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「朝の読書」への一歩を

兵庫県・朝来郡朝来町 町立朝来中学校
朝来中学校の朝の読書風景

 2000年の全国の読書調査(5月1カ月の読書量)によると小学生で6・1冊、中学生で平均2・1冊とか。文部省の平成10、11、12年度学校図書館情報化・活性化推進モデル地域事業指定地域の小・中学校の読書量は同じ5月、小学生で6・6冊、中学生で2・7冊である。小・中学生計で5・2冊で学年が上がるにつれて減少している。また、男女別では、小・中学生計で女子5・9冊、男子4・5冊で女子の方が多くなっている。各学年とも女子が男子を上まわっている。
 この調査をみてもモデル地域内の小・中学生がさまざまな読書活動に積極的に取り組んだ結果で読書量が増加したと考えられる。本校の調査(2000年5月1ヵ月)でも1年生は3・3冊、2、3年生は0・9冊で、1冊も読んでいない生徒が75%もいた。この実態に驚くとともに読書活動の重要性を改めて感じた。その理由は、1年生の読書量が多いのは4月から「朝の読書」を開始していたからである。

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 「百の議論より一つの実行」、まさにそのとおりである。1学年部の学年主任が学年経営の一つに「朝の読書」を位置づけて4月から実践してきたからである。「朝の10分間読書」の4原則「みんなでやる 毎日やる 好きな本でよい ただ読むだけ」のこの単純な活動を教室で行うだけでいいのである。そのことだけを続けることで「教室に奇跡が起きる」のである。それも日本全国の学校においてである。その絡果、読書量が増すだけでなく「本好きな子供が育つ」のである。単に生涯教育の基礎として読書習慣を身につけるだけでなく、現在の子供にとってもっとも必要な「本を読むことによって、生きるとはどういうことかを学ぶ」と同時に「生きる力としての言語能力を身につける」のである。それも子供一人一人が自分の発達段階に合わせて「本を読むことによって自分の力で心を育む」ので、まさに現代の教育課題である「生きる力の基礎である自ら学び自ら考える力の育成」にこたえる教育活動の一つであると確信する。

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 朝来中学校の「朝の読書」の1年目の実践への取り組みは、学年会で「ともかく実践する。その後検討を」の方針でスタートした。4月12日 オリエンテーション(朝読書の意義とやり方・図書室の使い方やマナー)、4月14日朝読書の開始。時間帯は朝学習の10分間(8:20〜8:30)。本の内容は自分の読みたいと思う本(図書室・学級文庫から借りたり、各自家庭から持参)。雑誌・マンガ・教科書は禁止した。
 生徒の感想として「4月から朝の読書をやっていて、毎日続けると、自分で自分が変わっていくのがわかりました。少しの間だけどちょっとずつ本を読む回数が増えてきました。朝の読書は心を落ち着かせる大切な時間ということがわかりました」(男子生徒)。「朝、読書をするとき、クラスのみんながとても静かに読んでいると、私はとてもその時間が集中できていいと思います。本を読んでいると、自分が本の中の主人公になれるからです」(女子生徒)。その後の生徒の感想を読んでいると、「読書が習慣化してきて、読書のおもしろさがわかってきた生徒が増えた」「生徒の心を落ち着かせることができる」「図書館の利用が増えた」「昼休みなど、授業と授業との合間にも本を広げる生徒がでてきた」などの成果を確認できた。

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 2年目の実践は、ともかく「継続すること」をモットーに「朝の読書」に力を注いでいる。2000年6月。林先生に会った時、神戸須磨での中学生による連続児童殺傷事件が話題になった。先生は「兵庫に朝の読書がもっと早く普及していたらこの事件はさけられたと思う」と語られた。私はその言葉を今も常に心に刻みながら歩んでいる。


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