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”○○の秋”にオススメの1冊

毎年恒例の著者アンケート企画!今年は「”○○の秋”にオススメの1冊」がテーマです。104名の著者の皆様が、「読書の秋」「食欲の秋」「芸術の秋」「スポーツの秋」の何れかの”秋”にお薦めしたい1冊と、この秋読者の皆様にお薦めしたいご自身の作品(翻訳・挿画含む)をご紹介いただきました。また、今年は読者の皆様からの熱い要望にお応えし、著者の皆さまの「出身地」(任意回答)を掲載しました。ぜひ、地元ゆかりの作家さんを探してみてください。

(新刊ニュース2017年11月号 連動特集)

  • 読書の秋
  • 食欲の秋
  • スポーツの秋
  • 芸術の秋

にオススメの本を紹介!

読書

明野照葉さん(東京都・作家)

明野照葉さんの本

魔家族

  • 明野照葉/著
  • 光文社

10月7日発売の新刊書き下ろし文庫。光に満ちた男、その家族に潜む魔と翻弄される人たちを描いた一冊。

日本人が忘れた日本人の本質

  • 山折哲雄/著
    高山文彦/著
  • 講談社

天皇陛下の「生前退位」など、微妙な問題にも触れている宗教学者の山折哲雄氏と作家の髙山文彦氏の対談集。数学者の岡潔氏に関する話が面白く、読後、つい和歌を詠んでみたくなる一冊。

読書

朝倉かすみさん(北海道・作家)

朝倉かすみさんの本

乙女の家

  • 朝倉かすみ/著
  • 新潮社

主人公はJK。シングルマザーが三代続く「乙女の家」の四代目だがそれはそれとして理想のキャラ模索中。

おなみだぽいぽい

  • ごとうみづき/作
  • ミシマ社

主人公はねずみ。〈じゅぎょうのとき せんせいのいうこと わからなくて なみだ こぼれそうなとき あります〉そんなきもちを受けとめ、軽くしてくれる絵本。#ぱんのみみ#なげました!#し・お・け・が・た・り・な・い

芸術

あさのあつこさん(岡山県・作家)

あさのあつこさんの本

天を灼く

  • あさのあつこ/著
  • 祥伝社

燃える空の光景から始まります。少年の闘いを秋の夜長にゆっくり味わって頂ければ……。

ぐるぐる・博物館

  • 三浦しをん/著
  • 実業之日本社

三浦さんのエッセイは、本当に笑える。軽く浪費されてしまう笑いではなく、核として読んだ者の心に残る笑いだ。それは作者の眼差しが常に人間に向けられているからだろう。この作品も博物館の個性的な内容とともに、そこに生きる人たちを活写している。

スポーツ

安部龍太郎さん(福岡県・歴史作家)

安部龍太郎さんの本

宗麟の海

  • 安部龍太郎/著
  • NHK出版

豊後のクリスタン大名 大友宗麟を、世界の大航海時代の視点から描いたもの。

ハードワーク 勝つためのマインド・セッティング

  • エディー・ジョーンズ/著
  • 講談社

「勝つためのマインド・セッティング」という副題の通り、どうすれば目的を達成できるかを指南した本。ワールドカップラグビー、南アフリカ戦に勝った教訓がよみがえる。

読書

嵐山光三郎さん(静岡県・作家)

嵐山光三郎さんの本

芭蕉という修羅

  • 嵐山光三郎/著
  • 新潮社

俳諧がいかに危険な文芸か。富と名声と色を好み欲望の修羅に生きた芭蕉の素顔に迫ってみました。

ゼンマイ

  • 戌井昭人/著
  • 集英社

この小説を読んだら、だれだってモロッコのタンジェに行きたくなるだろう。元不良の主人公は77歳。若いころ来日した「ジプシー魔術団」の女サファと恋仲になる。帰国するときくれた魔除けのゼンマイをもってモロッコへ。はたして彼女に会えるのか? 男の一本気な恋情がせつない。

芸術

安藤祐介さん(福岡県・作家)

安藤祐介さんの本

一〇〇〇ヘクトパスカル

  • 安藤祐介/著
  • 講談社

空が青い理由、知ってますか? 天高く馬肥ゆる秋にぜひ。沢田史郎さんの巻末解説は私の宝です。

青春デンデケデケデケ

  • 芦原すなお/著
  • 河出書房新社

六十年代、ラジオから流れるエレキギターの旋律に撃たれ、バンドを始める高校生たちの物語。中学生の時に初読、社会人になって再読。音楽の素晴らしさ、仲間と何かを作り上げる過程の葛藤や昂揚感。芸術の秋におすすめ!

スポーツ

池井戸潤さん(作家)

池井戸潤さんの本

アキラとあきら

  • 池井戸潤/著
  • 徳間書店

面白いか否か自分ではよくわからないが、ここまで手がかかった小説も珍しいので、一応自薦しておく。

空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む

  • 角幡唯介/著
  • 集英社

人跡未踏の秘境、ツアンポー峡谷。命をかけてこれに挑んだ作者による、極限のノンフィクションだ。こんな本には、めったに出会えまい。

スポーツ

石井光太さん(東京都・作家)

石井光太さんの本

「鬼畜」の家 わが子を殺す親たち

  • 石井光太/著
  • 新潮社

秋は、「虐待の秋」でもあります。11月はオレンジリボンキャンペーン(児童虐待防止推進月間)。

勝ち過ぎた監督 駒大苫小牧幻の三連覇

  • 中村計/著
  • 集英社

駒大苫小牧の野球部の監督の人物伝。監督の狂気が球児を甲子園に導く一方で、己を壊す姿が壮絶。甲子園の熱気が冷めた秋にこそおすすめ。

スポーツ

石原結實さん(長崎県・医学博士)

石原結實さんの本

超一流は無駄に食べない 

  • 石原結實/著
  • 海竜社

「食欲の秋」だが現代文明病の原因の1つが過食。空腹時に「長寿遺伝子」の活発化、免疫力の増強、autophagy(自食・2016年ノーベル医学賞)がもたらされる

汗はすごい

  • 菅屋潤壹/著
  • 筑摩書房

夏から秋にかけては、熱中症が問題になる。炎天下の運動や労働時だけではなく、28℃くらいの室温でも起こり得る。その大きな原因は、エアコン生活に慣れ、発汗による体温調節機能が低下したこと。「汗」の種々の効能を説いた名著。

食欲

石持浅海さん(愛媛県・作家)

石持浅海さんの本

Rのつく月には気をつけよう 

  • 石持浅海/著
  • 祥伝社

こちらも食欲の秋つながりで。酒と肴と謎解きをテーマにした短編集です。
お腹が空いていないときに、どうぞ。

辺境・近境

  • 村上春樹/著
  • 新潮社

推薦するのは、この本に収録されている「讃岐・超ディープうどん紀行」です。今でこそ全国どこでも讃岐うどんの看板が出ていますが、本場の迫力を味わいたければ、是非本書を手にとってください。

読書

市川拓司さん(東京都・作家)

市川拓司さんの本

MM 

  • 市川拓司/著
  • 小学館

正義についての話です。

シリア難民

  • パトリック・キングズレー/著
  • 藤原朝子/訳
  • ダイヤモンド社

読書の秋は、避難民の本を読もう。

スポーツ

逸木 裕さん(東京都・作家)

逸木 裕さんの本

少女は夜を綴らない

  • 逸木裕/著
  • KADOKAWA

人を殺したくない少女と、人を殺さなければならない少年が出会う、少し変わった青春ミステリです。

ウィメンズマラソン

  • 坂井希久子/著
  • 角川春樹事務所

とある理由で五輪から辞退させられ、一度は引退したはずの女子マラソンランナーが、二年のブランクを経てまた走りはじめる。立ちはだかる様々な障害を背負いながら、それでも走り続ける主人公の姿が胸を打つ。震えるほどに熱い小説です!

