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読書活動を支える朝の読書

宮城県 古川黎明中・高校
▲古川黎明中・高校の「朝の読書」風景

 本校は、JR古川駅より徒歩三〇分。すぐ近くに諏訪神社と諏訪公園があり、四季折々の自然の表情を堪能することができる。大正九年四月創立。県内では宮城第一高等女学校に続く公立の女子教育の学校として設置。創立当時から生徒の自主性を重んじてきた伝統があり、学力向上と同時に、調和の取れた豊かな人間性を培う校風が築かれてきた。
戦後、新制古川女子高校となり、平成十七年四月から宮城県初の併設型中高一貫校(男女共学)として生まれ変わり、校名も「宮城県古川黎明中学校・高等学校」と新たに命名された。
現在は、開校以来四年目を迎え、内部進学一期生が高校に進学し、中高一貫教育の第二ステージとして様々な取り組みを行っている。「学びの土台づくり」を目的に、週一時間全校で取り組んでいる「言偏の時間」もその一環である。

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 本校の「朝の読書」は、「言偏の時間」の「読書の習慣を付ける」活動を支える核として位置づけて実践している。担任は朝の打ち合わせを済ませて八時三〇分には教室へ行く。静かにクラッシック音楽が聞こえて来る。「さあ、朝の読書の時間ですよ。本の用意をしなさい」と担任が指示するのではなく、既に朝の読書が始まっている。もちろん教職員も可能な限り生徒とともに読書をする時間としている。長い学校生活の中の朝のわずか一〇分であるが、貴重な時間になっている。

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 本校の生徒の読書に対する意識は高く、取り組む姿勢は良好で自然に読書の態勢ができる。個人差はあるが、多読者として表彰される生徒は、一年間に一五〇冊以上を読破している。しかし、読むジャンルについては、文学が大半を占めている。そんな中で、より朝の読書の充実と読書活動の啓発をねらいとして、互いの「本の紹介」を中心に取り組んでいることがある。それは、@読み聞かせAブックレビューBブックトークである。これらの活動をとおして「本の楽しさを広げる。本のジャンルを広げる。読みや考えを確かめ合う」場になり、さらに楽しみながら意欲的に取り組んでいる。
そのような生徒たちの読書意欲を満足させるためには、図書の質と量を考慮した読書環境を整えなければならないと考える。中学校の図書室の現状は、十分ではない。まず、蔵書冊数は、生徒二四〇人に対して二九〇二冊で、一人について一二冊程度である。次に広さは、四〇名の生徒が入るといっぱいになってしまう。唯一救われるのは、高校図書館も利用可能ということである。しかし、利用する生徒は少ない。

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 このように課題は山積しており、よりよい方向に向かわせるように次の取り組みをしていきたい。
・「朝の読書」の時間の確保を充実させる。本校のタイムテーブルの現状からすると「朝の読書」一〇分間を、全校生徒に保証することが困難である。今後は、中学校・高校との時間のすり合わせによって時間確保に努めたい。
・「朝の読書」の四原則が、本校の教育目標「共生の心の涵養=地球に生きる一員として互いを知って、共に生きていく生徒」の具現化を担っていることについて、教師間の共通理解・共通行動とし「朝の読書」に積極的に全校で取り組む体制を、改めてつくっていきたい。
・読書する本のジャンルは、小説や物語が多い。読書に関する本の紹介をすることによって、論理的な文章にふれる機会を意図的に作り、読書ジャンルの偏りの解消に努めたい。
以上、本校の朝の読書を中心に、生徒の読書状況や読書活動の啓発、読書環境などについて述べてきた。「言偏の時間」のねらいを達成するためには、朝の読書は不可欠である。生徒の心の豊かさや人間性の広さは、読書によるものと信じ、朝の読書を継続していきたい。

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