トップページ朝の読書ホームページ→「朝の読書」トピックス

「朝の読書」の環境を整備し、子どもたちの“学び、考える”力を育む

大阪府富田林市立寺池台小学校

 富田林市は大阪府の東南部にあり、市の東部は16世紀中頃から寺を中心にした寺内町が造営され、現在でも多くの町家が残り、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。一方、市の西部は昭和30年代から開発が進んだニュータウンで、本校はその金剛団地の中にあり494名の児童が通学している。

□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □

 教育課程が変更された2002年、林公氏の「心を育てる朝の読書」に共感した教員が会議に提案し、全員一致の賛成で4月から朝の読書をスタートさせ、10年目になる。
 アンケートをとると「朝に本を読むと楽しくなって一日が楽しく送れる」「し〜んとしていて気分が落ち着いて読める」「朝にいやなことがあって学校に来ても、朝読をしたらいい気分になれる」などの声があり、学校生活の中での大切な時間になっている。「朝の読書の時間をもっとふやしてほしい」という声もある。

□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □

 各教室には担任が市立図書館から貸出をうけて学級文庫を設置し、学校の図書室も全日開館している。特に朝の読書後の、1時間目終了後の10分休憩には50人以上の子どもたちが図書室に来る。そこで友だち同士本を交換したり「その本どの棚にあるの」と聞いておもしろそうな本を探したりしている。
 子どもたちは決して本を読まないのではなく、子どもたちの手の届く所に本を置き、読むための時間を設定すれば、子どもたちはどんどん本を読み進める。
 そうして子どもたちの生活の中に読書が定着してくると、子どもたちの足は町の書店にも向かい、市立図書館や隣の市の図書館にまでお気に入りのシリーズの最新巻を探しに出かけたりもしている。
 また、本を身近な物に感じ始めると、高学年はもちろん低学年でも何か知りたいことがあると図書室に来て必要な本を探し、調べ物をする姿が見られるようになった。朝の読書を始めたことにより、学校生活の中に読書が位置づけられ、やがて本を読む楽しさを身につけた子どもたちには《読んでみよう・調べてみよう》という気持ちが育ってきている。

□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □

 ただ、今教育界にはゆとり教育から学力重視への大きなゆりもどしの流れがある。読む・書く・話す・計算力に考える力。子どもたちが身につけるべき力は様々あって、そのための時間数の確保は大きな課題となっている。特に高学年は家庭でも習いごとがあるうえ、家庭学習の時間も長くなり、子どもたちは毎日学校でも家庭でも大変忙しく過ごしている。本と出合い、本を手にとり、ゆっくりと楽しむ時間を見つけることが難しくなっている。
 しかし逆にいうと、だからこそ環境が整い、時間を設定された学校での朝の10分間の読書が大切になってくる。主人公と共に冒険し、仲間との友情に心ふるわせ、物語の楽しさを心にいっぱい詰め込み、大人になっても本をそばに置き、自ら学び考える人物に育ってほしいと願っている。

朝の読書ページトップへ

−無断転載を禁ず−
Copyright (c)2000 TOHAN CORPORATION