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すばらしい本との出会いを目指して
〜変わりゆく「朝の読書」〜

富山県八尾町 八尾中学校
▲八尾中学校の朝の読書風景

 全国の学校で「朝の読書」という取り組みが広がりつつあることを知り、自分の学校に導入できないかと考え、取り組んできたことを振り返ってみる。  「朝の読書」以前の本校では「朝学習」としてプリント学習が行われていたが、平成12年度、まず自分の担当する1学年で朝に読書することを提案した。そしてスタッフで検討の末、1日おきで朝学習の時間に「読書」する日を設定することにした。しかし残念ながら「読書」の日の方が「朝学習」の日よりもたるんだ朝活動の日となってしまった。結局、4月からスタートした「朝の読書」は2ヵ月くらいで中止し、6月からは「朝学習」としてプリント学習をするという従来の形にせざるを得なかった。

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 この年の学年としての「朝の読書」が頓挫した原因を整理する。
1)「1日おき」としたために、読書に継続して取り組む姿勢を育てられなかった。
2)学級文庫などでいつでも本を手にできるという環境を設定することができなかったので、本を忘れた生徒が手持ち無沙汰になった。
3)読書の意義について、教師の共通理解と生徒への指導が不十分だった。
4)「朝学習・朝の読書」の時間に、教師が教室にいない状態だった。
 翌年、学校ぐるみの取り組みとして提案する際には、この失敗経験が生きたと思う。前年度の失敗を踏まえて、職員会議には次のようなことを盛り込んで提案した。
1)教職員全体に「朝の読書」の意義を十分に認識してもらい、どのクラスでも同じ意識で指導し、全校あげた取り組みにする。
2)「朝の読書」は、「1日おき」ではなく毎日実施する。
3)「朝の読書」は教師が見守ることができるように朝の時間設定自体を変更する。そして教室で担任の指導のもと、担任と共に読書する。
 こうして、平成13年度から本校の学校ぐるみの「朝の読書」がスタートした。初年度ということで定期的に教師・生徒に意識調査を行ったが、概ね好評だった。読書習慣の定着・朝の静寂・1限の授業前の慌しさの解消、という理由が多かった。

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 2年目の14年度、新たな問題点を感じるようになった。朝の読書前に教師が「朝の打ち合わせ」で教室をあけるために「生徒の登校が遅れがちになる」という傾向になり、「生徒からプリント学習による学力補充もしたい」という声を聞くようになったのだ。その対策として、年度後半から、朝の読書前に、登校した生徒から自主的に取り組めるプリントを係が配布するという形をとるようになった。
 そして本年度。この「朝の読書」前の朝学習を4月から実施している。登校してすぐに自主的に取り組める学習プリントがあるということが、朝の登校後の落ち着き、朝の読書へのスムーズな移行、学力補充という面で効果をあげている。さらに今年度になって図書館司書が配属され、積極的に図書室を活用しようという空気が校内により広がっている。これからも本校の「朝の読書」は何らかの進化を遂げるものと期待している。

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 足跡をたどると紆余曲折の末の苦労があったようにも思われるかもしれない。しかし毎日10分間の読書で、例えば「1人平均5ページ、全校400人余りで、2000ページを読むということ」「それが3年間続き、生徒一人一人にそれぞれ本との出会いがあるということ」「その中には一生忘れることのできない本があるかもしれないということ」ふとそんなことを考えると、すばらしい取り組みが本校に根付いたことを心から喜びたいと思う。


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