スポーツ

伊藤たかみさん(三重県出身(生まれは神戸市)・作家)

伊藤たかみさんの本

歌姫メイの秘密

  • 伊藤たかみ/著
  • 講談社

秋はせつないもの。本書にも初恋の甘さとほろ苦さを、ぎっしりと詰めこみました。せつなさ満点なので、ぜひ。

近鉄の廃線を歩く

  • 徳田耕一/著
  • JTBパブリッシング

自分でもよくわからないのだけれど、最近、古い電車が気になるように。季候のいいとき、ハイキングついでに廃線跡なんぞ巡れたらいいのにと妄想していたところ、こんないい本が。実家のすぐ近所にもあったとは驚き。今度、帰省ついでに歩こう。

食欲

戌井昭人さん(東京都・作家)

戌井昭人さんの本

ゼンマイ

  • 戌井昭人/著
  • 集英社

秋は、なんだか、わからないヘンテコな老人とモロッコへ、ヘンテコな旅をした気分に。

浅草風土記

  • 久保田万太郎/著
  • 中央公論新社

とにかく食いしん坊の久保田万太郎。赤貝を喉に詰まらせて亡くなったことからも、壮絶な食いしん坊っぷりが想像できます。この本は、万太郎の育った浅草を書いていますが、食物屋の話も沢山あり、これを頼りに浅草で食い倒すのもいいと思います。

スポーツ

植松三十里さん(静岡県・歴史小説家)

植松三十里さんの本

千の命

  • 植松三十里/著
  • 講談社

江戸時代、大勢の産婦の命を救った実在の産科医の物語。何人もの方に「泣けた」と言って頂けました。

人見絹枝 炎のスプリンター

  • 人見絹枝/著
  • 織田幹雄/編
  • 戸田純/編
  • 日本図書センター

日本女性にしとやかさだけが求められた戦前、陸上競技で世界に挑んだ女性アスリートがいた。心ない罵声を浴びせられても、トラックの内外で戦い続け、そして力尽きていった生涯には心打たれる。東京オリンピック前に読んでおきたい1冊。

芸術

遠藤拓人さん(東京都・イラストレーター)

遠藤拓人さんの本

竜は動かず 上

竜は動かず 下

  • 上田秀人/著
  • 講談社

新聞連載時の挿絵から装画までを担当しました。幕末の仙台藩士・玉虫左太夫を描いた歴史小説です。僕は彼が東北の坂本龍馬であったように思っています。

どんどん変に…

  • エドワード・ゴーリー/著
  • カレン・ウィルキン/編
  • 小山太一/訳
  • 宮本朋子/訳
  • 河出書房新社

芸術という範囲に分類すると本人の顰蹙を買いそうではあるが、このインタビュー集はゴーリーに触れられる大変貴重な1冊である。一貫して見えてくるのは、トレンドなど素知らぬ顔で自己の意識を信じ、敬虔なほどに創作を信頼するゴーリーのスタンスだ。

芸術

大崎梢さん(作家)

大崎梢さんの本

横濱エトランゼ

  • 大崎梢/著
  • 講談社

横浜を散歩するように読んでもらえたら嬉しいです。文明開化の風が潮風と共に吹き抜けるかも。

風味さんのカメラ日和

  • 柴田よしき/著
  • 文藝春秋

東京を離れ実家に戻ってきた主人公が、幼馴染みに頼まれ『デジタルカメラはじめて教室』に通い始める。カメラに詳しくない人はもちろん、詳しい人にも新しい気づきがあるはず。これからの季節、食べ物もスポーツも風景も被写体にぴったり。

読書

大山淳子さん(東京都・作家)

大山淳子さんの本

光二郎分解日記 西郷さんの犬

  • 大山淳子/著
  • 講談社

記憶があやしい75歳と2浪中の孫の迷コンビが警察も手をやく難事件を解決! できるのでしょうか? シリーズ第2弾です。

ことり

  • 小川洋子/著
  • 朝日新聞出版

この物語を人に薦める時、どこをどう誉めたら良いかわかりません。「とても良い時間を過越せた」と友人から手渡され、実際にとても良い時間を過越せました。しかも後で思い出すたびにその思いは増してゆく。強い作品です。

スポーツ

岡崎琢磨さん(福岡県・作家)

岡崎琢磨さんの本

病弱探偵

  • 岡崎琢磨/著
  • 講談社

運動会や読書など、秋の話も収録されています。秋くらい、健やかに過ごしたいものではありますが……。

遙かなるセントラルパーク 上

遙かなるセントラルパーク 下

  • トム・マクナブ/著
  • 飯島宏/訳
  • 文藝春秋

スポーツの秋に、アメリカ大陸横断マラソン……は壮大すぎますが、走り続けるランナーたちの姿に胸が熱くなること請け合いです。あなたも無性に走り出したくなるはず。読み終えたら、どのランナーがお気に入りかを語り合うのも一興。

食欲

小澤征良さん(東京都・作家)

小澤征良さんの本

しずかの朝

  • 小澤征良/著
  • 新潮社

祖母のタタに捧げたくて書いた物語です。

お料理はお好き 入江麻木の家庭料理

  • 入江麻木/著
  • 復刊ドットコム

祖母の“タタ”の本です。亡くなって二十数年経ってまだたくさんの方が彼女の本を求めて下さり復刊しました。きっと喜んでいるだろうな。

読書

小和田哲男さん(静岡県・静岡大学名誉教授)

小和田哲男さんの本

家訓で読む戦国

  • 小和田哲男/著
  • NHK出版

戦国武将の遺言状や家訓、さらには分国法から、乱世を生き抜く知恵を読みとっています。

今川氏研究の最前線

  • 日本史史料研究会/監修
  • 大石泰史/編
  • 洋泉社

今年のNHK大河ドラマ「おんな城主直虎」に今川寿桂尼・義元・氏真が出ているため、戦国大名今川氏に対する関心も高まっているように思われる。その今川氏がどのような領国経営をしていたかがよくわかる1冊である。

芸術

恩田陸さん(作家)

恩田陸さんの本

消滅

  • 恩田陸/著
  • 中央公論新社

改めて「コミュニケーション」というものについて考える機会にしていただければ。

孤独な祝祭 佐々木忠次

  • 追分日出子/著
  • 文藝春秋

「日本のディアギレフ」と呼ばれた男の生涯。こういう「一人で全部やってしまう」人って、ホント不思議だし、このタイミングで現れたことの奇跡に驚かされます。

読書

垣谷美雨さん(兵庫県・作家)

垣谷美雨さんの本

農ガール、農ライフ

  • 垣谷美雨/著
  • 祥伝社

お金も仕事も恋人もなくした久美子が、困難に立ち向かい、人生を切り開いていく姿を応援してください。

死の影の谷間

  • ロバート・C・オブライエン/作
  • 越智道雄/訳
  • 評論社

エドガー・アラン・ポー賞受賞作。核戦争で人類がほろびゆく中、ひとり生き残った少女アンが一人の男性と戦う。その聡明さや緊迫感で、読むのをやめられない。

芸術

門井慶喜さん(群馬県、栃木県・作家)

門井慶喜さんの本

銀河鉄道の父

  • 門井慶喜/著
  • 講談社

宮沢賢治の父が主人公の歴史小説。子供のころ賢治が重病で入院したとき、伝染を恐れず泊まりこみで看病した。明治時代にですよ。

オケマン大都市交響詩

  • 茂木大輔/著
  • 中央公論新社

ドラマ「のだめカンタービレ」の音楽監修も担当したN響首席オーボエ奏者による若き日の留学エッセイ。筒井康隆ふうの文体でシリアスな情況もコミカルに描く。やっぱり楽器の演奏も、才能はもちろん、練習量がものを言うんだなあ。

読書

金原瑞人さん(岡山県・翻訳家、法政大学教授)

金原瑞人さんの本

文学効能事典

  • エラ・バーサド/著
  • スーザン・エルダキン/著
  • 金原瑞人/訳
  • 石田文子/訳
  • フィルムアート社

悪魔に魂を売り渡したくなったときや、風邪をひいたときや、着ていく服がないときには、ぜひこの本を!

天の川銀河発電所

  • 佐藤文香/編著
  • 左右社

現代俳句の可能性が思い切り詰まった1冊。1968年以降生まれの若手の俳人54人の、どうだこれは!という俳句を、それぞれ39句~81句並べ、それに各俳人の短い解説が添えられている。この秋、柿でも食いながら、ぜひ!

