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朝読から家読へ

高知県須崎市 須崎小学校
▲須崎小の「朝の読書」風景

 須崎市は、高知県の西部にある太平洋に面した人口三万足らずの小さな町です。かつては農林漁業と商業で栄えた県西部の中核都市でした。今は高知県随一の商港、須崎港を抱え商工業が盛んです。あの鶏がらスープと甘辛いしょうゆ味が癖になりそうな「鍋焼きラーメン」はこの地が発祥なのです。
 須崎小学校は、この町の中心部にあります。かつては、二千名を超える子どもたちが通う学校でしたが、町の広がりや少子化のあおりを受けて年々児童数は漸減し、今は三百二十名ほどになっています。黒潮香る土地柄か、本校の子どもたちは、明るく活発です。静かに読書というよりも、どちらかといえば、汗いっぱいになってグランドを走り回ることの好きな子どもたちです。

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 四年前、須崎市内全ての小中学校で朝読書が一斉に始まりました。もちろんそれまでにも朝読書に取り組んでいた学校はあったのですが、教育委員会から是非に、一斉に、との依頼があり始まりました。どの学校にも学級文庫が常設され、子どもたちは、「みんなで、だまって、好きな本をただ読むだけ」をスローガンにして、以来ずっと読み続けています。
 一斉の朝読書の始まりに呼応するようにして、須崎市に「日本で一番子どもたちが本を読むまちをつくる会」(以下、日本一の会)が発足しました。市内の十名ほどの有志が立ち上げたのです。毎年市民の寄付を募り、その浄財を基にして市内の小中学校や保育園に多数の本を寄贈してきました。しかも選書会を開いて下さり、寄付してくれる本を子どもたちが選ぶことができたのです。常設の学級文庫には、「日本一の会」から寄贈された本が並ぶようになりました。

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 こうした活動に重ねて、本校では、三年前から保護者が月二回、朝読書の時間に各学級で読み聞かせをしてくれるようになりました。子どもたちには大好評で、朝読書に一層の弾みがついたのです。
 また、隔週一時間設定している図書の時間では、図書担当の先生や図書支援の先生、あるいは学級担任の先生が、様々な本の紹介をするようになりました。教室前の廊下には、今学習していることに関連する図書がきれいに並べられ、読み広げや調べ学習ができるようにもなりました。
 その他、子どもたちは、一定期間、自分の読んだ本を友達に紹介する読書郵便を出したり、先輩から後輩への良い本の紹介はがきを作り、下学年の教室前に掲示したりする取り組みを進めています。

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 このように読書があらゆる場で奨励され、広がりを持って取り組まれていることは素晴らしいことだと思います。実際、本好きの子どもは増えてきています。しかし、他地域に比べて読書好きの子どもが多いのかといえば、まだまだそのような状況ではありません。
 今、私たちは朝読から家読に取り組もうとしています。「みんなでやるぞね、家読書!」です。近い将来、地域が一体となった「家読」運動になることを夢見ています。

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