急速に存在感を増してきた「ビットコイン」をはじめとする仮想通貨。これらの仮想通貨は既存の金融システムにどんな影響を与えるのか。また、行き詰まった中央銀行の金融政策に代わる方法論はあるのか。本書は、ビットコインを支える暗号技術とブロックチェーン技術の構造を詳細かつ平易に解説するとともに、経済史および通貨史の流れの中における仮想通貨の果たす役割、既存の金融システムへの影響を考察、さらには今後の金融システムのあり方として、銀行券のデジタル化による新たな通貨システムを提唱している。著者は日本銀行企画局出身の経済学者で、早稲田大学大学院(ビジネススクール)教授。貨幣の過去を振り返ることで現在の通貨システムを考察した『貨幣進化論』(新潮社)で注目を集めた。

Who Gets What(フー・ゲッツ・ホワット)

著者:アルビン・E・ロス

訳者:櫻井 祐子

出版社:日本経済新聞出版社

要旨(SERENDIP提供)

ヒト、モノ、カネの移動を伴う何らかの取引が行われる「市場」では、需要と供給が釣り合うことは稀だ。商店で食料を買うような、コモディティ(汎用品)市場では、需要と供給は「価格」で調整される。しかし、大学受験や就職、あるいは臓器移植などで、限られた資源を適切に配分するには価格以外の要素が絡むために「マッチング」が必要となる。本書では、そうしたマッチングが求められる市場(マッチング市場)を効率的かつフェアに運営するための手法(マーケットデザイン)について、著者が手がけたものを含むさまざまな事例を紹介しながら論じている。著者はゲーム理論やマーケットデザインの分野で世界をリードする経済学者。全国研修医マッチングプログラムや腎臓交換プログラムをデザインした実績があり、2012年にはノーベル経済学賞を受賞した。

これからの世界をつくる仲間たちへ

著者:落合 陽一

出版社:小学館

要旨(SERENDIP提供)

改めて言うまでもなく、コンピュータやインターネットは人類の社会のあり方やビジネス、個々人の生き方を大きく変えた。そして人工知能の進化などにより、これからの世界はさらなる大きな変化にさらされることになる。メディアで「現代の魔法使い」と称される1987年生まれの本書の著者は、現代が、かつての世界の大多数が均質なものを消費する「映像の世紀」から、個別に多様な世界が体験できる「魔法の世紀」に移行していると指摘。そして、ITが当たり前の環境である「デジタル・ネイチャー」の時代に、コンピュータと人間がどのように“文化交流”をしながらつき合っていくべきなのかを提言する。著者は筑波大学助教で、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)から「スーパークリエータ」にも認定されたメディアアーティスト。BBC、CNN、TEDxTokyoなどメディアにも多数出演している。

「0から1」の発想術

著者:大前 研一

出版社:小学館

要旨(SERENDIP提供)

現代では、ITを中心に個人の起業アイデアが世の中の価値観を一変させることがしばしば起こる。また、日本では雇用の流動化が進み、ますます組織に頼らない「個人」としての力をつけることが重要になってきている。そんな時代の「個人」に必要となるのが、「無」から「有」を生み出す「発想力」だ。本書では、その発想力を育む著者オリジナルの“大前流”思考法を指南。基本となる11の発想法に加え、「感情移入」「横展開」など実践的な4つの発想法を紹介し、どんなビジネスにも応用できるヒントを提供している。著者は、世界の大企業やアジア・太平洋における国家レベルのアドバイザーとして活躍する傍ら、ビジネス・ブレークスルー(BBT)代表取締役、BBT大学学長を務め、次代を担う人材の育成に力を注いでいる。

2016年3月期

「世界」で働く。

著者:金城 拓真

出版社:日本実業出版社

要旨(SERENDIP提供)

グローバルに活躍する起業家と聞くと、多くの人がシリコンバレーなど、欧米でチャンスをつかむ若者を思い浮かべるのではないだろうか。だが本書の著者は違う。活躍のフィールドをアフリカに求め、今では途上国9カ国で50社以上を経営する「アフリカン・ビジネスの第一人者」の一人として知られる海外起業家だ。本書では、欧米とはまったく異なるビジネスルールのもと、苦労しながら泥臭いビジネスを続けてきた経験から身につけた仕事の考え方を披露。現地独特の商習慣や価値観、行動傾向を紹介するとともに、その時々にどのような思考をもって対応し行動すればいいのかを判断するための原則をわかりやすく解説している。著者は現在、アフリカで年商数百億円の企業グループを経営するほか、タンザニアの農業大学の理事、沖縄民間大使なども務める。