読書

香山リカさん(北海道・精神科医)

香山リカさんの本

「いじめ」や「差別」をなくすためにできること

  • 香山リカ/著
  • 筑摩書房

いじめや差別から目をそむけないで。若い世代に熱く語ってみました。

チャヴ 弱者を敵視する社会

  • オーウェン・ジョーンズ/著
  • 依田卓巳/訳
  • 海と月社

切り捨てられるイギリスの若い労働者たちの実態と、そんな社会への激しい怒り、そして希望がほとばしっている。中立的な立場からの評論はもう古い!感情を丸出しにして声を上げよ!日本の“冷笑系”にこそ読んでもらいたい。

読書

北上次郎さん(東京都・文芸評論家)

北上次郎さんの本

勝手に!文庫解説

  • 北上次郎/著
  • 集英社

文庫解説は依頼が来なければ書けないが、そんなのを待っていたら、好きな小説の解説は書けない。じゃあ、勝手に書けばいいのではないかと雑誌に書いた解説をまとめたもの。

かがみの孤城

  • 辻村深月/著
  • ポプラ社

2017年上半期ベスト1に推した傑作。直木賞受賞後もなお高みをめざしている著者の新作だが、ホントにすごい。物語の衣装がファンタジーなので、年配の読者は手にとり辛いかもしれないが、辻村深月の作品に対する信頼がその壁をぶち破る。テーマは、人はつながっている、だ。この力強いモチーフがぐんぐんぐんぐん迫ってくる。

読書

北村 薫さん(埼玉県・作家)

北村 薫さんの本

うた合わせ 北村薫の百人一首

  • 北村 薫/著
  • 新潮社

小説が好きな人に耳打ちしたい。実は短歌は最も短い小説なのですよ。

人生の踏絵

  • 遠藤周作/著
  • 新潮社

逝った人の遺したものを、どのようにして本にするか。著者として名前の出ない《編集者》が、もう一人の著者創作者であることを、(講談社の『ヨーコさんの“言葉”』などと共に)見事に見せてくれた。

読書

くさか里樹さん(高知県・漫画家)

くさか里樹さんの本

ヘルプマン Vol.1~8

  • くさか里樹/著
  • 朝日新聞出版

大介護時代のシミュレーションとして役立つと思います。

退職刑事 1~6

  • 都筑道夫/著
  • 東京創元社

パンツをパンティーと勘違いするジェネレーション・ギャップがおもしろい。更に捜査に行きもせず茶の間でごはんを食べながら事件を解決するんだからほんとにおもしろい。

スポーツ

黒木 亮さん(北海道・作家)

黒木 亮さんの本

冬の喝采 上

冬の喝采 下

  • 黒木亮/著
  • 幻冬舎

実際に走った箱根駅伝とそこまでの長い道のり、運命の軌跡を描いた渾身の自伝長編です。

ヒトラーのオリンピックに挑め 上

ヒトラーのオリンピックに挑め 下

  • ダニエル・ジェイムズ・ブラウン/著
  • 森内薫/訳
  • 早川書房

1936年のベルリン五輪漕艇競技のエイトで金メダルを獲得した米国ワシントン大学のクルーを描いたノンフィクション。主人公のジョー・ランツは家族に捨てられ、自力で生活しながら、最後は金メダルを掴む。何度読んでも涙が溢れて止まりません。

読書

呉 勝浩さん(青森県・小説家)

呉 勝浩さんの本

白い衝動

  • 呉勝浩/著
  • 講談社

こちらは読み終わって、物語の消化に戸惑うような作品ですが、秋の夜長にぜひ。

魍魎の匣

  • 京極夏彦/著
  • 講談社

秋の夜長と申しますゆえ、ちょっと厚めの作品を読んでみるのはいかがでしょう。奇想と知のジェットコースターに乗って、千ページが瞬く間に過ぎてゆく、三べん生まれ変わってもわたしには書けそうにない傑作です。

芸術

コマツシンヤさん(高知県・マンガ家)

コマツシンヤさんの本

午后のあくび

  • コマツシンヤ/著
  • 亜紀書房
  • 11月上旬発売予定
  • ISBN 978-4-7505-1527-4

久しぶりの新刊です。白玉町に暮らす“ひび野あわこ”さんの少しだけへんな日常。近日発売予定です。

Scope

  • 桑原弘明/著
  • 平凡社

手のひら大の箱の中にある小さな世界。箱に取り付けられたレンズを通して箱の中のもう一つの世界を見ていると、それがミニチュアである事を忘れて、そのままレンズの向こうの世界へと入って行きたくなる。そんな作品を紹介した本です。

読書

小谷野敦さん(茨城県、埼玉県・作家、比較文学者)

小谷野敦さんの本

馬琴綺伝

  • 小谷野敦/著
  • 河出書房新社

馬琴を描いた小説というと、日記をもとに老人馬琴を描くのが定番だが、そこをあえて若い頃から描いたものです。『弁慶役者七代目幸四郎』も売れてほしい。

平凡物語 上

平凡物語 下

  • ゴンチャロフ/作
  • 井上満/訳
  • 岩波書店

ロシア文学ではゴンチャロフが一番面白いのはどういうわけか。地方から文学的志を抱いて首都にやってきた青年が、恋をして夢想的な文学を書いて叔父に冷笑されるが、恋に破れて堅実な官吏の道をゆく、というこの話は、二葉亭四迷への影響が感じられるが、普遍性を持っている。

スポーツ

坂井希久子さん(和歌山県・作家)

坂井希久子さんの本

ヒーローインタビュー

  • 坂井希久子/著
  • 角川春樹事務所

私も実はプロ野球を書いておりまして、こちらは2010年の阪神タイガース。誰の心にもヒーローはいる。そんなお話です。

ライオンズ、1958。

  • 平岡陽明/著
  • 角川春樹事務所

”○○の秋”にオススメの1冊通り、1958年のシーズンを背景に、番記者とヤクザ者の交流をメロウに描き出した作品。往年のスター選手は出てくるものの、純粋なスポーツ小説とは言えないかも知れないが、野球が人々に与える喜びや希望が感じられる。

食欲

佐川光晴さん(東京都・小説家)

佐川光晴さんの本

牛を屠る

  • 佐川光晴/著
  • 双葉社

大宮の屠畜場で「牛を屠る」日々を綴ったノンフィクション。生きた牛や豚が食肉になっていく過程がよくわかります。

食は広州に在り

  • 邱永漢/著
  • 中央公論社

「中国人は天下国家を左右する理想をふりまわす前にまず生活のことを考える」と邱氏は巻頭で述べる。今もなお、そうあれかしと、私は願う。「食」について書かれた本の嚆矢にして名著。昭和29年末から「あまカラ」に連載された。

読書

佐々木圭一さん(神奈川県・『伝え方が9割』著者)

佐々木圭一さんの本

まんがでわかる伝え方が9割

  • 佐々木圭一/著
  • 星井博文/シナリオ
  • 大舞キリコ/作画
  • ダイヤモンド社

伝えベタな編集者、五十嵐舞が、実は「伝え方」には法則があって学べることを知り、困難を乗りこえていくストーリー。

たった一言で人生が変わるほめ言葉の魔法

  • 原邦雄/著
  • アスコム

「ほめる大切さ」は、もともと感じていましたが、それをみごとに解説しています。さらにすごいのが、エピソードが感動的。ページをめくっていると涙が出そうになるポイントがいくつもあります。学びになるだけでなく、すがすがしい気持ちになる一冊です。

読書

志川節子さん(島根県・作家)

志川節子さんの本

  • 志川節子/著
  • 徳間書店

今年の花火大会をご覧になった方も、見逃してしまった方も、どうぞ『煌』で江戸時代の花火をお楽しみください。

江戸時代人物画帳 シーボルトのお抱え絵師・川原慶賀の描いた庶民の姿

  • 小林淳一/編著
  • 朝日新聞出版

副題にある通り、江戸時代の花魁や旅人、人足、僧侶などさまざまな人の姿が生き生きと写しだされている。着物の柄まで細かく描かれており、一人一人が画面から立ち上がってくるよう。

読書

篠田節子さん(東京都・作家)

篠田節子さんの本

長女たち

  • 篠田節子/著
  • 新潮社

介護・医療・家族を題材に、珍しく私自身の経験を盛り込んだ作品です。テーマを鮮明にするため、あえて貧困問題を切り離しました。

時間のないホテル

  • ウィル・ワイルズ/著
  • 茂木健/訳
  • 東京創元社

原題「ザ・ウェイ・イン」。世界中にあるコンヴェンションセンター併設のチェーン系ホテルが、実は増殖・発展の意思を持つアメーバのような建築物の集合体だった。出張族必携。大人の社会人が夢中になれる希有な幻想・不条理・娯楽小説。

