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紙面掲載した書評をご紹介 「図書新聞」の書評コーナー

『沖縄の〈怒〉 日米への抵抗』

ガバン・マコーマック/著
乗松聡子/著

法律文化社

沖縄特集:沖縄からの怒りと問いに、日本人はどう応えるのか

──沖縄問題は沖縄の問題ではなく、日本の問題、日本人の問題
対談:ガバン・マコーマック×乗松聡子×知念ウシ×高橋哲哉

▼『沖縄の〈怒〉』(法律文化社)の刊行を記念してシンポジウムが開催された。その模様を抄録する。(開催日・5月24日、東京・本郷にて〔編集部〕)

◆「沖縄問題」という牢屋から見えてくるもの
ガバン・マコーマック(オーストラリア国立大学名誉教授)

――(司会)今、私たち日本人は沖縄からの怒りと問いに、どのように応えることができるのでしょうか。沖縄問題において本書『沖縄の〈怒〉』をどのように位置付けるか、評価するか、問題克服のための方策を模索したいというのが、このシンポジウムの趣旨です。開催趣旨に関係して四点を確認します。

 (1)沖縄の基地負担の構造的差別の問題。何十年にもわたって人権と平和が侵害され、今も命が脅かされている。
 (2)括弧付きの負担軽減は進む予定だが、沖縄問題は相対的には良くなることはなく、むしろ悪くなっている。
 (3)沖縄問題は沖縄の問題ではなく、日本の問題、日本人の問題である。沖縄問題の根っこには、日米安保、地位協定、属国問題、領土問題、歴史認識、さらには植民地主義、さらには改憲問題などが横たわっている。
 (4)基地は県外、あるいは国外に移設すべきだという日本への問いかけは、沖縄の総意であり、沖縄の怒りはいま、まさに「臨界」に達している。

以上を受け、いま我われは沖縄の怒りと問いにどのように応えることができるのか。今日はこのことを模索するために、本書の著者のお二人と、ゲストとして知念ウシ氏、高橋哲哉氏を迎え、沖縄問題を考えたいと思います。

ガバン・マコーマック アメリカをはじめとする欧米、英語圏に向けて「「沖縄問題」とは何か」ということを一冊にまとめた本を作ろうということで始めたのです。ですから、まずは英語圏の読者に向けて書いたということになります。次に想定したのは沖縄の読者です。最終的には中国や韓国の読者にも届けるため、現在も翻訳が進んでいます。しかし、実際にこの本を最も読んでいるのは、沖縄の読者です。沖縄の人たちにとって、この本に書かれていることで知らないことは少ないでしょう。私たちの目的は、本をたくさん売ることではなく、沖縄問題の理解を深めて、解決に少しでも近づくように役立てることです。

 現代アジア史、現代東アジア史を理解するためには、沖縄の運動と問題が非常に重要です。この市民と国家の激しい対立は、現代史のなかでも例を見ない現象だと思います。ある地域が自国に対して、またアメリカという超大国に対して、「NO」と言い続けている。そのバランスは不均衡で、その対立関係はまるで映画『真昼の決闘』のようです。これが決闘であるなら、沖縄だけでなく、全ての日本人にとって大変なことです。もちろん、これは非常に想像しにくいことですが、沖縄が勝てば、国にとっては大変な損失になる。


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