笛吹市立浅川中学校
▲浅川中学校の「朝の読書」風景
本校は山梨県の甲府盆地の南東、曽根丘陵に沿って流れる「浅川」がつくる扇状地に立地し、南に霊峰富士、西に南アルプス、北に八ヶ岳を望み、眼下には甲府盆地が一望できる風光明媚な環境にあります。
昭和49年に八代町と境川村の組合立中学校として創立し、平成16年の町村合併等を経て、現在の15学級、生徒数428名の笛吹市立浅川中学校に至っています。校章の【あ】は、あさかわの[あ]、中学校の[中]とともに、[本]のイメージを踏まえて製作されており、本をたくさん読んで学んでほしいという願いが込められています。
本市で文芸に秀でた人物と言えば、直木賞作家の辻村深月氏は市内石和町の出身。「芋の露連山影を正しうす」で著名な飯田蛇笏・龍太の両氏は学校区内の境川町の出身です。そのような地域を背景に、家庭・学校とも読書への関心は高く、行政も図書購入予算には大変協力的です。
本校の読書活動は、学校教育目標の指導重点や校内職員研究会の研究内容に「読書活動の充実・工夫改善」を掲げて、朝の10分間読書や家族読書の継続、読み聞かせの充実・拡大、司書と連携した授業での学校図書館の活用、先生が薦める本の紹介・展示の継続、図書委員会の取組など、幅広い活動を展開しています。
今回の「朝の読書大賞」で評価された「朝の10分間読書」は、読書活動の推進を図るとともに情操教育の一環として1983年(昭和58年)に始まり、今年で30年になります。はじめは毎週火曜日の朝に行っていましたが、日数を変えたり或いは帰りの学級会(浅川中呼称:夕読)に行うなど、方法を変えながら現在の毎朝10分間読書に至っています。
現在の「朝の読書」への取組は、学級担任は朝の職員打合せ終了後すぐに教室に行き、読書指導をしながら生徒と共に読書をします。担任以外の職員は教室内外で担任の補佐をしながら読書をします。生徒は、朝の読書の時間前までは部活動自主トレーニングを行っていますが、時間になると教室に入り朝の読書の開始チャイムと同時に読書に集中します。生徒も職員も全員が読書に取り組む姿は、毎朝の事ながら感動的でもあります。
学校は教職員も生徒も毎年変わりますが、朝の読書は30年もの長い年月を、その時々に形を変えながらも実施されてきました。この取組を通して生徒は本と出会い、読書の楽しみを知り、或いは率先して読書する教師の姿を見て巣立っていきます。当たり前のように「朝の読書をする」光景は、これまでの教職員、生徒、保護者、等々の努力により引き継がれてきたものであり、本校にとっては伝統と誇りでもあります。奇しくも創立40周年という記念すべき年に、「朝の読書大賞」を受賞できましたことにこの上ない喜びを感じています。今回の受賞を励みに読書活動・「朝の読書」の更なる充実に努めて参りたいと思います。 (書店経営2014年3月号掲載)
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