本校の位置と児童の様子
本校は、四国三郎の名で知られる吉野川の下流に位置する全校児童一八三名の学校である。校区は、酪農と農業が盛んであり、児童の体験活動を快く受け入れてくれる人情あふれる地域である。
そのような環境で育った児童は、素直で純朴である。幼い時から、友人関係が変わらないため、多くの言葉を言わなくても解り合えることもあり、きちんとした文で自己表現する力に欠けていると感じる。
周りに文化的施設も少なく、安全ではあるが、刺激のない生活を送る傾向が見られる児童たちに、本を通じて、先人の生き方や考え方に触れるなどの様々な間接体験の機会をつくり、夢を持ちながら未来へ向かって前進する子ども、自分の考えを持ち、それをしっかり表現できる子を育てたいという思いで、朝の読書活動を推進している。
朝の読書活動は毎週、月、水、金曜日に行い、毎木曜日はボランティアによる読み聞かせを実施している。
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子どもの様子と教師の反応
朝読をするようになって、授業への導入がしやすくなったと担任は感じている。また、少しではあるが読解力も向上しつつある。そしてなによりも、本好きの子どもが育ってきている。学校評価アンケートの「家庭で読書をしますか」の結果が昨年度に比べ、倍以上の良い結果を得ている。六年女子児童の中には、年間百冊以上の本を読んでいる子どももいる。詩の本を好んで読んでいる二年女子児童の詩を紹介する。某新聞社に応募し、採用されたことで、読書熱に拍車がかかっている。
家でおでん 二年児童
きょうは家で ぐつぐつおでん
少し食べたら うどんが来たよ
あちちのち あちちのち
うどんはすぐに あじきいて
だいこんじるが しみこんで
おいしいおでんになりました
きょうは楽しい 家でおでん
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朝読を支えてくれるボランティア
ボランティアによる毎週一回の読み聞かせも七年目を迎えている。本を読むことに慣れていない児童にとって、絵本の読み聞かせは「その本の続きを知りたい。もう一度、内容を読みたい」という気持ちになる貴重な体験となっている。読み聞かせサークルは第二第四土曜日に、本校の図書室の開放も行なってくれている。本好きな子、大人が家にいない子にとって、本と一層触れ合う機会となっている。本当にありがたいことである。
読み聞かせボランティアとともに、保護者の支援もありがたい。町内には図書館がない。隣町の図書館に子どもだけで行くには交通手段がない状況である。そこで保護者が順番に借り入れに行き、朝読用に学級文庫の本の入れ替えを行なってくれている。
図書の購入にも、地域や保護者の協力をいただいている。学校を支援してくれているボランティア団体から、アルミ缶回収の収益金を図書購入に寄付してもらっている。また、環境教育の一環で行っている古紙回収に地域をあげて協力いただいている。昨年度はその収益金で百冊以上の図書が購入できた。「子どもは地域の宝」の精神で、朝の読書の充実のための支援を地域・保護者にいただき、心豊かで表現力のある子どもが育ちつつある。
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今後の取り組み
子どもの読書推進の大切さが言われているが、子どもに読書習慣をつけるためには、家庭との連携を図る中で、読書環境の充実を進めていく必要がある。朝の読書の確実な実行は、朝読の四原則と基本精神を確認しながらの教師の実践が大切であると考える。今後も読書活動の中核として朝読を位置づけ、児童の育成に努力していきたいと考えている。
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