ルポ 塾歴社会

著者:おおたとしまさ

出版社:幻冬舎(幻冬舎新書)

要旨(SERENDIP提供)

日本の小学生から高校生までの「学習」において、「塾」の存在は大きい。東京大学(東大)をはじめとする難関大学をめざす学力上位層も例外ではない。今、エリート予備軍である彼ら彼女らの多数が通うのが「サピックス小学部」と「鉄緑会」だ。サピックスで中学受験対策をして東大合格者ランキング上位を占める「名門校」に入学、そしてそうした名門校を「指定校」として優先入塾させる鉄緑会で、中高一貫の6年間大学受験対策をして難関大学に合格する「王道」ができているのだという。本書は、この二つの塾や「名門校」などの取材を通して、こうした日本特有の「塾歴社会」の実態を明らかにし、日本の教育、そして日本社会に対し問題提起を行っている。著者は育児・教育を専門とするジャーナリスト。自身も「名門校」である麻布中学・高校の出身であり、私立小学校での教員経験もある。

カルチャロミクス

著者:エレツ・エイデン/ジャン=バティースト・ミシェル

訳:阪本 芳久

出版社:草思社

要旨(SERENDIP提供)

巨大な量のデータを高速のコンピューターで解析することで新たな知見を見出す「ビッグデータ」が登場したことで、これまで不可能とされてきた新しい研究が続々と生まれてきている。本書のテーマである「カルチャロミクス」もその一つ。曖昧でとらえどころのない「文化」の変化をビッグデータを用いて定量化する試みであり、著者の二人は本書刊行までの10年間にわたりその研究に取り組んできた。その手法は、グーグルの「グーグル・ブックス」を用いるもので、デジタル化された膨大な書籍の中で使われている語句の数をデータとして処理するというものだ(著者らがグーグルと共同開発したツール「Nグラム・ビューワー」はhttps://books.google.com/ngrams/に公開されている)。本書では、豊富な分析事例を交えながら、この新たな人文科学研究の可能性を探っている。著者のエイデン氏はベイラー医科大学助教、ミシェル氏はデータ科学企業クオンティファイド・ラボ創設者でハーヴァード大学準研究員。

ラグビー日本代表を変えた「心の鍛え方」

著者:荒木 香織

出版社:講談社(講談社+α新書)

要旨(SERENDIP提供)

アスリートはもともとメンタルが強いと思っている人が多いが、決してそんなことはない。それはワールドカップで南アフリカに勝利し、「歴史を変えた」ラグビー日本代表も変わらない。彼らの大活躍の裏には、フィジカルと同時にメンタルを鍛え上げていった相当に長い時間が存在していたのだ。本書は、ラグビー日本代表を変えたメンタルスキルを秘話とともに紹介しており、最新のスポーツ心理学から導き出された「メンタルの鍛え方」は、アスリートだけでなく一般社会で働く人にも役立つ内容となっている。著者はエディ・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)に請われて、2012年から2015年までラグビー日本代表チームを担当したメンタルコーチ。スポーツ心理学を学び、ノースカロライナ大学大学院グリーンズボロ校で博士課程を修了している。

CT(授業協力者)と共に創る劇場型授業

著者:筒井 洋一/山本 以和子/大木 誠一

出版社:東信堂

要旨(SERENDIP提供)

大学の授業というと、多くの人は階段状になった大教室で教授が一方的に話をする、といったイメージを思い浮かべるのではないだろうか。あるいは、少人数のディスカッションを主としたゼミのようなスタイルかもしれない。いずれにしてもそれらの授業が行われている教室にいるのは、教員と学生のほか、TA(ティーチングアシスタント)など学内の人間のみである。だが、本書著者の一人、京都精華大学人文学部の筒井洋一教授が実践する授業には、多数の「学外者」が参加している。彼らは単なる傍観者ではなく、積極的に授業に関わり、教員、学生と共に授業を「創って」いる。本書では、そんな筒井教授による「劇場型授業」の実践について、当事者の声を交えながら関係者たちが論じている。その論考は大学のみならず、ビジネスにおけるファシリテーション等にも重要なヒントを与えるものでもある。

