「新宿鮫」こと鮫島警部は日本の警察小説、そしてハードボイルドを代表するキャラクターだ。これまでも一匹狼型のミステリ・ヒーローはいないわけではなかったが、それをキャリアでありながら敢えてその道から外れたエリートとしたところに新鮮味があった。この設定を生んだことで、本シリーズは単なるワンマンアーミーの活劇に終わらず、組織対個人の対立を描く壮大なドラマへとなり得たのである。