食欲

柴田純与さん(イラストレーター)

柴田純与さんの本

もう一枝あれかし

  • あさのあつこ/著
  • 文藝春秋

装画を担当しました。女性の弱さや、ひたむきさ、かたくなさが美しい情景描写とともに心に沁みる短編集です。

給食のおにいさん
シリーズ全5巻発売中

  • 遠藤彩見/著
  • 幻冬舎

性格にやや難ありの俺様シェフが給食調理人に!
子供たちの抱える問題や給食作りの裏側がとても興味深い。
子供嫌いのシェフ、佐々目さんの成長にも目が離せない食育小説です。

読書

清水義範さん(愛知県・作家)

清水義範さんの本

日本の異界 名古屋

  • 池澤夏樹/訳
  • ベストセラーズ

人気のない街、名古屋について、あらためてじっくり考えてみた。名古屋の底力がわかります。

池澤直樹=個人編集 日本文学全集01古事記

  • 池澤夏樹/訳
  • 河出書房新社

秋には日本の古典をじっくりと読みたい。池澤夏樹訳はとっつきやすく、最初の日本文学を苦労なく読むことができる。

読書

小路幸也さん(北海道・小説家)

小路幸也さんの本

マイ・ディア・ポリスマン

  • 小路幸也/著
  • 祥伝社

現時点での最新刊、ということで。

羊飼いの暮らし

  • ジェイムズ・リーバンクス/著
  • 濱野大道/訳
  • 早川書房

羊飼いの暮らし。本当の、今の、羊飼いの暮らし。街に住む自分とはまるで違う、けれども同じ人間としての毎日の暮らし。フィクションだけじゃない、人生という物語の楽しみ。

スポーツ

白河三兎さん(作家)

白河三兎さんの本

他に好きな人がいるから

  • 白河三兎/著
  • 祥伝社

兎の被り物をして高所で危険な自撮りをするインスタグラマー。通称『兎人間』をめぐる少年少女の恋と謎の物語。

サクリファイス

  • 近藤史恵/著
  • 新潮社

表題は「犠牲」の意。ロードレースでは、エースのためにチームメイトが自分の勝利を犠牲にする。徹底した役割分担から生じる葛藤や軋轢をスピード感あふれる展開と伴に描かれている。読後には表題に込められた大きな意味を知ることになる。

読書

辛淑玉さん(東京都・人材育成コンサルタント)

辛淑玉さんの本

拉致と日本人

  • 蓮池透/著
    辛淑玉/著
  • 岩波書店

命がけで対談した一冊。蓮池透さんの生き様、弟で拉致被害者の薫さんの人生。「朝鮮式」と言われる薫さんの父親像がなんとも素敵だ。

眼の奥の森 新装版

  • 目取真俊/著
  • 影書房

私は、一気に読んで泣いて、泣いて、夜を明かした。米兵による強姦事件を基軸に、それに関わった様々な人たちの、時代と区間を超えた視点が語り継がれる。ウチナーグチの響きがなんとも切なく、美しい。英訳も出たと聞く。世界文学の作品だ。

読書

真藤順丈さん(東京都・作家)

真藤順丈さんの本

夜の淵をひと廻り

  • 真藤順丈/著
  • KADOKAWA

交番のお巡りさんが「全住民のストーカー」となって、市井にひそむ怪物級の犯罪者やご当地シリアルキラーと対決するサスペンス・ミステリです。こちらも是非。

天上の葦 上

天上の葦 下

  • 太田愛/著
  • KADOKAWA

右傾化する現代日本にあって、大本営発表さながらの情報統制への警鐘と、戦争世代の生き証人がいなくなる恐ろしさを最高強度のリーダビリティで書いた今年一番の面白本。読後、よく書いてくれた!とスタンディングオベーションを捧げたくなった。

読書

関 容子さん(東京都・エッセイスト)

関 容子さんの本

客席から見染めたひと

  • 関容子/著
  • 講談社

仲代達矢、小日向文世、串田和美…などが本音で語るインタビュー。

遠縁の女

  • 青山文平/著
  • 文藝春秋

直木賞受賞作『つまをめとらば』に続く武家小説三篇を収めている。藤沢周平を思わせる清冽な世界が感動を呼ぶ。

スポーツ

大道珠貴さん(福岡県・作家)

大道珠貴さんの本

背く子

  • 大道珠貴/著
  • 講談社

書きたいことを書きたいだけ書いてくだされ。その激励に鼻血が出そうになりました。文庫本表紙は自作の絵(猿)だった。

闘牛

  • 小林照幸/著
  • 毎日新聞出版

牛と牛との闘いの背後にある、人間たちの結びつき、助け合いには、日本人精神のルーツここにありという感がする。徳之島全体が踊り、唄い、祖先崇拝にまで繋がることに、私は畏敬するものである。牛になって私も地を蹴り角を立て、この人間たちに愛でられたい。

読書

大門剛明さん(三重県・作家)

大門剛明さんの本

婚活探偵

  • 大門剛明/著
  • 双葉社

優秀な探偵ながら女にもてず婚活している主人公。何度もお見合するが失敗続き。作者の経験を元に描いたユーモア小説。

アノニマス・コール

  • 薬丸岳/著
  • KADOKAWA

アノニマス・コールで娘を誘拐されたことを知り、主人公が娘を取り戻すために奮闘する話。警察を信じられず、正体不明の犯人と一人で戦うストーリーはハラハラドキドキのエンタメ作品になっている。自分の作品にも王道の誘拐物として刺激を与えてくれた。

読書

髙樹のぶ子さん(山口県・小説家)

髙樹のぶ子さんの本

オライオン飛行

  • 高樹のぶ子/著
  • 講談社

主人公たちと共に時空を飛んで頂きたい。

東京大学で世界文学を学ぶ

  • 辻原登/著
  • 集英社

文学がこんなに面白いものであると再発見させてくれる。私達は皆、過去に書かれた作品の遺伝子を持っているのだと、思い出させてくれる。だから謙虚にもなれるし勇気も湧いてくる。

読書

高嶋哲夫さん(岡山県・作家)

高嶋哲夫さんの本

電王

  • 高嶋哲夫/著
  • 幻冬舎

二人の少年の友情と才能の厳しさを描いたものです。将棋と人工知能。知識のない人でも十分に楽しめます。なぜなら……。

大数学者

  • 小堀憲/著
  • 筑摩書房

将棋界の天才が騒がれています。僕は大学に入った年に、下宿の友人に勧められて読みました。違った世界を垣間見た気がしました。世の中にはとんでもない天才がいます。若い人にぜひ読んでもらいたい。人生が変わるかもしれませんよ。

読書

髙田 郁さん(兵庫県・作家)

髙田 郁さんの本

あい 永遠に在り

  • 高田郁/著
  • 角川春樹事務所

著者として、実在した人物を取り上げる難しさと、丹念に取材を続けるうちに視界が拓ける喜びとを味わった作品です。

まちの本屋

  • 田口幹人/著
  • ポプラ社

本は「街の本屋さんで買う派」です。本屋さんに足を運んで棚を眺めていると、それだけで慰められ、元気をもらえます。本書は、本屋さんで日々、どのような知恵が絞られ、試行錯誤が繰り返されているかが手に取るようにわかる一冊です。

読書

高殿 円さん(兵庫県・作家)

高殿 円さんの本

政略結婚

  • 高殿 円/著
  • KADOKAWA

今現在において定義されている“女性らしさ”とはいったいいつからある呪いのなのか。たった120年ぽっちの間にこれだけ変わった結婚の定義。ならば今、私たちはとっくに死んだ人たちが作った呪いなんかに振り回されることはないのです。そういうことを感じ取ってもらえたらうれしいですね。

