「あさの読書」の現場から

生徒の身近に本がある学校

柴田町立船岡中学校

▲船岡中学校の「朝の読書」風景

 宮城県の南部に位置し、蔵王連峰の山々に囲まれ、緑豊かな自然に恵まれた柴田町は、 一年を通してさまざまな花が咲き誇り、訪れる人を優しく迎え入れています。学区には古くから桜の名所として知られ、日本さくら名所百選に選ばれた「船岡城址公園」と「白石川堤一目千本桜」があり、「しばた桜まつり」は、県内外から20万人を超す花見客で賑わいます。また、縄文時代にまでさかのぼる古代からの遺物が数多く出土するなど、歴史と伝統がある柴田町の中心部が本校の学区となっています。

 船岡中学校では「みんなでやる」、「毎日やる」、「好きな本でよい」、「ただ読むだけ」朝の読書の4原則に忠実に則りながら活動を継続し、今年度で11年目を迎えました。生徒の多くは、部活動の朝練習に参加しており、校舎は朝から活気に満ちあふれています。生徒会が中心となって取り組んでいるあいさつ運動の元気な声が毎日響いています。
 8時15分のチャイムと同時に朝の読書活動がスタートします。生徒数489名の県南では大きな学校ですが、それまで本当に賑やかだった校舎に静謐な時が訪れます。わずか10分ではありますが、生徒はそれぞれの世界に浸り、しっかりと自分と向き合い、自分の世界を作っているように感じます。また、この時間を楽しみにしている教員も沢山います。それがこの活動を11年間継続できた理由の一つかも知れません。朝の読書活動は本校にとって朝練習等と同様に行うことが当たり前の活動として、また欠かせない活動としてしっかりと根を張り、枝葉を拡げたように思います。

 昨年度より町から学校司書が派遣されるようになりました。司書さんは図書ボランティアの方々とともに古い本を整理し、新刊書のディスプレイを工夫し、図書だよりを発行するなど精力的に活動しています。そのおかげで、よく言えば伝統が感じられる、本音では古色然としていた本校の図書室がわずか一年で居心地の良い明るい空間として生まれ変わりました。

 環境が整うにつれて、本の貸出冊数が飛躍的に伸びるなど読書に親しむ生徒が増加しました。朝の読書が図書室を利用することの良いモチベーションにもなっています。
 専任の方が常に図書室にいることで、生徒の本との出会いや学びが大きく変貌を遂げたと実感しています。「朝の読書大賞」では「勢いの感じられる図書室」も高く評価されました。 今後ますます、魅力溢れる図書室を学校全体で作っていきたいと考えています。
 今回の受賞を励みとし、生徒達に素晴らしい本と出会える機会を沢山与えることのできる学校として、更なる充実に努めて参ります。(書店経営2015年2月号掲載)

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