モノ造りでもインターネットでも勝てない日本が、再び世界を驚かせる方法

著者:三品 和広 + センサー研究会

出版社:東洋経済新報社

要旨(SERENDIP提供)

1980年代の日本製品は欧米を上回る高い国際競争力を誇っていたが、今は見る影もないと言わざるを得ない。米国は自ら構築したインターネットを武器にイノベーションを続け、今や圧倒的優位に立っている。次世代に向けても、ドイツが「インダストリー4.0」、米国が「インダストリアル・インターネット」を掲げるなど、対応が遅れる日本を尻目にさらに水をあけようとしている。そんな状況を打開すべく本書では、インターネットに代わる、あるいは補完する新たなネットワーク「センサーネット」を日本主導で構築することを提言。20世紀初頭からの米国の産業戦略の歴史を振り返り、それに学びつつ欠陥や弱点を補正するコンセプトと具体的戦略を論じている。著者の三品和広氏は、神戸大学大学院経営学研究科教授。センサー研究会とは、2013年に日本政策投資銀行内で立ち上がった研究会である。

アテンション

著者:ベン・パー

訳:依田 卓巳/依田 光江/茂木 靖枝

解説:小林 弘人

出版社:飛鳥新社

要旨(SERENDIP提供)

現代社会では、実に多様な商品やサービス、情報があふれかえり、新商品のサイクルもますます短くなっている。企業にとって、そんな状況で多くの人の「注目」を集め、「ヒット」を生み出すのは至難の技といえる。本書がテーマとするのは、その「注目(アテンション)」のメカニズムだ。著者は自身による調査や経験をもとに「注目」を分析し、「点火(即時)」「藁火(短期)」「焚き火(長期)」の三つの段階、「自動」「フレーミング」「破壊」「報酬」「評判」「ミステリー」「承認」という七つの「トリガー(引き金)」を示す。ビジネス上および日常生活上で「注目」されるための戦略を描く貴重なヒントを提供している。著者はシリコンバレーの戦略ベンチャーキャピタルDominateFundの共同創業者およびマネージング・パートナー。

救急医 驚異の判断力

著者:角 由佳

出版社:PHP研究所

要旨(SERENDIP提供)

大病院の救命救急センターなどに勤務し、急病人や事故・災害などの被害者の治療や救命処置にあたる救急医。他の医師よりも、スピーディで正確な判断と行動力、また、常に人の生死に関わるため、精神的なタフネスも要求される職種だ。本書では、現役のベテラン救急医である著者が、これまでの経験や、どういったことを考えながら患者や家族、後輩の医師たちと接し、日々仕事をしているのかを詳しく語っている。そこからは救急医として、あるいは医師としてのあるべき姿、死生観などのほか、救急現場で必要とされる素早い判断力、迅速かつ機能的に行動するチームワークを生み出すために必要なことを学ぶことができる。著者は順天堂大学医学部附属浦安病院救急診療科先任准教授。附属池田小事件、福知山線脱線事故、毒入り餃子事件など、さまざまな事件・事故にも救急医として携わった。

本物の英語力

著者:鳥飼 玖美子

出版社:講談社(講談社現代新書)

要旨(SERENDIP提供)

現在日本政府は「グローバル人材」の育成を重要課題として推進しており、その中核に、今や世界語といえる「英語」の教育を置いている。だが、以前から英語を苦手とする日本人は多く、ネイティブ・スピーカーや、英語を自在に操れる日本人との間に「英語格差」が生まれていると、本書の著者は指摘する。そのため、中身がいくら立派であっても英語ができないために尊敬されない、若者の場合は就職がままならず、多くの日本人が自信を失っている現状がある。本書では、そんな「英語の壁」を克服し、前を向くための効果的な英語学習法を具体的に紹介している。それは、ネイティブの発音を目指さない、文法や訳読を重視するなど、これまでの英語学習の定石とは異なるメソッドである。著者はNHK「ニュースで英会話」監修およびテレビ/ラジオ講師を務めながら、日本人の英語教育について発信を続けている。

新宿駅はなぜ1日364万人をさばけるのか

著者:田村 圭介/上原 大介

出版社:SBクリエイティブ(SB新書)

要旨(SERENDIP提供)

