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「朝の読書」を続けることで生徒自身が
変化を実感

徳島県立板野高等学校
▲板野高等学校の「朝の読書」風景

 本校は、徳島県北部に位置する板野町にある。板野町は古来より農業生産の豊かな地域で、四国八十八カ所の札所寺が3つあり道を歩くお遍路さんも多く、本校も年に数回、生徒たちがお遍路さんへのお接待≠行っている。本校は1906(明治39)年蚕業学校として設立され、その後、新学制や学科再編を経て2004(平成16)年から単位制を導入した、全15クラスの全日制普通科高校である。

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 「朝の読書」は1998(平成10)年当時の本浄敏之校長のもと、林公先生を招き、全職員が1年をかけて実践に向けた研修を重ね、1999(平成11)年4月より始めた。全校一斉、始業前の10分間、正副担任が教室に入り、「朝の読書」の四原則に沿って行ってきた。「朝の読書」を始める以前、本校は毎朝数十名の遅刻者に頭を痛めていた。それが「朝の読書」を始めることにより、大きく変わった。当初より「朝の読書」にかかわり、その後も長く中心的役割を担ってくれた故関本シゲ子学校司書が当時の様子を書かれたものがあるので引用する。「…8時40分になると校内がしーんと静寂につつまれ、感動した初日の日から1年と1学期が過ぎた。ここにきて集会が静かになった。1学期の終業式は私語のない、清々しい終了であった。生徒が変わり始めた。心にゆとりができた。このまま朝読を続けて欲しい。集中力、想像力がついた。自分と違う意見も認められるようになったなど内面の成長がうかがえる…」

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 本県では、本校の実施以降、高校でも次々と「朝の読書」が始まった。しかし、すべての高校で実施されてはおらず、また毎日実施している学校は少ない。その中で本校が続けてこられたのは歴代校長のリーダーシップと各教員の熱意が大きい。またPTAの後援もある。朝読を始めるにあたって5万円ずつの寄付をいただき各クラスに学級文庫を設置した。その後毎年PTA会費より2万円ずつ各クラスの学級文庫の充実費をいただいている。

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 毎年実施しているアンケートに生徒たちは、「毎日読むことが楽しくなった」「朝読をきっかけに読みたい本を探すようになり、少し本を読むのが好きになった」と答え、「朝読はあなたにとってプラスになったか」という問に学年が上がるにつれ、「はい」と答える生徒が増えていく。生徒自身にも朝読の効果が実感されていると思われる。半面、朝読をしていない生徒への指導など本校が抱える課題もある。異動で入れ替わる教職員のコンセンサスづくりや新入生へのガイダンス指導だけでなく、多様化する生徒に学校図書館や学級文庫がどのような本を提供するか、小・中学校や地域書店との連携などの対応が必要になってくるだろう。
 「読書が苦手」と答えた生徒を分析すると、特に1年生に顕著である。しかしながら、朝読の経験を積んで学年が上がるとやや減る傾向にあるため、これは朝の読書の四原則に由来していると思われる。
 「この学校に朝読の時間があってよかった」と、生徒の言葉を伝えてくださった保護者の方がいる。この言葉を本校「朝の読書」14年目以降の将来へ伝え続けていきたいと思う。


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