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読書の楽しさ・発見

福岡県添田町 津野小学校
▲津野小学校の「朝の読書」風景

 国定公園英彦山北側の山麓、油木ダムの東岸に位置する津野小学校。児童数32名という小規模校である。自然に恵まれた環境の中で子どもたちは、大変明るく、伸び伸びと学校生活を過ごしている。しかし、少人数特有の人前に出て自分を表現することが苦手で、発表に必要な語彙数も少ないため、コミニュケーション力が弱い。そのため、いろいろな本にふれさせることで、語彙数を増やし、表現力を付けようと全校で「朝の読書」を始めた。

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 本校では、図書委員会が毎月20冊ずつ学級文庫として本を選び、学級に設置している。委員会の子どもたちは、どんな本が好きか、前の月と同じような傾向にならないように学年の実態を考えて、毎月の本を選んでいる。また、町立図書館と学校が連携し、学年ごとに毎月30冊程度の本を貸し出しすることができるので町立図書館の本も活用している。子どもたちは、毎月、学級文庫でどんな本が届けられるか、とても楽しみにしている。朝登校してきて荷物を整理した後、今日読む本を選び席に着く。中には、時間がくる前から読書を始めている子どもたちの姿が見られる。時間が来れば、一斉に読書を始める。「朝の読書」を始めた頃は、簡単に楽に読むことにできる絵本や短編の本ばかりを選んでいた。朝の読書の時間が終わるのを時計を見ながら待っている児童もいたが、今では、「朝の読書」がきっかけで、読書のおもしろさを感じた子どもや今まで読んだことのないような本も読んでみようとする姿が見られる。「ハリー・ポッター」や「ダレン・シャン」などの長編小説に挑戦している子どももいる。また、読んだ本を回し読みし、友達と読んだ本のおもしろさを共有する子どもたちの姿も見られる。

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 子どもたちの読書傾向を見ていると、同じような本ばかり読んでいることが分かってきた。そこで、幅広いジャンルの本に触れさたいと思い、町の読書ボランティアの方々の読み聞かせをしている。学校には置いていない本や初めて出会う本がたくさんあり、いろいろな本に関心を持つようになった。さらに、図書委員会の取り組みとして、「本の紹介」や「読書クイズ」「ペープサートによる読み聞かせ」など、たくさんの本に親しんでもらうために様々な活動をしている。
「朝の読書」の取り組みで、全ての子どもたちがコミュニケーションをとれるようになったわけではないが、読書を通しての話題が増え、取り入れた知識をクイズにしたり友だちに教えてやる様子がみられるようになった。

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 「朝の読書」の時間は、教室には話し声や物音は全くしない。静かな時間と子どもたちの真剣に本を読む姿があるだけである。集中する姿は、本の世界に浸っているからなのであろう。
「朝の読書」を子どもたちは、「自分の好きな本が読める」と楽しみにしている。本を読むことは、子どもたちの想像力を育て、子どもたちの感性を豊かにするものだと信じている。ゲームやテレビなど映像の世界に関心を持ち、楽しいことばかり追い求めてしまいがちな子どもたちに、心の中の広い世界を感じさせることのできる読書の時間を大切にしていきたいと思う。この取り組みが、成長し、大人になった子どもたちの読書生活にずっとつながればいいなと思っている。

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