東京の「新宿駅」では、1日でドイツの首都ベルリンの人口とほぼ同数の364万人もの人が乗り降りする。これは「乗降客数世界一」としてギネスブックにも記録されている。だが、それでいて同駅は、大きな事故も起こさず、重要な交通結束点として膨大な人数を毎日さばいている。どうしてそんなことが可能なのだろうか? 本書では、多数の路線やいくつもの「“新宿”がつく駅」、複雑に入り組んだ通路からなるダンジョン(迷宮、地下牢)のような「新宿駅」の空間構造を解き明かすことで、その謎を解くヒントを提供している。著者の田村圭介氏は昭和女子大学生活科学部環境デザイン学科准教授。一級建築士で駅研究の第一人者でもある。上原大介氏はゲームクリエイターで、制作したRPGスマホアプリ「新宿ダンジョン」は50万ダウンロードの大ヒットとなった。

2016年2月期

つなぐビール

著者:嶌田洋一

出版社:ポプラ社

要旨(SERENDIP提供)

かつての「地ビール」ブームが、ここに来て「クラフトビール」ブームとして再燃している。それより以前、「地ビール」ブームが終焉しつつある頃に岩手県盛岡市で創業したのが「ベアレン醸造所」。本場ドイツから移設した醸造設備から生み出される本格的な味わいの、そして日本人の味覚にも合った地ビールが人気となり、「世界に伝えたい日本のクラフトビール」コンテストでグランプリを獲得している。本書では、現社長の木村剛氏とともに同社を立ち上げた著者が、その挑戦の軌跡を振り返っている。同社の強みと成功の秘訣は、「地域密着」を最優先する姿勢と戦略にあった。著者は現在、ベアレン醸造所専務取締役で、マーケティングとブランディングを担当している。

「爆買い」後、彼らはどこに向かうのか?

著者:中島 恵

出版社:プレジデント社

要旨(SERENDIP提供)

「2015ユーキャン新語・流行語大賞」にも選ばれた「爆買い」。主に経済成長によって豊かになった中国人が観光で日本にやってきて、土産など一度に一人数十万円もの買い物をする現象を指す言葉だ。この「爆買い」現象はいつまで続くのだろうか? 本書では、全国各地の観光関係者、来日する中国人、中国国内に住む人々を取材し、実際に「爆買い」の現場で何が起こっているのかをリポート。そしてそれをもとに、なぜ「爆買い」現象が起こったのか、中国人の意識や価値観の変化、この現象が今後どのように変化していくかなどを考察している。著者は北京大学、香港中文大学に留学経験のある元新聞記者のフリージャーナリスト。主に中国、香港、台湾など東アジアのビジネスや社会事情の取材・執筆を続けている。

仕事の技法

著者:田坂 広志

出版社:講談社(講談社現代新書)

要旨(SERENDIP提供)

世の中の「仕事」には、実に様々な職種があり、業種も多岐にわたっている。それぞれの職種・業種には、その特性に応じた「技法」があり、ビジネスパーソンは業績を上げるためにそれを身につけることが求められる。本書では、それら個々の技法ではなく、あらゆる仕事に共通する「根幹的技法」について論じている。本書における「根幹的技法」とは「対話の技法」であり、この「対話」には言語による「表層対話」と、言語以外のメッセージによる「深層対話」があるという。本書ではとくに、いかに後者の「深層対話力」を身につけるか、具体的なシチュエーションをもとに解説を加えている。著者は多摩大学大学院教授で、「現実を変革する七つの知性」を学ぶ場「田坂塾」を主宰。同塾には2,600名を超える経営者やリーダーが集まっている。

若い読者のための 第三のチンパンジー

著者:ジャレド・ダイアモンド

編:レベッカ・ステフォフ

訳:秋山 勝

出版社:草思社

要旨(SERENDIP提供)

私たちはたいてい、高度な文明を築いた「人間」を、他の動物はまったく異なる別の生き物として捉えている。ところが、実はヒトの遺伝子の98%はチンパンジーと変わらないことが、研究によって明らかになっている。本書では、「ヒトとチンパンジーを分けるわずかな違いはどこにあるのか」「人間とはどんな動物なのか」などの疑問について、先史時代から現代に至るまでの文明史をたどりながら論じている。性行動、加齢、芸術、農業、薬物乱用、地球外知的生命の可能性、征服とジェノサイド(大量虐殺)、種の絶滅など多岐にわたるテーマに、進化生物学、遺伝学、人類学、生物地理学などの視点からアプローチ。著者はピュリッツァー賞を受賞したベストセラー『銃・病原菌・鉄』で知られる進化生物学者・生理学者・生物地理学者で、本書はその第一作に最新の情報を加え、読みやすくコンパクトにしたものである。

