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紙面掲載した書評をご紹介 「図書新聞」の書評コーナー

『沖縄の〈怒〉 日米への抵抗』

ガバン・マコーマック/著
乗松聡子/著

法律文化社

ガバン・マコーマック もしこれが他の国の出来事、例えば、アラブの一地域であったなら、世界に向けて民主主義の闘争として報道されることでしょう。しかし、この問題の中心は日米関係にあります。だから、欧米のメディアはあまり追及しません。沖縄の運動が、日本で、世界でどう報道されているか、あるいはなぜ報道がされていないかということを考えてみてください。

 安倍政権になってから沖縄の状況はより厳しくなりました。それは、安倍晋三の属国主義と民族主義の矛盾にあります。安倍が属国主義者である限り、民族主義者というポーズが必要なのです。

 つまり、狭小な民族主義者として靖国神社、国歌・国旗を掲げ、歴史修正主義に走る。自主憲法のレトリックへと進めば進むほど、東アジアのなかに問題が生じ、日米間にも問題が起きる。日米が共通の価値観を持っているのかどうかという疑問が米国内で広がっています。

 注目すべきは5月8日以来、中国の対日政策が変化していることです。争点が尖閣諸島から沖縄に移ってきたのではないか。同日付けの「人民日報」に「未解決の琉球問題を再び議論できるときが来た」と掲載されています。沖縄の人たちは、沖縄の位置付けを議論すべきだと中国が言ったことに大変驚きました。5月12日には「琉球問題を掘り起こし、政府の立場変更の伏線を敷く」というタイトルで、次のような内容の記事が載りました。

 「中国は琉球を奪おうとしているのではない。日本が最終的に中国と敵対する道を選ぶならば、中国は現在の政府の立場を変更し、琉球問題を歴史上未解決の問題として再定義することを検討するべきであり、将来の対日の作戦における一つの選択肢として考えることができる。中国政府は三つのステップで、琉球帰属論をリードすることが可能だ。第一は、日本が琉球を不法占拠した歴史を世界に知らしめる。第二は、日本の対中姿勢を見たうえで、必要ならば正式に琉球問題を国際的な場で提起する。第三は、中国は実際に、沖縄地区に琉球王国復活の勢力を育てる努力をすべきだ。あと20〜30年後に中国の実力が強大になれば、これは幻想ではない」と述べています。

 これは脅しですね。中国は、自国の発展が、国際勢力によって圧迫を受けた場合、突破口として日本を選ぶだろう。

 続く5月12日の「琉球新報」は「(中国が)揺さぶりをかけることが目的であることは間違いなく、歴史を曲解していると指摘せざるを得ない」と社説に書いています。沖縄の運動はずっと東京とワシントンに向けられていました。それが今度は中国に対しても誤解のないように振る舞う必要がある。

 沖縄問題という牢屋(プリズン)から、日本・アメリカ・中国の本質が見えてくると思います。


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