▲香川県立高松東高等学校の「朝の読書」風景
香川県立高松東高等学校は、平成三〇年に創立一一〇周年を迎える、県下有数の歴史と伝統を誇る全日制普通科高校です。明治四一(一九〇八)年に地域の大きな期待に応えて開校。「地域に根ざした愛される高校」として、心身ともに健全で情操豊かな人間の育成を目指しています。
本校は、高松平野東部に位置し、南に讃岐山脈を仰ぎ、北に源平の古戦場として名高い屋島や八栗山を望む場所にあります。生徒は、近くを流れる新川や高田河原を横に見ながら、毎日の朝の読書に親しんでいます。
本校の朝の読書は、平成十五年から始まりました。
毎朝、ショート・ホームルームと一時間目の授業が始まるまでの間に実施しています。八時四五分から八時五五分までの十分間、生徒も教員も読書に集中する時間を共有しながら過ごしています。
十三年間、休むことなく続けられたのは、司書教諭の山本真由美教諭、学校図書館司書の増田恭子実習助手を中心に、教員全体が協力しながら地道に取り組んできたからです。
当時、落ち着きのない生徒が多く見られた現状を、朝の読書活動を通して、何とかしたいとの思いがあったからです。
今では、毎朝の読書が生徒にとって当たり前の生活習慣となっています。そのことで、落ち着いた雰囲気で授業がスタートでき、遅刻者も減少しています。
また、読書に対する意識が高まり、生徒が本を開く姿がごく日常的なものとなるにつれ、読書の喜びを伝え合う活動へと広がりを見せています。お互いに読んだ本の紹介をしながら、読書の幅を広げる生徒がいます。
図書委員が読書活動の推進役として、自ら進んで活躍しています。近隣の小学校や児童養護施設に定期的に出かけて行き、読み聞かせという形で、自分の読書で得られたものを子供たちに伝えていこうとする生徒もいます。
このような姿を見ると、毎日続けている朝の読書が、確実に生徒の心の栄養となっていることを実感しています。
現在、本校は平成二七年度末の完成を目指して新校舎の建設中です。朝の読書の新たな拠点となる図書館は、校舎二階の中心に設置し、生徒が集まりやすいものにする予定です。
ところで、香川県は「うどん県」です。香川県を代表するソウルフード「さぬきうどん」は、コシの強さが特徴です。
この栄えある「朝の読書大賞」の受賞を励みに、強いコシのある取り組みをすすめ、これまで以上に朝の読書を充実していきたいと思います。
今後とも、皆様方のご指導をよろしくお願いいたします。(書店経営2016年2月号掲載)
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