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読書大好き 上西っ子

香川県塩江町立 上西小学校
▲教室の読書コーナーで思い思いに朝の読書(3年生)

 「おはようございます。先生、図書室を開けて下さい」
 日直当番が職員室の次に鍵を開けるのが図書室。子どもたちは登校すると手に手に本を持って図書室へと向かう。朝の「読書タイム」で読む次の本を選ぶためである。子どもたちにとって、朝の読書は生活の一部になっている。
 本校は香川県と徳島県の県境山間部にある。全校生14名のへき地小規模校。従来、学期に一度の読書月間には毎朝の「読書タイム」を設けていたが、平成15年度から年間を通して始業前に10分間設定するようにした。ただ、朝の表現タイム(クロッキー、短作文等)も残したため、始業を10分繰り上げ「読書タイム」にあてることにした。始業が早くなるので心配したが、もともとほとんどの子どもが7時40分頃には登校していたので、大きな混乱もなく、朝8時の放送とともに全校一斉に読書が始まっている。

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 『ぼくは本を読むことはあまり好きではありませんでした。今年になって日課表の中に「読書タイム」ができました。はじめは学校が10分早くなるし、何の本を読んだらいいのか分からないし、困りました。…(略)だんだん本を読むのが楽しくなってきました。…どうしても続きが読みたくて、休み時間に好きなドッジボールをやめて本を読んだ日もあります。本がこんなにおもしろいものだとは思いませんでした。毎日根気強く続けると苦手なことでも好きになるんだなあ。(以下略)』
平成15年度卒業生の言葉(卒業式)より

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 読書習慣を身につけるための場と時間が保障されると、今度は周りの環境作りが教師の仕事。図書館教育指導補助員(週2回配置)の協力を得て、読み聞かせ・図書室の掲示物作り・廊下に設けた読書コーナーの工夫など校内の読書環境を整えた。
 また、蔵書の充実も大きな課題である。小規模校のため、多様な本を揃えることは予算的にも難しい。保護者の理解を得て、PTA会計から補助をいただき新刊を購入しているが、1冊の本を最大でも14人しか読まない。これはもったいない。そこで考えたのが、県立図書館の団体貸出制度である。学校には適用されないので、PTAとして登録し、毎月100冊の本が借りられるようになった。昨年7月から実施し、6月現在のべ1100冊の本を借りている。貸出しには教員が行ったりボランティアで保護者が行ってくださったりしている。国語の授業と関連させ読ませたい本や、総合・社会などの調べ学習に必要な本などは学年毎に年間のブックリストを作成し、それを活用して必要な本を借りて来る。また、子どもの興味をひきそうな新刊図書も借りられるので、新しく必要な本がある程度揃うようになった。こうした図書を学級文庫に入れたり、コーナーを作ったりしておくと、読ませたい本を子どもたちが自然に手に取る環境ができる。今、国語の授業でも盛んに読書との関連がいわれている。高学年は一人の作家の作品を幅広く読んだり伝記を何冊も読み進めたりしていくことで、国語の授業が深まる。また、低学年も国語で学習している作家の本をみつけ、嬉々として読んでいる姿を見かけたりする。

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 「朝の読書を家庭にも…」と、毎月1週間の家庭読書週間も設けた。この期間、朝、学校で読んでいる本を家庭に持ち帰り、続きを読むようになった子どももいる。保護者とともに読書が進められるように、教師や保護者が家庭の不要な本を持ち寄り保護者向けの図書コーナーも新設した。ブックリストで子どもが代わりに借りて帰ったり、参観の後などに借りたりしてくれている。
 こうして、「朝の読書」が核となり、学校の読書活動が広まっている。平成15年度末の子どもたちのアンケート(学校評価)でも、朝の「読書タイム」は全員が「好きな時間」と答えてくれているのが嬉しい。


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