8時開錠とともに「おはようございます」と元気な声がとびかい、学校の一日が始まる。廊下や教室のざわめきも8時20分になるとシーンと静まりかえり、朝読書が始まる。
本校に朝の読書タイムができたのは四年前。各学級独自の朝活動で学校中がざわついていたのを、落ち着いた静かな雰囲気の中でスタートさせたいと、週一回火曜日に朝読書を取り入れたのが始まりである。
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まずスタートの年には、一年教室へ図書委員が、二年教室へはボランティアのお母さんが読み聞かせに入り、三年以上は自由読書ということで始めた。一・二年教室ではスムーズにスタートできたものの、中高学年教室では、本を準備していなかったり、本をとりかえに席を立つ子がいたりでうまくいかなかった。そこで、この日だけは職員朝礼をなくし、担任も一緒に本を読むことにした。その結果、少しずつ落ち着いて本に向かおうとする子ども達が増えていった。
この朝読書の良さが教職員に認められ、二年目には週二回(火・水)、三年目からは週三回(火・水・木)になり、今に至っている。
本校は次のように朝読書を実施している。
〈火〉一年生…図書委員による読み聞かせ、二年生以上…ボランティアさんによる読み聞かせ(全十三学級、当初四人→現在二十人)
〈水・木〉全学年…自由読書(一部読み聞かせ有)
この朝読書の取り組みと相まって、昨年度斐川町は文科省地域資源共有型モデル事業の指定を受け、すべての本をデータベース化し、町立図書館や町内の五校とオンラインで結び、読書環境がすばらしく整備された。さらに、学校司書も配置され、子ども達の要望にすぐ対応できる体制ができたことは嬉しいことである。
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子ども達は本来、本が大好きである。朝読書や担任・ボランティアさんの読み聞かせ、お昼のお話会などで本とふれ合うきっかけを作り、一方で読書環境の整備により、いつでも読みたい本を手に取れるようにしていったことで、本が一層好きになった子どもが増えている。今、図書室は、休み時間になるとたくさんの子ども達で溢れかえり、カウンターには長蛇の列ができている。
朝読書に対して、ある図書委員は「私は本が好きでこの委員会に入りました。毎週火曜日に一年教室に読み聞かせに行っています。みんなが静かに聞いてくれて、ありがとうと言われるとうれしくなります」と言って、生き生きと活動している。また「わたしは、朝読書で読む本は前もって決めて用意しています。読書タイムが好きですし、読み聞かせの日も楽しみです。読書タイムの時間は前は騒がしかったけど、今は静かです。わたしは本が大好きです」という声もたくさん聞かれる。そして、教職員も「子ども達は本当に本が好きになった。読書タイムには、ちゃんと机の中に本を準備し、いつでも読める態勢をとっている。また朝一番に集中する時間となっていて、スムーズに学習に入れることが嬉しい」と、その良さを認めている。一方、ボランティアさんも「朝の清々しい空気の中で、一心に目と耳を集中させている子ども達とふれ合うことで自分自身も気持ちよくスタートできる。また、こんな子ども達とふれ合えることが嬉しい。日を重ねる度に話しの中にぐっと入ってくる感じがしている」と話してくださっている。
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本校では、全校縦割四十班で「わくわく読書会」を開いて読み聞かせや本の紹介をし合ったり、読書郵便週間を設けたり、図書館利用指導を活発に実践したり、朝読書と合わせて、一層本に親しむ子どもの育成に努めているところである。「先生、ゆうべはね、ぼくがお父さんに読み聞かせをしてあげたよ」こんなかわいい話もよく聞かれるし、親子読書も低学年ではずいぶん広がってきている。
本とのふれ合いが好き、人とのふれ合いが好き、こんな子ども達が増えてきた本校である。 |