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学校全員で取り組む、「朝の読書」

岐阜県関市 市立富岡小学校
▲ 富岡小学校の朝の読書風景

 私が「朝の読書」を始めてから五年になる。いや、正確に言うと四年である。中学枚で二年、小学枚で二年。その間で一年の休みがある。中学枚で二年実践して、小学校へ転勤して一年間は大きな学校で、すぐには実践に移せなかったというのが実際のところである。
 今の富岡小学枚での実践が二年目である。実践への準備が一年かかった。まだ早い方かもしれない。しかし、この一年はなかなか大変であった。全職員三〇名をその気にさせるのは、いかに校長であっても大変な努力と説得力を要する。

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 しかし、私の先生方への説得の要旨は次のようなものであった。
・少しでも本が読める児童が増えてくればうれしい。
・少しでも漢字や語いの力が増して、少しでも表現豊かな児童が出てくればうれしい。
・少しでも落ち着いた考えや行動ができる児童が増えてくればうれしい。
・少しでもおもいやりの心ができ、相手を認め相手を大切に考える児童が出てくればうれしい。
・少しでも全校で取り組める喜びが児童も教師間でも意識として出てくればうれしい。
 特に、教師に読書に親しむ姿勢ができればあとは簡単である。
 幸い、現在の富岡小では、職員室の話題に本の話がどんどん増えていて、読書体験の交流の場になっている。「先生、ハリー・ポッターの三巻目もとてもおもしろいよ」「そうでしょうね。読まれたら私にも回してもらえません」こんな会話が日常になっている。

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 私の「朝の読書」全校一斉スタートの原点は次のようなことであった。
・全職員が「朝の読書」の意義を完全に理解でき、「よしやろう」とまとまること。
・保護者への理解を得ることと協力態勢
・日課表に「朝の読書」をきちんと位置付けること。
 幸いなことに、本校が永年図書館教育に力を入れてきていたこと、本好きな児童が多かったこと、保護者の理解が高かったこと、等が挙げられる。間題は全教職員の姿勢であるが、図書主任を中心にした学習指導部の先生方への働き掛けを主にした私の説得によって前年度の後半から全校職員の構えができてきたことによって、出発できた。
 朝、八時十五分から一〇分間全校が静寂の世界にひたった感動は何物にも替えられないうれしさである。
 その後、いろいろな工夫がなされた。主に図書館主任の働きであるが、
・フリーの先生の読み聞かせ(全学級へ)
・市の読書サークルの方による読み聞かせ(低学年へ、週に一回)
・高学年児童による読み聞かせ(低学年へ)
・学級文庫の蔵書冊数の増加運動(家庭よりの寄贈や市の図書館からいただく)
・児童会図書委員会による読書週間行事の拡大(読書クイズ・読書博士等々)

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 私の仕事は月に一〜二回の「朝の読書」時間の校内巡視である。何を見るのかというと先生の読書姿勢である。この時間に学級の先生が本当に読書をしているのかどうか、のチェックである。読書をしていない先生が一人でもあると、校長便りに書いたり、打合せの時間に話をしたりして、先生の読書姿勢についての意欲づけを怠らず続けた。その結果が先に述べたような、先生方の読書好きを生み、その数が増えていったことである。
 今三人のお母さんに二年生の学級へ週に一度読み聞かせに来ていていただいている。図書館ボランティアの方々である。お母さん方は、朝八時過ぎには自分の読みたい絵本を抱えて来てくださる。子どもたちもそれを楽しみにしている。お年寄りが本の整理や修理に来てくださる。学校を挙げて読書の世界にあることをうれしく思っている。


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