「朝の読書」の現場から

「朝の読書」が、児童たちの読書の世界を広げる鹿児島県霧島市立青葉小学校

▲鹿児島県霧島市立青葉小学校の「朝の読書」風景

 霧島市立青葉小学校は、南に雄々しく噴煙を上げている桜島と、北に連なる霧島連山に囲まれた自然豊かな所にあります。今年で創立二十一周年という鹿児島県でも三番目に歴史の浅い学校です。学校のOBには千葉ロッテマリーンズで活躍している二木康太投手がいます。青葉小学校の校名は、校区内の国分台明寺にある日枝神社の境内に、古くは笛の用材として宮中に奉納されていた青葉の竹(霧島市指定天然記念物)林があり、源平合戦のとき、一ノ谷の合戦で散った平敦盛が秘蔵していた「青葉の笛」も、この「青葉の竹」を使用していたと伝えられている話に由来しています。

 青葉小学校は、開校当初から、読書活動が盛んに行われ、PTAも大変協力的です。読み聞かせはもちろんですが、PTA会費から毎年十万円ずつ蔵書購入に助成金を拠出していただいており、図書館の蔵書検索のコンピュータ化もPTAの協力で実現しました。現在の久保田学校司書(本校勤務四年目)が赴任してから、読書活動がさらに充実してきています。始業前(八時五分〜十五分)の「朝の読書」の実施で児童たちの心が落ち着き、週時程に二回組み込まれた読書タイムでは、保護者(PTA一人一役)や教職員、そして子供同士、図書館ボランティア、親子読書会による読み聞かせ、教職員によるブックトーク等を実施し、児童たちの読書意欲を高めています。

 また、年間三回の読書月間・旬間・週間を設定しており、十月の読書月間では、小学校では珍しいと思われる全学年でのビブリオバトルを実施しています。今年四回目の実施で、児童たちもだいぶ慣れ、高学年のビブリオバトルは見応えのあるものになっています。この期間には、今年で三回目となる教職員による歌と読み聞かせをミックスしたバンドライブも実施しています。児童たちにとって、いつもと違う先生方の姿を発見することができ、大人気です。その他にも、絵本に出てくるメニューを給食の献立にしてもらい、その絵本の読み聞かせを聞きながら給食を食べる「絵本メニュー給食」の実施や一年間に読んだ本の中で一番好きになった本を選び紹介し合う「トレジャー☆ブック(宝本)」も実施しています。

 図書委員会の活動も活発で、多くの児童に本を手に取ってもらうために、本の帯を活用した紹介文やポップ、自分のお薦め本の紹介文をその本と一緒に図書館入口に掲示しています。また、年三回ライブラリー新聞を作成したり、「図書委員会の新聞ここが気になる」と題して新聞記事の中から、自分の気になる記事を切り抜いて、自分の感じたことを書き添えて掲示したりしています。

 青葉小学校は、本年度から二年間、鹿児島県指定の研究協力校として、読書指導に取り組んでいます。その一環として家庭での読書を定着させようと、二学期から毎月二十三日前後を「家読(うちどく)の日」として、家族で一冊の本について語ったり、静かに家族で本を読んだりして過ごすことを提案しています。来年度は、研究公開を実施し、県下の先生方に成果を披露することにしています。これからも読書活動を通して心豊かな児童を育成するように努めてまいりたいと考えています。

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