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『虹猫喫茶店』の坂井希久子さん
インタビュアー 石川淳志(映画監督)

「新刊ニュース 2015年6月号」より抜粋

坂井希久子 (さかい・きくこ)
1977年和歌山県生まれ。同志社女子大学学芸学部卒業。会社員を経て、プロの作家を志し上京。2008年「男と女の腹の蟲」で第88回オール讀物新人賞を受賞(『オール讀物』11月号掲載時に「虫のいどころ」へ改題)。著書に『秘めやかな蜜の味』『羊くんと踊れば』『コイカツ』などがある。この度「新刊ニュース」13年8月号から15年1月号まで連載した連作短編小説『虹猫喫茶店』(祥伝社)を上梓。
  • 『虹猫喫茶店』
  • 坂井希久子著
  • 祥伝社
  • 『恋するあずさ号』
  • 坂井希久子著
  • 実業之日本社(実業之日本社文庫)
  • 『ただいまが、聞こえない』
  • 坂井希久子著
  • KADOKAWA
  • 『ヒーローインタビュー』
  • 坂井希久子著
  • 角川春樹事務所
  • 『泣いたらアカンで通天閣』
  • 坂井希久子著
  • 祥伝社
  • 『こじれたふたり』
  • 坂井希久子著
  • 文藝春秋(文春文庫)
  • 『崖っぷちの鞠子』
  • 坂井希久子著
  • 光文社(光文社文庫)

── 「新刊ニュース」で連載されていた『虹猫喫茶店』が四月十日に発売されました。店内に里親を募集している猫がいる「喫茶 虹猫」の店主・サヨリと、そこでアルバイトを始めた大学生・翔を中心に展開する連作短編集です。手応えはいかがでしょうか。

坂井 一冊に九本の短編小説が収められている上、連載時から結構加筆しましたのでやや密度が濃いかな、という気持ちもありますけれど、登場人物それぞれに自分たちの居場所が見つけられたみたいでよかったと思っています。コミュニケーション障害気味だった主人公の翔君がちゃんと居場所を見つけて、人のことを愛せるようになればいいなと思っていたので、それは叶ったのかなと思います。

── 連載中の思いや苦労した点はいかがですか。

坂井 初期の設定では第一話のサヨリさん、翔君、東丸の婆さんくらいしか考えていなかったのに、どんどん思いもよらない人たちが出てきて、それぞれの登場人物が好き勝手に意外なことをしてくれるのが面白かったです。でも先のことを決めずに書き始めて、この話は最後にどうなるのだろうという不安が常にありました。たまには女性受けのする話も書きたくて、「喫茶店」と「猫」が出てくれば可愛い話になるに違いないと考えて書き始めたのに、途中で血生臭い話を書いてしまい、「あれっ、思っていたのと違う、こんな筈じゃなかった」と(笑)。「ここに落としこむんだ、へえー」と思いながら書いていたところもありました。

── 一冊として振り返ると、サヨリ、翔、ヒカル、東丸の婆さん、虹猫に出入りする人々、それぞれにコミュニケーションが不得意な人物が集まりましたね。

坂井 あえて意図した訳ではないのですが、どこかしら特色を持たせようと思ったら、外に出歩かないサヨリさんを中心にコミュニケーションのしづらい人たちばかりになってしまいました。猫という共通点があるから繋がっているけれども個々では繋がれないような人たちですね。例えば翔君は、自分が傷つきたくないから閉じこもるタイプで、今のコミュニケーション不足な社会の反映になっているかな、と思っています。「喫茶 虹猫」は猫にとって飼い主を探すための一時的な避難所ですが、そこは人間にとっての避難所にもなっていたな、と思いますね。

── しかし最後には登場人物それぞれが、今いる場所から前進したように感じます。

坂井 私は個人的に東丸の婆さんが翔君と二○加煎餅のお面で笑いあうシーンが好きです。たまたま翔君が里帰りで二○加煎餅を買って帰ってきていて、煎餅にはお面が付いていることを思い出したので婆さんとの和やかなシーンを入れようと思いついて書いてみたのですが、思いのほか東丸の婆さんが柔らかくなった感じになって、良かったなと思いました。

── そんな中、相田アニマルクリニック院長・相田博巳だけは最後まで変わることなく、コメディリリーフ的に振る舞っています。

坂井 相田先生が第二話でいきなり出てきて「騒がしいおっさんが出てきたぞ」と思いました。あの人が最後までずっと出てくるとは考えていませんでしたが、あの人のお陰で若干キャラクター小説っぽい感じにもなったかな、と。相田先生は書いていてリラックスできました。

(三月二十六日、東京都千代田区・祥伝社にて収録)

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