天国でまた会おう 上

天国でまた会おう 下

  • ピエール・ルメートル/著
  • 平岡敦/訳
  • 早川書房

「その女アレックス」シリーズが流行ったとき、ちょっとピンと来なかった私のような人。スケールの大きな逆襲の物語、たとえば古典で言うと巌窟王が好きな人。そしてなにより戦争という言葉が身近になっている現代において、第一次世界大戦がもたらした災厄について知りたい人におすすめ。エンターテイメント性の高い冒険小説であると同時に、古典的吊り店の展開は痛々しい戦後の話をふっとばすような疾走感を与えてくれる。そして、なおかつそこから何度も転がって終着点が予測できない展開はすばらしい。一粒で十度くらいおいしい小説です。

芸術

高橋カオリさん(大阪府・イラストレーター)

高橋カオリさんの本

恋コト京都

  • 高橋カオリ/著
  • LD&K BOOKS
  • ISBN 978-4-905312-32-1

京都の「恋愛ご利益スポット」を、イラストルポと漫画で紹介したガイド本。修学旅行生にも読んで頂きたいです。

ニッポンを解剖する!東京図鑑

  • JTBパブリッシング

東京の定番名所の建築・文化を、写真とイラスト・文でわかりやすく解説し、まるでガイドツアーに参加しているような感覚に。普段何気なく東京の街を歩いている東京在住者にも新鮮な驚きを与えてくれます。

芸術

瀧羽麻子さん(兵庫県・作家)

瀧羽麻子さんの本

乗りかかった船

  • 瀧羽麻子/著
  • 光文社

人事異動を軸とした連作短篇です。会社の人事にもやもやした経験をお持ちの皆様、よかったらご一読下さい。

へたも絵のうち

  • 熊谷守一/著
  • 平凡社

熊谷守一の絵が好きだ。シンプルで、力強くて、凛とあかるい。口述筆記によるこの自伝を読んで、どうしてあんな絵が描けるのか、少しだけわかった気がした。彼のシンプルで力強い生きざまが、素朴な語り口から伝わってくる。

芸術

立川談四楼さん(群馬県・落語家、作家)

立川談四楼さんの本

もっとハゲしく声に出して笑える日本語

  • 立川談四楼/著
  • 光文社

声に出して笑える日本語』シリーズ第3弾、”○○の秋”にオススメの1冊のハゲしくは、T議員の「このハゲー」のパクリです。

珍説輪廻小町情話

  • 真波連路/著
  • 幻冬舎メディアコンサルティング

著者は、オリジナル落語の脚本を手がけ、そのいくつかは落語家によって芝居に仕立てられています。本書も落語的テイストにあふれた短編6本で構成されています。秋の夜長、落語ファンにお勧めの1冊です。お楽しみください。

食欲

千早 茜さん(小説家)

千早 茜さんの本

人形たちの白昼夢

  • 千早 茜/著
  • PHP研究所

12の小さな物語たちが入った短編集です。秋の夜長に、毎晩ひとつずつ、12の世界を楽しんでみてください。

ことばの食卓

  • 武田百合子/文
  • 野中ユリ/画
  • 筑摩書房

食べることは生きることのはずなのに、この本に描かれている過去の食事はうっすらと死の気配があり、さみしい。無常観とさらりとした可笑しみがただよい、なんだか、すこし怖くもある。食べることに臆病だった子どもの頃を思いだすエッセイ本。

読書

辻 真先さん(愛知県・アニメ脚本家、ミステリ作家)

辻 真先さんの本

義経号、北溟を疾る

  • 辻 真先/著
  • 徳間書店

明治初期の北海道、お召し列車をめぐる活劇と謎解き。鉄道と新撰組が好きな方にどうぞ。

テスタメントシュピーゲル1~3下(全5巻)

  • 冲方 丁/著
  • 島田 フミカネ/イラスト
  • KADOKAWA

この作者を時代小説作家としか認識していない読者に、あえておすすめします。活字による疾走と激突を、ラノベ読みしか知らないとすれば勿体ない。でもこれは十年にわたるSF大長篇の結末だからなあー

読書

辻村深月さん(山梨県・作家)

辻村深月さんの本

かがみの孤城

  • 辻村深月/著
  • ポプラ社

秋の夜長、主人公こころたちとともにこの「城」で一緒にすごしていただければ幸いです。

挑戦者たち

  • 法月綸太郎/著
  • 新潮社

毎夜寝る前にちょっとずつ……、のつもりが気付くとやめられなくなってしまう、ミステリ好きなら最初から最後までニヤニヤがとまらない一冊です。

読書

出久根達郎さん(茨城県・作家)

階段を下りる女

  • ベルンハルト・シュリンク/著
  • 松永美穂/訳
  • 新潮社

恐ろしい「恋愛小説」『朗読者』の著者の最新作。この作家は第一級の「ミステリー作家」でもあるが、今回もまた……訳文がいい。あと味のいい日本語文体。活字を読んだ、という満足感がある。

読書

内藤 了さん(長野県・作家、デザイナー)

内藤 了さんの本

パンドラ 猟奇犯罪検死官・石上妙子

  • 内藤 了/著
  • KADOKAWA

書いていて初めて、読んで欲しいという感覚にとらわれた作品です。よろしければ是非!

33個めの石

  • 森岡正博/著
  • KADOKAWA

32人が殺害されたアメリカの銃乱射現場に、自殺した犯人の分を加え33の石が鎮魂の為に置かれた。それは誰の魂を救うことになるのだろうか。
一文一句に時間をかけて、想いを咀嚼するように読む本が、秋の夜長には相応しい。

読書

永江 朗さん(北海道・フリーライター)

永江 朗さんの本

東大VS京大入試文芸頂上決戦

  • 永江 朗/著
  • 原書房

東大と京大の国語入試問題にはどんな作品が選ばれているか? ちょいと文芸評論してみました。入試問題は時代を映す鏡です。

ポケットに物語を入れて

  • 角田光代/著
  • 小学館

角田さんは書く人としてだけでなく、読むのもうまい。本と読書と物語にまつわるエッセイ集。幼い日の「モモちゃん」との出会い、賢治・太宰から同時代の本まで。この本を読んでいると、いろんな本が読みたくなってくる。

芸術

長岡弘樹さん(山形県・作家)

長岡弘樹さんの本

血縁

  • 長岡弘樹/著
  • 集英社

犯罪の陰にアイデアあり。近しい間柄だからこそ起きる悲劇と、その果てに待つ意外性をお楽しみください。

映画はおそろしい

  • 黒沢清/著
  • 青土社

あなたにとって名文家といえば誰? そう問われれば、黒沢清氏の名をあげることにしています。映画監督にいい文章を書く人が多いのは、仕事柄、事物を隅々まで深く見つめる習慣がついているからでしょうか。

スポーツ

長嶋 有さん(作家)

長嶋 有さんの本

観なかった映画

  • 長嶋 有/著
  • 文藝春秋

題名とうらはらに、たくさんの映画について語ってます。秋の夜長のひねくれた映画ガイドとしてぜひ。

“蒙古の怪人”キラー・カーン自伝

  • キラー・カーン/著
  • 辰巳出版

大ファンだったわけでもないのに、なんだか気になっていた人の自伝。優れたスポーツマンは「良いよそ見」をしているものだが、やはり述懐の細部がいい。文章が整っていて、描写が的確でぐいぐい読ませます。

スポーツ

中村彰彦さん(栃木県・作家)

中村彰彦さんの本

歴史の坂道 戦国・幕末余話

  • 中村彰彦/著
  • 中央公論新社

この三年ほどの間に書いた歴史エッセイをまとめました。一話五枚を原則としたので読み易いでしょう

羆撃ち

  • 久保俊治/著
  • 小学館

羆撃ちで生活する猟師とアイヌ犬の交友はすぐれた動物文学になっている。北海道の森の匂いが丹念に描写されているのもすごい。

読書

なかやみわさん(埼玉県・絵本作家)

なかやみわさんの本

くろくんとちいさいしろくん

  • なかやみわ/さく・え
  • 童心社

「くれよんのくろくん」シリーズ、8年ぶりの新刊! 小さいしろくんと出会いお兄さんのように頼もしく成長したくろくんに期待して下さい。

戦う広告

  • 若林宣/著
  • 小学館

この本は、戦前から敗戦に至るまでの日本の雑誌、新聞に掲載された広告をずらりと紹介したものである。戦争が泥沼化していくにつれ、ぞっとするようなキャッチコピー、狂ったような広告がとびかい、人々の生活を戦争一色にしていく様子に怖くなる1冊だ。きな臭いこんな時代だからこそ、今読んでほしい!

