「朝の読書」の現場から

「朝の読書」から生まれる 本との出会い富山県立富山いずみ高等学校

▲富山県立富山いずみ高等学校の「朝の読書」風景

本校の紹介

 富山県立富山いずみ高等学校は明治34年創立の富山県高等女学校を前身として、戦後、富山女子高等学校に、そして平成14年に総合学科と看護科を設置する男女共学の富山いずみ高等学校となり、今年で116年目を迎える伝統校である。
 富山市内中心部の堀川小泉に位置する本校前には、富山地方鉄道(通称地鉄)市内電車(通称市電)が走り、市電の二駅先には三浦友和主演の映画「RAILWAYS 2」の舞台となった地鉄南富山駅がある。また近くには、宮本輝の小説『螢川』のモデルとなったいたち川≠ェ流れ、教室からは立山連峰の雄大な姿を臨める贅沢なロケーションにある。

朝の読書で集中力を高めて一日のスタート

 「朝の読書」は平成16年度から学年単位や期間限定という形で行われていたが、平成19年度から、8時30〜40分、全学年、そして通年での実施が始まった。10年目の現在、「朝の読書」は、学校経営計画・アクションプランに位置づけられ、教員の共通理解のもと有意義な教育活動として進めている。担任や副担任は教室で生徒とともに読書し、学年担当以外の教職員は廊下や階段付近で本を読む。その時間は学校全体に静かな読書の時間が流れる。「朝の読書」で集中力を高め、それから授業がスタートするのが、学校のルーティーンとなっている。
 生徒の「朝の読書」の本は、購入した本を家から持ってきているものが約6割、8人に1人は学校図書館で借りた本を読んでいる。ジャンルは8割以上が小説、続いてノンフィクション・趣味の本というアンケート結果である。生徒からは「本を読む習慣がついた」「いろいろなジャンルの本を読むようになり、読書が楽しくなった」という声が圧倒的に多い。

図書委員会を核として広がる読書活動

本校の図書委員会活動は活発で、毎月の図書館だより「LIBRARY」発行、企画展(随時)、教養講座、読書会、読書履歴調査、書店での図書選定、保育園での読み聞かせ活動などを積極的に実施している。さらに、統一HRでは1学年は「どくしょボード作り」、2学年は「新書に挑戦!」(ビブリオバトル風・新書紹介)、3学年は「進路に応じた読書」を実施し、生徒の「幅広い読書」を薦め、思考する読書へつなげる試みも続けている。

おわりに

 このように、「朝の読書」を中心にした取組は、本との出会い、そして豊かな読書の時間を、確実に生徒たちにもたらしている。10年はひとつの区切りにすぎない。それぞれの夢に向かって学んでいる生徒たちの資質を一層高められるよう、これからも生徒・教職員が一体となった「朝の読書」の活動を継続していきたいと考えている。
 最後に、今年実施した「読書川柳」から朝の読書を詠んだ句を紹介する。これによって本校生徒の「朝の読書」への思いを少しでも知っていただけたらと思う。
 10分間読めば変わる人生観

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