人工知能×ビッグデータが「人事」を変える

著者:福原 正大/徳岡 晃一郎

出版社:朝日新聞出版

要旨(SERENDIP提供)

日本企業における人事、とくに採用に関しては、どの会社も横並びの定型的プロセスで行われ、人事担当者や経営者の感覚と主観による評価がまかり通っているのが実情ではないだろうか。しかし、米国をはじめ海外では、人工知能(AI)とビッグデータを活用した、客観的で正確なものに人事評価制度がシフトしつつあるという。本書では、そうした世界的な流れを踏まえ、「AI×ビッグデータ」というツールによって、問題の多い日本の人事制度を改革することを提案。AIやビッグデータをめぐる最新の情報を概説した上で、グーグルなどの米国先進事例を紹介しながら、最新テクノロジーを用いて組織に人材を最大限に生かす戦略を示している。著者の福原正大氏は、Institution for a Global Society(IGS)代表取締役。徳岡晃一郎氏はフライシュマン・ヒラード・ジャパンSVP・パートナー・CCWプレジデントで、多摩大学大学院経営情報学研究科長も務める。

無戸籍の日本人

著者:井戸 まさえ

出版社:集英社

要旨(SERENDIP提供)

私たちは、日本国籍であれば誰もが戸籍を持ち、日本国民として行政サービスが受けられることを当たり前のように思っているのではないだろうか。しかし、実際にはさまざまな事情で出生届が出されずに、戸籍が「ない」まま生活している人が、子どもも大人も相当数存在するという。彼ら彼女らの多くは、義務教育も受けられず、身分の証明ができないために限られた職にしか就けない。貧しく、不便で不都合の多い生活を強いられるだけでなく、裏社会に通じるなど反社会的行動に走る者もいる。本書は、13年にわたりこの「無戸籍問題」に取り組み、実際に延べ1,000人以上の無戸籍者とその家族の相談や支援に当たっている著者が、無戸籍問題の実態を赤裸々に描いたノンフィクション。複数の無戸籍者たちをめぐるエピソードを語りながら、日本社会が抱える問題の一端を浮かび上がらせている。著者は経済ジャーナリストを経て兵庫県議会議員を2期、衆議院議員を1期務めている。

物理学者が解き明かす重大事件の真相

著者:下條 竜夫

出版社:ビジネス社

要旨(SERENDIP提供)

新聞やテレビなどのマスメディア、インターネットのニュースサイトなどでは、日々大小さまざまな「事件」や「事故」が報道され、それについて識者や一般市民が意見や感想を述べたりする。しかし、いくら大新聞が伝え、高名な専門家が検証したとしても、そのすべてが真実であるとは限らない。本書では、世間を騒がせたいくつかの重大事件について、一般に理解されている事実や評価をその前提から疑う「批判的思考法(クリティカルシンキング)」によって、知られざる真相に迫っている。数値データや、埋もれていたり隠されていたりする当事者や専門家の証言などを公平で厳密な視点と論理で分析し、一般に出回る常識や定説を覆す事実や見方を浮かび上がらせている。著者は兵庫県立大学理学部准教授で、原子分子物理、物理化学を専門とする。

エコノミストの昼ごはん

著者:タイラー・コーエン

監訳・解説:田中 秀臣

訳:浜野 志保

出版社:作品社

要旨(SERENDIP提供)

食糧不足による飢餓、健康への不安、環境破壊など、現代社会が直面する「食」と「農」をめぐる社会問題は枚挙にいとまがない。一方で食は文化であり、料理は人々を楽しませるエンターテイメントでもある。本書では、ニューヨーク・タイムズ紙の人気コラムニストでもある経済学者が、自ら「いつでもグルメ(エヴリディ・フーディ)」の一人としてさまざまな国や地域の食を味わった経験などをもとに、食と農の問題について経済学の視点から考察を加えている。消費者として「安くて美味しい食事」を選択することが、食に関するイノベーションを生み、社会問題の解決にもつながるという。著者はジョージ・メイソン大学(アメリカ)経済学部教授。著書にベストセラーとなった『大停滞』『大格差』(ともにNTT出版)などがある。

