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「朝の読書活動」で
学校が変わる

岐阜県立恵那農業高等学校
▲恵那農業高校の「朝の読書」風景

 本校は、岐阜県南東部の恵那市、百名山に名を連ねる恵那山を仰ぎ、日本初の水力発電ダムである大井ダムが木曽川の水を湛える恵那峡のある、山紫水明の町にあります。江戸時代には、中山道大井宿として栄え、映画「青い山脈」のロケ地にもなりました。
 昭和41年に、農業科単独の専門高校として設立された本校は、現在、4学科で編成され、それぞれ専門性の高い特色ある教育活動を展開しています。
 朝の読書活動は、平成16年に校内で議論を重ね、翌年のスタートを目指し準備することとしました。各自、興味関心のある本を持参し、活字に触れること、感想文を課さない、教科書とマンガ本は対象としない、ただ読むだけを目的に始めること、さらに教室では、正副担任2人が生徒と一緒に静かに読み、その後チャイムが鳴って静かな雰囲気で朝のホームルームを始めようという意図でした。

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 平成17年4月10日、朝の読書活動がスタートしました。生徒たちは各自本を開き、読書を始めました。その静寂に戸惑ったのは教員でした。と同時に新鮮な気持ちであったことを思い出します。遅刻もずっと少なくなりました。当初は、指導に手間のかかる生徒も若干いましたが、朝読の活動によって学校の雰囲気が一変する程良くなりました。
 又、それからは、図書館に足を運んで本を借りる生徒も多くなりました。「この本おもしろかった」「こういう本はありますか」などの会話を耳にし、生徒が主体的に本に親しむという気運が高まってきたのを肌で感じるほどでした。
 さらに、朝の図書の貸し出しが増えることから、図書館の開館時間を早くし、生徒のため関係の先生方には頑張って支援していただいています。

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 本校の図書館は、岐阜県の公立高校では、床面積が123uと最も狭く、蔵書数も14,000冊という貧弱な図書館です。生徒や先生が忙しく校舎を移動し、農場や実習室を飛び回っているまさに「バタバタ」した学校です。早朝より農場当番実習や部活動に参加する生徒もいます。生徒と先生が、全員朝の10分間、本当に真剣に物音立てず読書をする姿は美しく、又、大変意義深いものと感じています。
 現在の3年生は、朝読について次のような感想を書いています。「表現力、感情表現が豊かになった」「長編小説も読むようになった」「授業も落ち着いて受けられるようになった」「図書館を多く利用することができた」「いっぱい詩を読み、勇気と元気をもらった」「生きるヒントをもらった」「本当に本に感謝している」などです。
 この朝の読書活動は、本校のいくつかの特色ある教育活動の中でも、一番に上げてもおかしくないものと確信しています。

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 以上のような朝読を機に、「店頭選書」の実施(生徒と先生が書店に出向き本を選んでくる)、恵那市中央図書館でのイベント参加など数々の活動を実践しています。
 岐阜県の片田舎の学校のこのような活動が評価され、昨年、第3回高橋松之助記念「朝の読書大賞」をいただきました。ここで改めて関係の皆様に感謝申し上げます。と同時に、今後、この賞に恥じないよう、地域に貢献できる立派な人材を多く輩出できる学校にしていく所存です。

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