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生きる力を育む、「朝の読書」

宮城県仙台市 聖ドミニコ学院小学校
▲ 聖ドミニコ学院小学校の朝の読書風景

 聖ドミニコ学院小学校は、宮城県仙台市にあるミッション系の私立小学校です。子どもたちは学年や性別の枠を越えて遊び、仲がいいのが特徴です。全教員が子ども一人一人の名前を知っていて、声をかけるときは名前で呼ぶことができます。男子が女子の数を上回っていることもあり、活動的でよく注意もされますが、子どもたちは自分が受け入れられているという安心感をもっているので素直に聞き入れています。
 本校は比較的落ち着いた学習環境が整っていますが、子どもを取り巻く社会環境が年々悪化してきている現代において、学校は子どもの判断力を育てる重要性が増しています。家庭だけの努力では、テレビやゲームから受ける影響やパソコン・携帯電話等の利便性の裏にある危険から子どもを守れなくなっているのではないでしようか。「豊かな国日本」といわれていますが、人的資源以外に無いこの国は教育によって支えられてきたことを考えると、今の教育の現状に戦慄に近いものを感じます。学校は学問を通して忍耐強さや思考力をつけるとともに、生きていく上で必要な知恵と、物事を正しく判断し実践できる人づくりをしていかなければならないと思います。

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 本校の校長が「子どもたちに集中力をつけさせたい、自分の考えをはっきり言える子どもに育てたい、考える力をつけさせたい」と、私たち教師に要求するのは、現代社会において必要とされているものに気付いているからでしよう。それを受けて、私たち教師は思考力を養うのは読書の習慣からと考えましたが、残念ながらその具体的手立てを見つけられませんでした。
 『朝の読書が奇跡を生んだ』(高文研)は衝撃的な本でした。数ある教育書の中で、これだけシンプルに、そして奥の深い啓示をしている本は少ないと思います。98年秋に書店の店頭でこの本に出会い、教師全員でこの本を読み合いました。「ドミニコでも朝の読書に取り組もう」という一致した意見のもと読書週間に合わせる形で、本校の朝の読書は始まりました。以前から図書室だけではなく教室前の廊下に本を置いていたので、環境も整っていました。タイムテーブルの変更など、運営にあたって何度か話し合いをもち朝の読書は定着していきました。

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 現在、1年生の始めは紙芝居や読み聞かせを中心に行っていますが、2学期になると黙読が自然にできるようになってきます。どのクラスも、そして先生も静かに本を読んでいる環境が、やんちゃな1年生に読書の時間の過ごし方を教えているのでしよう。図書室ではこれまでハードカバー中心の書籍購入をしていましたが、持ち歩きたいという子どものニーズに合わせ、新書の大きさのぺーパーバックを多く購入することにしました。古い名作全集に目もくれなかった子どもたちが、ぺーパーバックにしたことで喜んで借りるようになりました。同じ本を何度も何度も読み返す子ども、図書室に足しげく通う子ども、本の紹介を休み時問にしている子ども…子どもの生活の中に本が生きていると感じる瞬問です。また、4〜6年の図書委員が本の読み聞かせを1年生の教室で行うなど、読書を通しての異学年の交流も始まりました。

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 本を読む習慣をつけていくことで、子どもは本から知識を吸収することを覚えます。読書によって考えも深まり、子どもに判断力をつける「始めの一歩」となるのではないでしょうか。「『現代の子どもは本を読まなくなった』というが、読んでいないのはむしろ大人のほうである」と言った人がいました。本を読むよりテレビに費やす時間が多くなっていることは事実でしよう。これからは、流されてくる情報を鵜呑みにするのではなく、真実は何かを自分で考える人づくりがなされなければなりません。朝の読書が子どもの読書習憤に結びつき、考え判断する力につながっていくことを信じています。 


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