大泊小学校は、鹿児島県大隅半島の最南端、校区内に佐多岬もある九州最南端の小学校です。昭和30年代の観光ブームの頃は訪れる人も多く賑わいを見せていましたが、最近では校区の過疎化が進んでいます。
学校の眼前は太平洋。種子島を遠く眺めることができます。海上交通の要所で、一日中絶えることなくタンカーなどが行き交っています。地域の主な産業は漁業で、PTAの多くも漁業に従事されており「トサカノリ」や「トビウオ」「ブリ」など、季節ごとに様々な水産品が水揚げされています。
さて、本年度の大泊小学校は、児童数十四名(みさき留学生一名を含む)、学級数四(特別支援学級一を含む)の完全複式学級の小規模校です。児童数が激減したので、昨年度から留学生を募集し「みさき留学制度」を開始しました。昨年度は沖縄から、本年度は大阪から留学生一名がやって来ました。
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本校では平成18年度より、B&G財団の支援を受け、「水に賢い子どもを育む年間型活動プログラム」(水プロ)を実施しています。海を題材に様々な体験活動を通して、子ども達に生きる力を身につけさせる活動です。水プロ活動の様子を、広く発信するため、ブログ「佐多岬ウォータージュニア」を開設しました。水プロ活動だけではなく、日々の学校の様子をオープンにし、全職員で記事を投稿してきました。また、子どもの目を通し日常の様子を発信する「子ども記者」活動も始めました。このような活動を評価していただき、2006CANPAN団体ブログ賞など、いくつかの賞をいただくことができました。最南端の学校にいる子ども達に、外の広い世界へと目を向けさせる強力なきっかけになりました。
このブログが縁で、平成19年3月にJWordが主催された「本プレ」企画で、多くの図書をいただくことができました。台風の被害で図書室の図書が潮をかぶり、大量に廃棄しました。図書予算も年々減少の一途です。子ども達にもっと楽しい本、新しい本を読ませてやりたいという職員の思いとはうらはらに、なかなか図書の内容が充実せず悩んでいました。そんな折に、たくさんの図書をいただいたことで子ども達の読書意欲が向上したことは言うまでもありません。
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本校でも、月曜から木曜まで「朝の読書」活動を実施しています。朝の読書の時刻になるとそれぞれ、読みたい本を読み始めます。平成19年度の三学期からは、BGMが流れる落ち着いた雰囲気の中で読書をしています。この時間は学校の中はBGMの音しか聞こえてこなくなります。
年間二回の読書月間には図書委員会の子ども達の読み聞かせ、上・下学年ペアの仲良し読書、職員の輪番での読み聞かせなどの活動を行っています。保護者と児童の親子読書会も、年間七回ほど実施しています。保護者の読み聞かせや、簡単なアニマシオンなどを行っています。
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本校の図書室には、司書補がおらず、本の貸し出しは図書データのバーコード化により児童が自分たちの手で容易にできるようにしています。児童だけでなく、卒業生、保護者などへの図書の貸し出しも行っています。近くに大きな書店がなく、公立図書館まで車で二十分程かかります。学校の図書館が果たす役割が大変大きく、今後も図書室を充実させようと考えています。町立図書館や県立図書館からの巡回借用図書も加え、学年別課題図書を設定し読破者には認定証を授与し励ましています。また、家庭での一〇分間ノーテレビ読書タイムの呼びかけや集落放送を活用して朗読を放送するなども今後取り組んでいこうと計画しています。
特に朝の読書タイムでは、児童自ら自分の読みたい本を準備し始めるなど、本への関心が高まりつつあり、読書冊数も増加してきました。
児童のこのような成長は読書活動の工夫と実践が大きく関わっていると感じます。今後も更に取り組んで参りたいと思います。 |