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至福の時「朝の読書」

愛知県渥美郡渥美町立 泉中学校
▲泉中学校の朝の読書風景

 朝、八時十五分、学校中が静寂に包まれる。「朝の読書」の開始時間。廊下を通っても、教室から人の気配すら感じられない。
 しかし、昨年までは、なかなか徹底が難しかった。本校では、A日課とB日課があり、A日課は、八時十五分から読書と朝のドリル、八時四十分から朝の会の開始となっている。しかし、行事の前になると、B日課となり、八時二十五分から朝の会で、八時三十五分には一時間目が開始される。工夫して編み出された時間を授業後の準備や練習時間に充てるのである。

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 昨年までは、A日課のみ「朝の読書」の時間を設け、B日課の日は、朝のドリルを行っていた。しかし、毎日読まなければ習慣化は図ることができない。B日課に読まないと、結局A日課に戻っても主体的に読書に取り組むことはできなかった。
 そこで、本年度は、「毎日読む」ことを徹底し、習慣化を図ろうと考えた。B日課の日は、ドリル学習を帰りの会に行うこととし、とにかく年間通して毎日読むことにした。
 また、先生たちの打ち合わせを短く済ませて教室に行けるようにするため、グループウェアソフトの「エディコムマネージャー」を入れていただき、全職員が掲示板に連絡を書き込むシステムを採用し、緊急の連絡だけを口頭で行うようにしていただいた。職員も、教室に行って生徒と同様ひたすら本を読むのである。

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 四月当初は、「早く席について」という注意も飛び交っていたが、そのうちに、そんな声も校舎の中から消えていった。たまに朝の打ち合わせが延びて職員が十五分過ぎに教室に行っても、生徒は黙々と本を読んでいる。抜き足差し足で教卓まで忍び寄り、教師もまた本を読み出すのである。まさに「至福の時」である。ついつい読書に没頭し、三十分過ぎまで誰も気づかないことがある。しかし、そこは気の利く学級役員がすくっと立って朝のドリルを配りだす。「僕は本なんて興味がないで」と豪語していた一年生も、今では、放課後や給食後の寸暇を惜しんで読書するようになった。「ハリー・ポッター」シリーズや、「指輪物語」など、分厚い本も読破してしまう。また、活字嫌いだった女子も「X文庫ティーンズハート」のシリーズから本のおもしろさを見出し、現在では多種のジャンルを読むようになった。「先生、今何読んでる?どの本がお薦め?」「この本おもしろいよ」雑談の中にも本に関する話題が多くなった。

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 学年末の先日、一年の反省を書かせたところ、「読書」の項目について、自分の成長ぶりを書いた者が非常に多かった。次に挙げるのは、その中の一部を抜粋し、箇条書きにしたものである。
・朝の読書が静かにできるようになった自分に驚いている。自分が一番変わったのは、読書に集中できるようになったこと。本の世界に入り込んで想像ができるようになった。その結果、国語の授業もよく理解ができるようになった気がする。点も上がってきた。
・最近では朝の読書がとても短く感じるようになって「もう終わり?」という感じです。もっと本が読みたくて、読書の時間以外にも本を読むようになりました。家でも読んでいます。来年はもっとたくさん読むぞ!
・漫画はだめと言われて、ちょっと嫌だなあと思ったけど、活字に慣れたら、本を読むのが楽しくなったし、速くなった。「ダレン・シャン」も三日で読んでしまった。二年生になったら、もっとレベルの高い本も読みたい。

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 現在は自分の好きな本を家で用意して持ってくる者が多い。昨年までは、図書館の蔵書も、総合的な学習や教科の資料をそろえることに尽力してきたが、来年度は、生徒の声を反映させながら、読み物を増やしていきたい。


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