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「朝の読書は 『自分育て』の営み」

新潟県佐渡市立 畑野小学校
▲畑野小学校の朝の読書風景

 全校朝会や全校集会を除く毎日、朝八時十五分に図書委員会の児童が校内に「カントリー・ロード」の曲を流す。これが朝の読書の始まりの合図である。昨年は、図書委員会の児童によるメッセージが流れていた。しかし、音楽だけで児童が判断できるようになったこと、読書の終了時はまだ本の世界に浸っている子どもたちの意識を大切にしたいことなどの理由で、音楽による合図が採用された。
 朝の読書の時間は一〇分間。開始時刻前からすでに本を決めて、自分の席で熱心に読み始める子どもたち。どの子も自分が選んだ本の世界に浸っている。読む本は、学級毎に図書室から一人二、三冊選び学級文庫として教室に設置している。自分で借りている本、家からもってきた本などもある。自分で決めた本を最後まで読み切ろうとする子どもが多い。

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 昨年二月、読書に関する実態調査を行った。多くの子どもが「読書は好き」「だいたい好き」「もっと本を読みたい」「本を読む時間を長くしたい」と答えている。読書のおもしろさが、子どもたちに浸透していることが分かる。しかし、まだ読むことに対し、抵抗を感じている児童はいる。そのような児童がいるからこそ、この全校一斉の朝の読書の時間を大切にしたい。

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 当校の読書活動で大切にしている活動の一つに、教師等による読み聞かせがある。この読み聞かせが、子どもたちの読書の幅を広げている。読み聞かせをした次の日には、子どもが「先生の読んでくれた本、もう一度自分で読んでみるんだ」と言って、本の取り合いになるほどだ。さまざまな世界を子どもたちにまんべんなく伝えることができるのも、本との出会いの魅力の一つである。
 また、本校では定期的に全担任が他学年の教室へ行き、読み聞かせを行ったり、昼休みに校長、教頭が図書室で読み聞かせを行ったりしている。普段かかわりの少ない教師からの読み聞かせに、どの子も大きな関心を示し、集中して聞き入っている。その他にも、地域のお年寄りから佐渡の伝統的な昔話を楽しく語っていただいたり、ボランティアで地域の方を招き、各学年にあった本の読み聞かせを行っていただいたりしている。子どもたちの食い入るようなきらきらした目が印象的である。

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 「佐渡に生まれ育ち、そして、これからの佐渡の未来を支えていく子どもたちには、もっと広い視野で物事を判断するための知識、情報を得てほしい」(本間前校長)
 一日、一〇分。されど、一〇分。そこでは、子どもたちの豊かな感性と大きな可能性がはぐくまれている。朝の読書は、まさに、「自分育て」の営みである。
 今日も「カントリー・ロード」の音楽の始まりとともに、心静かに本の世界に入っていく子どもたち。前庭からは夏の到来を喜ぶかのように、せみしぐれが聞こえてくる。


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