「朝の読書」の現場から

本が大好き 天神山っ子 みんなとつながる読書活動七尾市立天神山小学校

▲七尾市立天神山小学校の「朝の読書」風景

 私達が住む七尾市は、能登の中心にあり、世界農業遺産にも指定された自然豊かなところです。本校周辺は住宅が多いけれど、校舎4階廊下の窓からは海が見渡せ、教室からは、七尾城跡もある城山を眺めることができます。学校では、環境やふるさと学習に力を入れ、地域の良さを学んでいますが、家庭ではネットに関わる児童が増えているという現代っ子の姿も見えています。

 天神山っ子は、明るく元気だと言われています。10年前の朝の子ども達は、元気にとびまわり、大きな声で話していました。そんな中、七尾市採用の学校司書が配置され、朝の読書が始まりました。「みんなでやる・毎日やる・好きな本でよい・ただ読むだけ」を実行し、静かに読書する子が増えてきました。5年前より、朝読む本を意識するために、前日の下校時に、自分の机上に本を一冊置くことにしました。朝登校すると、すぐ本を読めるようにします。落ちつかない月曜日は、読書時間を増やすこともしました。そうした取組を続ける中で、今はどの学級も静かに読書しています。そして何より嬉しいのは「本が大好き」という子が多い学校になったことです。

「本が大好き」の秘訣は、子ども達の読みたいと思う本があること、本の良さを感じる場が子ども達にあることと思っています。

 教室には、学級文庫があり、毎月本が入れ替わります。教室前廊下には、国語の並行読書の本が何冊も並んでいます。机の横の図書袋には、図書室から借りてきた本が入っています。いつでも読みたいと思う本がすぐ傍にあるのです。子ども達は、朝の読書の時間だけでなく、ちょっとした隙間時間にも本を取り出して読んでいます。

 子ども達が本好きなのは、幼少の頃からの読み聞かせも関係していると思います。5年生や読書クラブが近隣の保育園に行って読み聞かせをすると、目を輝かせて聞いています。3才児だって本が大好きです。

 学校でも「天ちゃんのお話隊」がやって来る朝をとても楽しみにしています。いつもは静かな朝ですが、その日は、隊員の声や子ども達の笑い声が聞こえてきます。

 家庭でも家読プリントで読書をしています。11月のプリントにも殆どの保護者の声がありました。

 母から3年生の子に向けて、「とてもおもしろい本だったので一気に読んでしまったね。これからもおもしろい本に出合ったら教えてね。」とありました。6年男児の母からは、「低学年の頃から何回読んだことか…百万回生きて○○はどうしたいの? お母さんは、一度きりを一生懸命悔いのない様に生きたいです。」とありました。334名各々の読書の姿・感想がありました。子ども達は、夏休み・冬休みにも家読ノートで、家族と本を楽しんでいます。

 子ども達の読書環境の充実は、家庭、地域住民、市立図書館、保育園…たくさんの人々の協力にあります。そして学校職員の意識の向上もあって、今の「本が大好き 天神山っ子」につながっています。今後も「本が大好き」が続くよう、日々の読書活動を大事に推進していきます。

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