海外編の<フィリップ・マーロウ>の項でも言及したが、私立探偵マーロウの造形に憧れ、その模倣を行った作家は少なくない。日本で最も熱心にチャンドラーを愛し、自らのマーロウを作り上げた作家は原寮である。彼の創造した私立探偵の沢崎はまさに和製マーロウといったタフなヒーローだが、直木賞受賞作でもある代表長編『私が殺した少女』は緻密なプロットで読ませる謎解きミステリとしても面白い。