脳が認める勉強法

著者:ベネディクト・キャリー

訳:花塚 恵

出版社:ダイヤモンド社

要旨(SERENDIP提供)

受験生や大学生のみならず一般のビジネスパーソンでも、最新の知識が必要になるなど「勉強」をしなければならないことはよくある。そんな時に、たとえば「静かな場所で集中して覚える」「一つのことを繰り返し覚える」など、一般に「効率的」と考えられている方法をとることが多いだろう。本書ではそうした勉強法の「常識」を疑い、これまでの脳科学や心理学の成果を踏まえた、より効率的で確実に知識が定着する勉強法やアイデア創出法を探っている。脳の「記憶」のメカニズムや、多数の実験・研究結果を紹介しながら、脳をフル稼動させるための有益なヒントを提供。著者は、神経科学、精神医学、神経学、日常の心理学を主なテーマとして活動する『ニューヨークタイムズ』紙サイエンスレポーター。

2016年1月期

シフト

著者:マシュー・バロウズ

訳:藤原 朝子

出版社:ダイヤモンド社

要旨(SERENDIP提供)

21世紀に入り15年が経過した今も、世界の情勢や、私たちの住む社会がこれからどうなっていくのか、変化が激しいために見えにくい状況が続いている。本書では、今後20年の間に世界のシステムに大きな変化が起きるとし、国際関係や社会変動、テクノロジーの行方等についてあらゆる変数を考慮に入れた上での未来予測と、米国がどう動くべきかの提言を行っている。米国では4年に一度、国家情報会議(NIC)がときの政府に『グローバル・トレンド』という長期未来予測の報告書を提出しているが、NICに加わったCIA(米国中央情報局)局員だった本書の著者は直近の2版で主筆を務めた。本書の内容は同報告書の内容をもとにしており、2035年を舞台に三つの架空のストーリーを含んでいる。CIA、NICで28年間国家情報アナリストとして活躍した著者は2013年に辞任し、現在は「アトランティック・カウンシル」戦略フォーサイト・イニシアチブ部長を務めている。

「やさしさ」という技術

著者:ステファン・アインホルン

訳:池上 明子

出版社:飛鳥新社

要旨(SERENDIP提供)

一般的に、「やさしさ」は生まれつきの資質であり、「弱さ」や「脆さ」と同義のように考えられがちである。また、やさしいことは、結果的に「損をする」とも思われている。しかし本書は、「やさしさ」は生まれつきの資質ではなく、誰もが身につけることのできる「技術」であること、そしてこの「やさしさの技術」こそが、私たちを幸福にし人生に成功をもたらすこと、しかもその動機は利己的なものであっても構わないということを、心理学や生物学などの研究成果、多くの歴史的事実、さらには著者自身の体験など、さまざまな方面から多角的に論証している。著者は、世界トップレベルの医科大学として知られるスウェーデンのカロリンスカ医科大学の分子腫瘍学教授、がん専門医で、「倫理」についての講義・講演の名手としても名高い。人口900万人のスウェーデン国内で30万部のベストセラーになった本書は、現在18ヵ国語に翻訳されている。

ハイデガー哲学入門

著者:仲正 昌樹

出版社:講談社(講談社現代新書)

要旨(SERENDIP提供)

ドイツの哲学者マルティン・ハイデガー(1889-1976)は、学問としての哲学の潮流を変えた重要な人物として知られ、主著『存在と時間』は20世紀最大の問題作とされる。本書では、「現存在」「ひと」「配慮的な気づかい」「命運」など独自の用語を駆使していることもあり難解とされるハイデガーの思想を、現代社会の事象なども例として使いながら、極力正確にわかりやすく解説している。玉石混交の情報があふれ、世界中の人々とつながることで多様な価値観に触れることの多い現代社会において、他者に流されず自己の存在、生き方を確立するためのヒントが散りばめられた哲学入門書である。著者は現在金沢大学法学類教授で、文学や政治、法、歴史などの領域でアクティブな言論活動を展開している。

「洞察力」があらゆる問題を解決する

著者:ゲイリー・クライン

訳:奈良 潤

出版社:フォレスト出版

要旨(SERENDIP提供)