読書

南木佳士さん(群馬県・作家、医師)

南木佳士さんの本

薬石としての本たち

  • 南木佳士/著
  • 文藝春秋

勤務医と作家の二足のわらじで40年。定年まで身を支えてくれた八冊の本に触れながら綴る私小説的半生記。

人体600万年史 上

人体600万年史 下

  • ダニエル・E・リーバーマン/著
  • 塩原通緒/訳
  • 早川書房

わたしたちのからだは一万五千年位前の後期旧石器時代の祖先とほとんどおなじ。狩猟・採集生活に適していたからだが、現代の便利すぎる環境とミスマッチを起こし、それが現代病の主な原因なのではないか。ハーバード大人類進化生物学教授の説は健康とはなにか、について明快な答えを与えてくれる。

読書

那須正幹さん(広島県・作家)

那須正幹さんの本

さぎ師たちの空

  • 那須正幹/著
  • ポプラ社

25年前に出版した作品が、25年ぶりに文庫になった。作者も愛着のある作品。

魔界転生 上

魔界転生 下

  • 山田風太郎/著
  • KADOKAWA

書庫で見つけ、懐かしくなって読み始めたが、終日夢中になって読みふけった。とにかく面白い。その面白さが数十年の歳月を経て、まったく色あせていない。作者のすごさを感じた。

読書

二階堂黎人さん(小説家)

二階堂黎人さんの本

巨大幽霊マンモス事件

  • 二階堂黎人/著
  • 講談社

新本格ミステリー30周年、作家デビュー25周年の記念碑的力作です。名探偵・二階堂蘭子シリーズの最新長編をお楽しみください。

デンジャラス

  • 桐野夏生/著
  • 中央公論新社

作家・谷崎潤一郎のある意味偏執的な人生を、彼の代表作である『細雪』の主人公(実妻の妹)の目線で語るもの。彼を取り巻く女性たちの思惑こそがデンジャラスなのだ。

スポーツ

西村賢太さん(東京都・作家)

西村賢太さんの本

芝公園六角堂跡

  • 西村賢太/著
  • 文藝春秋

“読んでほしい作”ではないが、夜郎自大ながらこれに何も汲むところを覚えなければ、二度拙作を手にする必要はありません。

球道恋々

  • 木内昇/著
  • 新潮社

明治時代の学生野球に材をとった長篇小説。綿密、緻密な調査と考証は悪い意味でのノンフィクション的記述に奔ることなく、抜群の小説家的空想力の中に見事に溶け込んでいる。労作にして快作です。

スポーツ

似鳥 鶏さん(千葉県・小説家)

似鳥 鶏さんの本

100億人のヨリコさん

  • 似鳥 鶏/著
  • 光文社

貧乏学生寮の変人学生達が世界を救うぶっとんだ話です。絶対予測不可能な展開と、爆笑の変態学生生活をお楽しみください。

盤上の夜

  • 宮内悠介/著
  • 東京創元社

「マインドスポーツ」なので「スポーツの秋」です。囲碁、チェス、麻雀等を題材に、それぞれ「達人」の域に到達した人々が人間と宇宙の深淵に迫る超奇想SF。囲碁その他のルールが分からなくても楽しめます。

食欲

野崎六助さん(作家)

野崎六助さんの本

北米探偵小説論

  • 野崎六助/著
  • インスクリプト

早いもので、上記「増補版」が出てから20年が過ぎた。近々、新世紀版「続編」を刊行できそうな運びとなった。

ゾラ・セレクション 2

  • ゾラ/著
  • 宮下志朗/責任編集
  • 小倉孝誠/責任編集
  • 朝比奈弘治/訳=解説
  • 藤原書店

パリの市場に溢れかえる野菜、肉、魚……。そして、それらをエネルギー源とする政争と、陰謀と、色恋と。社会のメカニズムを貪欲に活字化したゾラ世界の猛烈な「食欲」の物語。

スポーツ

萩原さちこさん(東京都・城郭ライター、編集者)

萩原さちこさんの本

江戸城の全貌

  • 萩原さちこ/著
  • さくら舎

江戸城散策は秋がベストシーズン。城下町歩きにも。

風が強く吹いている

  • 三浦しをん/著
  • 新潮社

物事に打ち込めることの喜び、スポーツでしか味わえない清々しい達成感を思い出させてくれます。

読書

浜島代志子さん(兵庫県・絵本教育家)

浜島代志子さんの本

1日7分の絵本で子どもの頭はみるみる良くなる!

  • 浜島代志子/著
  • すばる舎

対話式絵本読み聞かせが、子どもの地頭と人格を育てます。210冊の絵本リストで、お気に入りの1冊も見つかるはず。

ホ・オポノポノライフ

  • カマイリ・ラファエロヴィッチ/著
  • 平良アイリーン/訳
  • 講談社

煩わしい過去の問題を引きずって生きるのは辛いものです。人には見えなくても自分はわかりますからね。古代からハワイに伝わる自分で出来るシンプルな解決方法=ホ・オポノポノに助けられています。「愛しています」。心で唱えると落ち着きます。

読書

林 静一さん(旧満州・画家、作家)

林 静一さんの本

夢枕

  • 林 静一/著
  • パルコエンタテインメント事業局

漱石さんの『草枕』を下敷きに、現代の画工が日本の絵画について思い巡らす作品。まさに芸術の秋に相応しい書物だとおもうのだが・・・・。

性的不能の文化史

  • アンガス・マクラレン/著
  • 山本規雄/訳
  • 作品社

性的不能などと題名の付いた本を、電車の中で男として開くわけにはいかないから、どうしても自室に籠って読むことになるから、読書の秋にうってつけの本である。また岸田秀先生が人間の性本能は壊れていると言えば、武田邦彦先生は人間の男は性欲が無いと言い切るから、性的不能は当然と言えば当然な事で、万国の男性よ無理して立ち上がることはないのだ。

読書

東川篤哉さん(広島県・作家)

東川篤哉さんの本

探偵さえいなければ

  • 東川篤哉/著
  • 光文社

最新刊だから、というのが最大の理由ですが、内容的にも少し変わったミステリになっていると自負しています。

屋上の道化たち

  • 島田荘司/著
  • 講談社

一見、無関係に思えるエピソードがバラバラに提示され、それがひとつの場面へと集約されていき、最後には作者らしい奇想が炸裂します。これぞまさしく島田メソッド!面白いです。

スポーツ

樋口明雄さん(山口県・小説家)

樋口明雄さんの本

ブロッケンの悪魔

  • 樋口明雄/著
  • 角川春樹事務所

南アルプス北岳で勃発したテロ事件。PKO、原発事故、“今の日本”を描いた問題作が文庫で発売中です。

暗手

  • 馳星周/著
  • KADOKAWA

馳星周がイタリアのサッカー界を舞台に裏世界、八百長を描く! 過去を封印した主人公が魅力的だが、作品全体に漂う死の影、中国人の殺し屋、馬兵(マービン)の不気味さ。もしや殺し屋を名演した俳優、リー・マービンのもじりだろうか?

読書

平谷美樹さん(岩手県・作家)

平谷美樹さんの本

雀と五位鷺推当帖

  • 平谷美樹/著
  • 角川春樹事務所

読んでほしい作品は色々ありますが、この秋から始まった新シリーズは、ぜひ手にとっていただきたいです。

グリーン・マイル 上

グリーン・マイル 下

  • スティーヴン・キング/著
  • 白石朗/訳
  • 小学館

「喫煙者の作家が禁煙すると作品がつまらなくなる」それが持論でした。でも、この作品で考えを改めました。当時、月一冊で全六巻刊行されたのですが、次の巻が出るのが待ち遠しく、貪るように読んだ記憶があります。

食欲

廣嶋玲子さん(作家)

廣嶋玲子さんの本

銭天堂 ふしぎ駄菓子屋 8

  • 廣嶋玲子/著
  • jyajya/絵
  • 偕成社

シリーズ8巻目。食欲の秋にふさわしい10月に発売です。今回もユニークな駄菓子がどっさりです。

ライオンと魔女

  • C.S.ルイス/作
  • 瀬田貞二/訳
  • 岩波書店

子どものころからの愛読書。内容のおもしろさもさることながら、出てくる料理がなんともおいしそうで。魔女の魔力に満ちたお菓子や、ビーバー夫妻がごちそうしてくれる魚のフライに、どれほど憧れたことか。今読んでも、よだれが!

