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感性を高めよう
─短歌と読書─

大分県豊後大野市 上緒方小学校
▲上緒方小学校の「朝の読書」風景

 「アサガオにかまきりがきたうれしそうぼくはいやだあめもふるから」この短歌は、本校の1年生が詠んだものです。
 上緒方小学校は、地域の夭折の歌人「徳田白楊」にちなんで、短歌活動に力を入れています。毎月発行している短歌集「やまならし」は現在までに132号を迎えるほどになりました。この歌集は地区にも回覧され、地域の人たちからもとても喜ばれています。ある地域の人から、
『上小の全員参加の「やまならし」心打たれて六十路で筆持つ』という短歌も寄せられています。

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 さて、本校は、九州山地の中心となる祖母山のほぼ北東の山麓にあり、学校の周りに豊かな自然が広がっています。現在、児童数は26名で2複式、準へき地校です。
 地域には、たくさんの文化遺産や郷土芸能などが残り、子どもたちは上緒方地区の歴史や自然について、学年に応じて学習を行い、理解を進めています。子どもたちは、これらの学習の中でこんな短歌を詠んでいます。
「開拓の歴史を伝える飯野さんその手を見たら一目瞭然(6年)」
「白楊の二つの歌碑を見て歩き短歌を復唱しながらさわる(6年)」短歌をつくるのに大切なものは感性や語彙力だと思います。
 そこで、本校では10年ほど前から朝読書に取り組んでいます。読書の楽しみにふれることはもちろんですが、感性を高める(豊かな表現にふれる)、語彙力をつける、一日の学習に入るためのリズムや穏やかな雰囲気づくりをつくる等のねらいもあります。

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 朝読書は、8時10分から15分間毎日行っています。最初の5分は、教師がつき指導をするようにしています。始めた当初は、本を選ぶのに時間がかかったり、話し声も聞こえたそうですが、今は、教師がつかなくても、物音たてず集中して本を読むことができるようになっています。私も、時々学校内を回って様子を見ますが、どの子も集中して本を読む姿が見られます。穏やかな1日のスタートとなっているようです。
 また、月に2、3回地域のボランティアによる本の読み聞かせも行っています。教師による読み聞かせはもちろんですが、地域のボランティアの読み聞かせは、子どもたちのお気に入りです。ある子どもは、読み聞かせのあと、
「読み聞かせたおれた人をたすけてたえらいライオンみんなのヒーロー」と感想を短歌に表しています。

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 読書活動を進める中で、今年度、うれしかったことは、平成20年3月にJWordが主催した「本プレ」企画で、多くの本をいただいたことです。公立図書館にも遠く、近くに本屋さんもない地区に住む子どもたちにとって、この多くの本はとてもうれしいものとなりました。本校でも年に3回読書月間をもうけ、司書を中心に本の紹介、図書集会、親子読書の呼びかけ等子どもたちのみならず、保護者にも様々な働きかけをしています。今回本の寄贈をうけたことで子どもたちの読書熱を一層刺激することができました。本当に感謝しているところです。子どもたちは、この読書月間でもこんな短歌を詠んでいます。
「10月は読書月間がんばりたいたっせいしたいよ読書の秋(2年)」

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 子どもたちには、読書の喜びを知り、本の中からたくさんのものを見つけ、自分の感性を磨いてほしいと思います。そのための支援をこれからも続けていきたいと考えています。
「けんかをしくやしなみだをながしたらせみなきじゃくりなぐさめ言葉(5年)」「竹の子の皮をむきつつ考えるどこまで服でどこまで体(6年)」

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