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紙面掲載した書評をご紹介 「図書新聞」の書評コーナー

『沖縄の〈怒〉 日米への抵抗』

ガバン・マコーマック/著
乗松聡子/著

法律文化社

◆「沖縄問題」は私たちの問題
乗松聡子(ピースフィロソフィー・センター代表)

乗松聡子 英語版“Resistant Islands:Okinawa Confronts Japan and the United States ”は昨年7月に刊行されました。ガバンさんが言ったように、この本は沖縄の歴史・文化から始まって、この16、17年間の普天間基地移設問題をめぐる議論を英語圏でわかってもらえるように書いたものです。今回の日本語版は英語版をそのまま和訳したのではなく、日本の読者に向けて、英語圏の読者にとってはそこまで意味のなかった情報、例えば細かい官僚や政治家の名前を含むウィキリークスの記事なども入れました。

 本書のタイトルについて一言付け加えるなら、本来は「沖縄」と「怒り」というものをセットで提示することさえ憚られると思っています。この怒りを沖縄にもたらしたのは、日本人であり、日米の政府でもあります。怒っている沖縄に「連帯しよう」「応援しよう」「すごいですね」と評価するのではなくて、もう沖縄が怒らなくても済むように責任を取らなければならないのではないかと思うのです。

 去年のオスプレイの強行配備は決定的な出来事でした。全市町村が反対して県民大会を行ない、県議も全会一致で反対したにもかかわらず、その沖縄の民意を全く無視して強行配備を行なった。さらには追加配備もしようとしている。これは決して許せないことです。日米安保をこのまま続けているのだったらせめて基地の平等負担を求める、県外移設=本土移設をするべきだという声が非常に多く聞かれました。

 そして、沖縄独立を望む声が大きくなっている。これは最初から、「独立がしたい」という積極的な独立ではなく、「ここまでのことをされたら」という切羽詰まった思いからきていると言えます。琉球独立学会も立ち上がっています。

 沖縄の「マグマ」とでも言うべきものが、ここまで吹き出しそうになっている。近年のその高まりは2007年に、戦時中の強制集団死に日本軍の関与はなかったとして、教科書の記述を削除するように文部科学省がコメントを付けたことが元になっているのではないでしょうか。その時は、保守・革新関係なく、復帰後最大の11万人以上の大会が開催されました。今のオスプレイ強行配備問題においても、私たちは本当に自分のこととして取り組まねばなりません。

 知念ウシさんへの最初のインタビューで「沖縄人としてのアイデンティティは何ですか」という質問をしたことがあります。それに対して知念さんから「そういう質問には正直に言って違和感があります。どうしてそのような一方的な質問を受けるのでしょうか」と返されました。質問をする自分は何者なのか。この本を読んでいるあなたは誰なのかと問い続けながら、この本を作りました。今、沖縄が置かれている不平等な状態を正すのは日本人一人ひとりです。もちろんアメリカ人もそうです。「沖縄問題」は私たちの問題なのです。


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