ビジネスにおける問題解決や意思決定は、過去のデータや経験知を分析し、論理的な推論に基づいて行われることが多く、それがもっとも確実な方法と一般には考えられている。しかし、こうした分析的思考には限界があり、「見えない問題を見抜く」創造的な解決には至らないと、本書で著者は指摘する。本書では、他の誰もが思いつかない解決法を見出す「見えない問題を見抜く力(洞察力)」を伸ばすメソッドを解説。認知心理学の成果をもとに著者が生みだした「現場主義的意思決定(NDM)理論」を応用した「発見への3つのプロセス」など実践的な手法を詳しく紹介している。著者は、米国の認知心理学の大家で、米空軍省にも研究者として勤務した経歴を有している。現在はマクロコグニション社上級研究員。

日本人は論理的に考えることが本当に苦手なのか

著者:山 祐嗣

出版社:新曜社

要旨(SERENDIP提供)

日本人は「ディベートが苦手」などと指摘されることが多く、欧米人に比べ情緒的、非論理的にものを考える、ということが半ば常識のようになっている。だが、そういった“常識”を口にする人のほとんどは、なんとなく受け継がれてきたステレオタイプの見方に従っているだけであり、明確な学術的根拠に基づいているわけではない。本書では、この根強い「日本人論」の通説を、数多くの学術論文を参照にしながら、比較文化の心理学の成果などをもとに徹底検証。論理的か否かは、日本人を含む東洋人と西洋人の「思考の文化差」にすぎないことを明らかにしている。著者は現在大阪市立大学文学研究院教授。主に思考や推論の心理学的研究に取り組んでおり、『思考・進化・文化 -日本人の思考力』(ナカニシヤ出版)などの著書がある。

安売り王一代

著者:安田 隆夫

出版社:文藝春秋(文春新書)

要旨(SERENDIP提供)

大手小売業は司令塔(本部)が徹底的な管理を行う「チェーンストアモデル」を採用しているが、ドン・キホーテでは、現場にすべて権限を委譲し、仕入れから値付けまで現場にやらせ、上は口を出さない。さらに、営業目標は各個人に立てさせる徹底的な成果主義を貫いている。それにより、創業以来26年間連続で増収増益という前代未聞の偉業を達成し、2015年6月期には年商6840億円、従業員数約32,000人(パート含む)の巨大小売業にのし上がった。これらを実現してきたのが、創業者の安田隆夫・前会長である。本書は、他の企業人とは異なるユニークな経営哲学の持ち主である安田隆夫氏の波乱万丈の一代記。ビジネスの世界に新風を吹き込む独自の経営哲学が余すことなく披露されている。

経済を読み解くための宗教史

著者:宇山 卓栄

出版社:KADOKAWA

要旨(SERENDIP提供)

私たちの多くは、「宗教」を精神的なもの、「経済」を世俗的なものとして両者をまったく関係のない概念と認識しているのではないだろうか。しかし、世界の歴史を紐解けば、さまざまな時代の社会の中で宗教と経済は密接に結びついていることがわかる。本書では、その結びつきを探っている。宗教は、互いに争い、奪い合い殺し合う本能をもつ人類に超越的存在や規律を意識させることで、共同体の調和をもたらす。人々は殺し合いや奪い合いの代わりに、協力して富を増やしたり、交換するようになり経済が生まれた。本書では、そういった宗教と経済の関係から、古代から現代までの世界史上のさまざまなトピックスを読み解いている。著者は著作家で、代々木ゼミナールで世界史の講師を務めている。

負の感情を捨てる方法

著者:中島 輝

出版社:朝日新聞出版

要旨(SERENDIP提供)

どんな人でも、怒りや嫉妬、恨み、憎しみ、劣等感といった「負の感情」に苛まれることがあるだろう。そうした不快な感情に心が支配されると、思考がループし生産的な行動ができなくなる。そしてそれがエスカレートすれば心の病や自殺念慮にも結びつきかねない。本書の著者は、まさにそうしたプロセスをたどり、25歳から10年もの間「引きこもり」状態になったという。本書では、その時の経験をもとにした心理カウンセリングで人気を博す著者が、負の感情への「とらわれ」から自由になり、充実した人生を送るための処方箋を、具体的なワークやエピソードの紹介を交えて公開している。自分の感情をコントロールし、心と頭を整理するための数々のノウハウは、日常生活のみならずビジネスにおける問題解決や意思決定のヒントにもなるものだ。