食欲

深沢 潮さん(東京都・小説家)

深沢 潮さんの本

伴侶の偏差値

  • 深沢 潮/著
  • 小学館

秋になると、結婚式に呼ばれることも多いのではないでしょうか。30代女性が「伴侶」について悩むお話です。

菜食主義者

  • ハンガン/著
  • きむふな/訳
  • クオン

食べることは生きること。人間の三大欲求のうちのひとつ、食欲について考え始めると眠れなくなり、長い秋の夜が身にしみる。この本は食欲だけでなく、性欲についても書かれているし、芸術についても触れている。そして、主義ってなんだろうと考えさせられる。

読書

福田和代さん(兵庫県・ミステリー作家)

福田和代さんの本

星星の火

  • 福田和代/著
  • 双葉社

この秋、第2巻が出るのです。というわけで、まずは文庫版の「星星の火」から読んでもらえると嬉しいです♪

フロスト始末 上

フロスト始末 下

  • R・D・ウィングフィールド/著
  • 芹澤恵/訳
  • 東京創元社

やっと、やっと、フロスト警部が帰ってきた!
だけど、これにてウィングフィールド版のフロスト警部は完結なのです。残念。あいかわらず、セクハラ親父でズボラな警部ですが、なんでこんなに面白いのか。今から読む人がうらやましいです。

芸術

藤野千夜さん(福岡県・小説家)

藤野千夜さんの本

編集ども集まれ!

  • 藤野千夜/著
  • 双葉社

小説家「笹子」が青年漫画誌の編集者だった1985年から93年までを回想する自伝小説です。会社はクビになりました。

手塚治虫表紙絵集

  • 手塚治虫/著
  • 森晴路/監修
  • 玄光社

先日あらためて『火の鳥』を通読して、手塚治虫という漫画家の偉大さを繰り返し思っていました。その手塚先生が描いた単行本の表紙絵を集めた感動の一冊。アトム、レオ、どろろ、リッキーら、キャラクターたちの可愛さにうっとりします。

スポーツ

枡野浩一さん(東京都・歌人)

枡野浩一さんの本

僕は運動おんち

  • 枡野浩一/著
  • 集英社

スポーツの

嫌いな僕が
人生で

初めて書いた

スポーツ小説

800

  • 川島誠/著
  • KADOKAWA

スポーツの

嫌いな僕が
人生で

初めて読めた

スポーツ小説

スポーツ

松田哲夫さん(東京都・編集者、書評家)

松田哲夫さんの本

縁もたけなわ

  • 松田哲夫/著
  • 小学館

編集者稼業50年、思いがけない出会いで縁が結ばれた人たちと、色とりどりの本を作ってきた、その愉快な裏話。

球道恋々

  • 木内昇/著
  • 新潮社

こんなに読みでのある面白い小説は滅多にない。明治末、旧制一高の野球部を舞台に、日本野球の草創期を描いた熱血ドラマにひきずりこまれること必定。語り部の「金なし、地位なし、才能なし」の男をはじめ魅力的なキャラもふんだんに登場。

スポーツ

三浦天紗子さん(東京都・ライター、ブックカウンセラー)

三浦天紗子さんの本

ホルモン・ダイエット

  • 三浦天紗子/著
  • 対馬ルリ子(婦人科医)/共著
  • マガジンハウス

美味しいものの誘惑の多い食欲の秋。美食とダイエットを両立する、女性ホルモンを活性化させるコツがわかる。

ピンポン

  • パクミンギュ/著
  • 斎藤真理子/訳
  • 白水社

原っぱに置かれた卓球台でピンポンに熱中するうちに、自分を肯定することを学んでいくいじめられっ子の二人の少年の成長物語に、ウィットと想像力をまとわせた、風変わりな読み心地がたまらない。

芸術

三上ナナエさん(人材育成コンサルタント)

三上ナナエさんの本

「気遣い」のキホン

  • 三上ナナエ/著
  • すばる舎

物語りを多く取り入れていますのでスルスルと読みすすめられます。

ペイネ・愛の本

  • レイモン・ペイネ/著
  • 串田孫一/解説
  • みすず書房

絵が自分の気持ちに寄りそってくれるので秋のちょっぴり人恋しい気分をいやしてくれます。毎年本を開くと伝わってくるメッセージが違う新鮮さが何度も再販されている理由かもしれません。

読書

三木 卓さん(静岡県・詩人、作家)

三木 卓さんの本

私の方丈記

  • 三木 卓/著
  • 河出書房新社

方丈記(現代語訳つき)への共感を、自らの体験からひっぱりだしたエッセイ集。

僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう

  • 山中伸弥/著 羽生善治/著 是枝裕和/著 山極壽一/著 永田和宏/著
  • 文藝春秋

「あんな偉い人でも、なんだ自分と同じじゃないかということを感じとってほしい」(永田和宏)と志ある若者にしかけた素敵な罠。深い。

芸術

道尾秀介さん(東京都・作家)

道尾秀介さんの本

  • 道尾秀介/著
  • 光文社

行ってしまった夏を振り返るついでに、子供時代の「あの気持ち」を、もう一度感じていただければと思います。

India 1979-2016

  • 鬼海弘雄/著
  • クレヴィス

この三十七年間、約二十回もの渡航で、鬼海さんは延べ五年もの月日をインドで過ごしました。いったい何に惹かれたのか。何が見たかったのか。掲載された写真たちが、それをじかに伝えてくれます。まさに集大成の写真集です。

読書

皆川博子さん(東京都・物語紡ぎ)

皆川博子さんの本

辺境図書館

  • 皆川博子/著
  • 講談社

これまでに耽読した本の中から、魅力的だけれど埋もれがちな偏愛作を選んで語っています。

黄色い雨

  • フリオ・リャマサーレス/著
  • 木村榮一/訳
  • 河出書房新社

スペインの、絶滅に向かう小さい村。最後まで留まった男の絶望と孤独が、詠嘆や感傷は一切なく、静謐にそうして力強く、美しい詩のような文章と独特なスタイルで描き出される。

読書

宮木あや子さん(神奈川県・小説家)

宮木あや子さんの本

ヴィオレッタの尖骨

  • 宮木あや子/著
  • 河出書房新社

閉鎖環境で生きる綺麗な女の子たちのお話、新刊です。またか……って思った私の読者。でもあなたそういうの好きでしょ?

砂漠の影絵

  • 石井光太/著
  • 光文社

実際にイスラム過激派集団や紛争地域の取材をしてきたジャーナリストの小説作品。誰が悪なのか、何が善なのか、これを読むと判らなくなり、自分の頭で「考える」および世界を「学ぶ」ことの重要さを痛感すると思う。

芸術

もとやすけいじさん(絵本作家)

もとやすけいじさんの本

ぽっぽこうくう

  • もとやすけいじ/著
  • 佼成出版社

絵本「つばめこうくう」シリーズ第2弾!小さな生き物たちの冬ごもりラッシュシーズン到来!今秋出版です!

