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「数学」も、 朝の読書から

愛知県師勝町 町立訓原中学校

 数学を中学校で長く教えていて、思うことが二つありました。
 一つは、活字が読めなければ、数学はできるようにはならないということです。
 数学がわかるわからないの前に、日本語がきちんと読めて理解できなければ、どうにもならないのです。個人的に指導したりするといっそうその感を強くしたものでした。「数学以前の問題だ」と何度思ったことでしょう。
 島小の斉藤喜博氏の著書で「国語の授業に力を入れたら、算数の成績があがった」という記述に心が魅かれたことを覚えています。
 もう一つは、さまざまなストレスを抱え、様々な刺激の中でどんどん浸食されていく子どもたちをどうしたら守れるだろうかということでした。叱ったり、話して聞かせたり、後始末に走り回っているだけでは、どうにもならないとよく思ったものでした。
 集団読書用の薄い本を教室で順に「マル(。)読み」させたり、文庫本を45冊購入したりしたことを思い出します。
 「最後の一葉」や「虔十公園林」は誰もがしんみりとしたものでした。
 これも余談ですが、文庫本45冊の注文は本屋さんにとってもめったにないことらしく、待てど暮らせどなかなか来ませんでした。
 それと、よくもまああんな小さな字の、なんの飾り気もない本をクラス全員にいっしょに無理矢理読ませようとしたものでした。

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 昨年4月、久しぶりに中学校に赴任して、まだ先生達の顔も十分わからないうちから「朝読」をお願いしました。このように子どもたちが落ち着いてしっかりできている時こそ、始めるチャンスと思ったものでした。
 今やっている「朝のプリント学習」だったら、その善し悪しは自分にもわかっているよというくらいの気負いは内心ありましたが、あっさりと賛成していただきました。
 すぐにインターネットで調べてくれる先生もいて、先生たちも思いは同じ、この場合は強引さがよいきっかけになったのかも、と感じたものでした。

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 次は、一学期の学校新聞からの引用です。
「朝の読書」をしています
 4月から始めた「毎朝、始業前の十分間各自がそれぞれ自分で選んだ読みたい本を読む」について、三年生に聞きました。
◎朝から読書なんて眠くなるだけでとても嫌だった。でも熱中すると意外と面白い。
◎読書をすると、あせっている気持ちなどが、とてもやすらぐ感じがします。
◎三年生になって朝読が始まりました。そしてぼくは本が前より好きになりました。
◎自分で読みたい本を読むのはいいことだ。人に縛られることもないから。
◎朝読むと、授業の時に初めからまじめに取り組めるのでいいと思います。
◎朝のたった十分間、毎日毎日読んでいる。この時間が私には大切で好きな時間。
◎始めてから思ったことは、読書をしていると嫌なことを忘れられるということだ。
◎ふだん本を読むことが少ないので、自分の好きな本が読めるのはうれしいです。
◎本を読むことで世の中ではみんな違う人生を送っていることがわかり元気がでます。
◎勉強ばかりでつまらないと思っていた時間が自分の楽しむ時間になって楽しいです。

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 この5月には、元葛飾区立上平井小校長の吉田法子先生にわざわざ東京から来ていただきました。若々しくさわやかに子どもたちと保護者、先生に講演をしていただき、あらためて朝読についてみんなで考えることができました。子どもたちも、生徒会、図書委員会を中心に自分たちで講演会を一生懸命運営し、ほめていただきました。
 まだまだ十分なかたちの朝読ではありません。数学ができるようになったかどうかもわかりませんが、「3年目から、奇跡が現れた」との先生のお言葉を信じて、のんきにじっくりと続けていきたいと考えています。


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