トップページ朝の読書ホームページ→「朝の読書」トピックス

「朝の読書」が育むもの

新潟県新潟市 東京学館新潟高校
▲東京学館新潟高校の「朝の読書」風景

 新潟市は、大河信濃川の河口に位置し江戸時代から港湾都市として発展してきた。現在は、上越新幹線、新潟空港、新潟西港など、陸海空の交通網に恵まれ、また、穀倉地帯である新潟平野を背後に控えた日本海側唯一の政令市でもある。歌人の会津八一、作家の坂口安吾、新井満、藤沢周、「天地人」の火坂雅志など、当市の出身である。
 本校は、創立27年目の私立高校で33学級、一、二五四人の大規模校である。部活動が盛んで多くの運動部がインターハイや全国選抜大会で活躍する。文化部では書道部をはじめ、数多くの部が高いレベルで活動している。
本校の一日は、「朝の読書」の静寂から始まる。

□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □

 ○「朝読」実施の目的
 御多分に漏れず、本校でも生徒の文字離れが指摘され、読書習慣を持つ生徒は少なく、授業や大学入試においても読解力不足が心配されていた。そこで、読書を習慣化させることで知識や視野を広げ、創造力、思考力の育成を狙って「朝読」の実施を考えた。
 約半年の間、調査と準備に費したが職員の中には実施そのものに不安を抱く者も多かった。しかし、読書活動のもたらす直接的間接的な効果を説き続けた結果、全職員の共通理解を得、実施に至った。
 読書活動継続のための条件整備は校長の仕事である。勤務開始時間を10分早め、「朝読書」として校時表に組み入れた。また、校務分掌組織を改め、図書視聴覚部を分離独立させ、予算も倍増した。
 こうして平成16年4月から、全生徒、全職員による本校の「朝の読書」は始まった。現在も順調に継続されている。

□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □

 ○図書室の整備と生徒の変化
 「朝読」実施後、図書室への来室者が増加し、また10分の休み時間にも教室内で読書をしている生徒の姿が目立つようになった。
 やはり、生徒は読書が好きなのだ。図書室の利用以外に、本の出し入れ自由の学級文庫を設置し、翌平成17年8月中に図書室を改装した。床は全面に落ちついた色調のカーペットを敷き、机、椅子はより心地よい新品に入れ替え、独立性を重んじたキャリアデスクを窓側に設置した。また、本を取り出しやすい書架に入れ替え、照明器具、カーテンの色調にも配慮し、生徒が心地よく読書できるように環境整備に意を注いだ。

□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □

 現在、生徒の読書量は年々増加傾向を示し、図書室からの本の貸出数も増えている。学年が進むにつれて貸出冊数が増加する現象は心強いものがある。生徒の本を読みたい気持に応えるべく、図書部職員は「読みたい本がいつでもある図書室」を目指し、常時、購入希望を受け付けている。「朝読」を始める前に比べると遅刻者も減少し、大学進学率も20%ほど上昇している。何よりも喜ばしいことは、生徒が落ち着いて学校生活を送っていることである。生徒が本に親しむことによる教育効果に改めて驚きと喜びを感じているこのごろである。

朝の読書ページトップへ

−無断転載を禁ず−
Copyright (c)2000 TOHAN CORPORATION