Time goes by…

  • 永井博/著
  • 復刊ドットコム

日本イラストレーター界の巨匠、永井博先生の初作品集です。08年に出版され間もなく絶版でしたが、今年待望の復刊! プールサイドと青い空の絵から感じる心地よい風と空気、音楽。目に見えないものを描くということ。僕の宝物の一冊です。

芸術

森村誠一さん(埼玉県・小説作家)

森村誠一さんの本

深海の寓話

  • 森村誠一/著
  • KADOKAWA

定年退職後、することが何もない六人の私製の正義をもって巨大権力に挑む。

歌に私は泣くだらう

  • 永田和宏/著
  • 新潮社

歌に泣くその深みに夫婦の愛の永遠が胸をつく。いつの日か妻と我にもその日来て置き去らるるは必ず一人。死を目前にした美しくも強い人生。夫に妻が残した人生のオアシスの一首。

読書

諸田玲子さん(作家)

諸田玲子さんの本

今ひとたびの、和泉式部

  • 諸田玲子/著
  • 集英社

和泉式部の恋、そして死の謎に、私なりに迫ってみました。

起き姫

  • 杉本章子/著
  • 文藝春秋

2015年12月に逝去された杉本章子さんが病床で書き継がれた遺作。江戸の女たちのつつましくも愛しい暮らし、人情の機微が杉本さんらしいきめ細かな温かな筆致でつづられている。苦しくても起き上がる勇気を与えてくれます。

芸術

山崎ナオコーラさん(福岡県・エッセイスト/小説家)

山崎ナオコーラさんの本

母ではなくて、親になる

  • 山崎ナオコーラ/著
  • 河出書房新社

世の中には大変さを嘆く育児エッセイが多いですが、この本では「育児はまったく大変ではなく、楽しいだけだ」と笑っています。

彫刻家の娘

  • トーベ・ヤンソン/作
  • 富原真弓/訳
  • 講談社

ムーミンの作者のトーベ・ヤンソンの少女時代が描かれる。彫刻家である父親のぶっとび具合がかなり笑える。自分の作品が近所のおばちゃんに「おばちゃんアート」をほどこされてしまっても平気な顔をしているところなど、芸術のとらえ方が勉強になる。

芸術

山下澄人さん(兵庫県・作家、劇作家、俳優)

山下澄人さんの本

ほしのこ

  • 山下澄人/著
  • 文藝春秋

これは子供にも読んでほしいと思って書き、子供から大人までたくさんの人に手伝ってもらった本です。

ハタヨガの真髄

  • B.K.S.アイアンガー/著
  • 沖正弘/監訳
  • 沖正弘/訳
  • 後藤南海雄/訳
  • 玉木瑞枝/訳
  • 白揚社

滞在した土地や作品にゆかりのある料理とともに、ゴッホの生涯をたどる本。こういう料理を食べてどんな気持ちで筆をとっていたのだろうと想像しながら絵を見直してみると、思わぬ発見があるかもしれません。

読書

山田宗樹さん(愛知県・作家)

山田宗樹さんの本

きっと誰かが祈ってる

  • 山田宗樹/著
  • 幻冬舎

9月に出た新刊。あなたの知らないところで、あなたの幸せを祈ってる人が、きっといる。そんなお話です。

かがみの孤城

  • 辻村深月/著
  • ポプラ社

手練れの作家による技の冴えをたっぷり堪能できる、まさに読書の楽しみのすべてが詰まった一品。読了一番「あーおれもこういうの書きてえーっ!」と天を仰いだ。

読書

山藤章二さん(東京都)

山藤章二さんの本

自分史ときどき昭和史

  • 山藤章二/著
  • 岩波書店

「いき」の構造 他2篇

  • 九鬼周造/著
  • 岩波書店

「良書に時効なし」をモットーにしているので、古い本ばかり読んでいます。新刊に興味なし。

芸術

雪富千晶紀さん(愛知県・作家)

雪富千晶紀さんの本

黄泉がえりの町で、君と

  • 雪富千晶紀/著
  • KADOKAWA

ゾンビを通して「よく生きること」を考えるホラー。夏が舞台で恐縮ですが、秋の夜長にうっすら凍えていただければ。

ゴッホ旅とレシピ

  • 林綾野/著
  • 講談社

滞在した土地や作品にゆかりのある料理とともに、ゴッホの生涯をたどる本。こういう料理を食べてどんな気持ちで筆をとっていたのだろうと想像しながら絵を見直してみると、思わぬ発見があるかもしれません。

食欲

柚月裕子さん(岩手県・作家)

柚月裕子さんの本

盤上の向日葵

  • 柚月裕子/著
  • 中央公論新社

将棋界を舞台にしたミステリーです。骨格は警察小説ですが、藤井聡太四段の活躍で将棋に興味を抱いた方にもぜひ読んで頂きたいです。

最後の晩餐

  • 開高健/著
  • 光文社

丸谷才一の『食通知ったかぶり』や池波正太郎の『食卓の情景』など食のエッセイは数多あるが、一冊選ぶとすれば、これ。食欲が刺激されるばかりでなく、名文筆家の宝石のような片言隻句に酔いしれること請け合い。私なんぞはこれだけでワイン一本とご飯十杯はいける。

読書

湯本香樹実さん(作家)

湯本香樹実さんの本

夜の木の下で

  • 湯本香樹実/著
  • 新潮社

この秋に文庫化される短篇集です。よろしくお願いします。

五月の雪

  • クセニヤ・メルニク/著
  • 小川高義/訳
  • 新潮社

ロシアで生まれ少女期にアメリカに渡った著者による、かつて強制収容所が置かれたロシア極東の町マガダンを舞台とする短篇集。人生の酷さと哀感とやさしさを鮮やかに描きだす。素晴らしいの一言です。

食欲

米澤穂信さん(岐阜県・作家)

米澤穂信さんの本

満願

  • 米澤穂信/著
  • 新潮社

文庫化を含めれば、これが最新刊になります。

くいしんぼう

  • 松浦弥太郎/著
  • マガジンハウス

おいしい店については情報が氾濫しすぎて選ぶことが難しく、本やURLではなく人で選ぶのがよいやり方だと思う。この本はあまり紹介したくなかったが、当然のようにどれもおいしい、本当にどれもおいしい。

読書

米山公啓さん(山梨県・医学博士)

米山公啓さんの本

新・医学常識のウソ・ホント

  • 米山公啓/著
  • 永岡書店

医学常識を科学的に考え直していきます。いかに世の中には間違った医学情報があふれているかきっと驚きます。

テロメア・エフェクト 

  • エリザベス・ブラックバーン/著
  • エリッサ・エペル/著
  • 森内薫/訳
  • NHK出版

験則でない遺伝子の視点から長寿を考えていることが信頼できる。
テロメアの長さが長寿と関係する。人生の生き方や考え方がなぜ長寿に影響してくるのか。
長生きの秘訣も書かれている。

読書

領家髙子さん(東京都・作家)

領家髙子さんの本

鶴屋南北の恋

  • 領家髙子/著
  • 光文社

大江戸歌舞伎の重鎮南北の最晩年に若々しい恋を用意しました。幸せな終の住処を求める全ての人に捧げます。

忘れられた日本人

  • 宮本常一/著
  • 岩波書店

明治十七年十月、板垣自由党がその直前に解党する秩父困民党蜂起の主導者は、在地自由党員かつ「老練な世間師」(色川大吉説)でした。宮本常一の本著には昭和に生き残った世間師や女性含む古老たちの姿がいきいきと描かれています。

スポーツ

和田秀樹さん(大阪府・精神科医、映画監督)

和田秀樹さんの本

思秋期

  • 和田秀樹/著
  • ブックマン社

こちらは食欲の秋ですが大人と老人の間を思秋期と呼び、もっとその時期に「思う」ことを勧める。栄養不足のほうが老化しやすいので、食べたいものを食べるための教科書になると信じる

赤ヘル1975

  • 重松清/著
  • 講談社

大阪でも東京でもいじめられてカープファンになった私が、今一番映画にしたい小説。主人公が転校生なのにも感情移入できたが、カープの初優勝は原爆の傷跡が残る街の人にどれだけの希望を与えたか?優勝を見れず原爆症で死んでいった人の遺影をもってパレードに人が集まるシーンは泣ける

芸術

和田 竜さん(大阪府・作家)

和田 竜さんの本

小太郎の左腕

  • 和田 竜/著
  • 小学館

まだ製作決定ではありませんが、映像化に向け、動き出しました。きっと良いものにしますので、ご関心おありの方はどうぞ

我が名は、カモン

  • 犬童一心/著
  • 河出書房新社

この小説は、普通の作家であれば絶対に避けて通る、とある課題に取り組み、見事にクリアしています。読めば一目瞭然ですので、是非体感していただきたい!

読書

渡辺裕之さん(作家)

渡辺裕之さんの本

北のジョーカー

  • 渡辺裕之/著
  • KADOKAWA

10月にシリーズ最新作が出るので、主人公である元公安調査庁特別調査官影山夏樹の活躍をお楽しみください。

狸汁

  • 柴田哲孝/著
  • 光文社

代表作「下山事件 最後の証言」などのノンフィクションから「中国毒」などの硬派の小説まで幅広いジャンルで知られる柴田氏であるが、めずらしく人情もので、小料理屋を舞台にしている。料理の一品ごとに話が完結しているので、秋の夜長にふさわしい一冊である。