毎週土曜日、22:00〜24:00に放送中のラジオ番組「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」(TBSラジオ系 通称“タマフル”)。生放送ならではのライブ感と熱量の高さ、独自の視点と語り口、圧倒的な情報量等、リスナーのココロをわしづかみにする、魅力満載の人気番組です。
今回e-honでは、番組の人気企画「タマフル推薦図書特集」の紹介銘柄を集め、現在全国の書店さんで展開中の「タマフル・ブックフェア」の特別版を開催します。全10点のおすすめ本を、番組構成作家・古川 耕さん、ライムスター宇多丸さんのコメント付きで紹介するスペシャルセレクションフェアです。番組とあわせて、ぜひチェックしてみてください!
紹介書籍
ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル 神回傑作選vol.1
出版社:スモール出版
構成作家・古川 耕さんコメント
2007年に始まった当番組の中から、自他共に認める“神回”を文字起こし。さらに詳細な脚注まで付け加えた、決定版かつタマフル入門編の一冊。高尚も妄想も分け隔てず、ただひたすら繰り広げられるInterestingな言葉のラリー。この場をハブとして生まれたネットワークやものの見方は有形無形、さまざまな場所へと飛び火し、ナニゲに皆さんのすぐそばで息づいています。自慢するわけじゃないけど、それが我々にとって誇りあることは確かです。
R&B馬鹿リリック大行進 〜本当はウットリできない海外R&B歌詞の世界〜
出版社:スモール出版
構成作家・古川 耕さんコメント
イケてる海外のオシャレなR&B、その歌詞をちゃんと読んでみたらとんでもない下ネタだらけだった?! という、音楽ジャーナリスト高橋芳朗プレゼンツによるヒット企画を、単行本用に全面リアレンジ。会話文のキレ具合は日本最高クラスを自負しております! リアルに声出して笑う。また、現行R&Bのような「活きている文化」を翻訳することの困難さや、それゆえの意義深さなども透けて見え、異文化コミュニケーション論としても読めなくもない、かも。
出版社:青弓社
ライムスター宇多丸さんコメント
番組では毎週新作映画の時評をしているのですが、その作品の特質をどう言葉で表現=再構築するべきか、ということに関しては、こう見えて実は毎回頭を悩ませています。当然のように、より本格的な批評や研究からも日々勉強中……ということで今回は、長谷正人先生の超刺激的な論考が詰まったこの一冊を。特に、映画にとっての「時間」や「記憶」に関する考え方には、恥ずかしながらかなり影響を受けている、つもり!
出版社:アルテスパブリッシング
ライムスター宇多丸さんコメント
ただただ己の力不足を思い知らされるだけの話なのでこんなことは言いたかないんだけど、まぁしかしぶっちゃけ事実として、ことヒップホップ文化へのリテラシーという部分に関して言えば、21世紀も十数年経った今もなお、ここ日本が、多くの部分で後進国なのは残念ながら間違いないと思われます。ということで、「日本人のための」ヒップホップ入門書として明らかに現状最良のこの一冊、食わず嫌いなあなたにこそ!
出版社:小学館集英社プロダクション
構成作家・古川 耕さんコメント
番組の看板コーナー「週刊映画時評ムービーウォッチメン」のタイトルはココから。ザック・スナイダー監督の映画版(2009年)も悪かないが、原作はその5000倍すさまじい。日本のマンガとは全く異なる系統樹で進化してきたグラフィック表現。止め画の中にひたすら情報量を詰め込み、さらに見開き単位から物語全体の構成にまで、幾重ものレイヤーに象徴性を塗り重ねていく……グラフィック・ノベルと呼ばれる表現形態の極北のひとつが本作であるのは間違いないでしょう。耐用年数から言えば、この価格は安すぎる。
出版社:スモール出版
構成作家・古川 耕さんコメント
番組でもよくお世話になっています。東京・高円寺にあるボードゲーム/カードゲームの専門店「すごろくや」さん監修による、「紙」と「ペン」さえあれば(いや、ものによっては手ぶらでも!)楽しめるゲームのルールブック集。2〜3人から最大百人規模まで楽しめるゲームが30タイトル。友達同士や家庭で楽しむのにはもちろん、最近は結婚式や会社の行事で楽しんでいる人も増えているそうな。一家に一冊、あると役立ちます。
出版社:河出書房新社
構成作家・古川 耕さんコメント
背筋が伸びるし、元気が出るし、最高じゃないですか! 番組リスナーであり、宇多丸さんの影響を公言してやまない思想家・作家の佐々木中さんが、本を読むこと、文字を書くこと、<革命>について、一気呵成に語っています。語りじゃくってます。講義をベースにしているせいか、数ある氏の著作の中でも抜群に読みやすい。この本が身近に在るおかげで我々はいかに勇気づけられたことか!
出版社:幻冬舎
ライムスター宇多丸さんコメント
例えばこういう方向の特集もちょいちょいやったりする番組です、というのを示す意味で、誇張ではなく全国民必読!だと思われる、辻田さんのこの見事な研究を。歴史的経緯含めた様々な角度からの分析によって浮かび上がってくるのは、「なるほど『君が代』、強ぇ!」感。思想信条イデオロギーに関係なく、「物を言うならきちんと調べてから」という基本姿勢の大切さを思い知らされます。
出版社:作品社
ライムスター宇多丸さんコメント
他人の目には、いかにも取るに足らないように映るかもしれない、ある男の生涯。しかしその内実は、どれだけ豊かな苦悩と、喜びに満ちていたことか……! 「その人固有の生」というものの儚さ美しさ尊さを余すところなく描き出しているという意味で、間違いなく普遍的に読む者の胸を打つであろう、珠玉の一編。約50年前に刊行され、そのまま埋もれかけていたアメリカの小説が、近年になって世界的に再評価。この日本語訳版が完成するまでにも、まさしく『ストーナー』的としか言いようがない経緯があったりして(巻末『訳者あとがきに代えて』に詳しい)、とにかくミラクルな一冊です!