当校のある旧湯之谷村(平成十六年十一月に町村合併し、現在は魚沼市)は、東西に細長い地形で、東の端は尾瀬の位置する福島県境にある。その名の示すように温泉場として、またかつては奥只見電源開発によって栄えてきた。
当校は、「とても小さい学校だけど、力合わせて手をつなぎ、…」と児童会の歌に歌われるように八十九名と少人数であるが、個性豊かで元気な児童が揃っており、四季折々の豊かな自然の中で、夏は少年野球や陸上、冬はスキーにと汗を流している。
朝読書が週三回実施されるようになってから二年が経過した。登校後は元気に体育館でボール運動していた子どもたちも、八時十分のチャイムで教室に向かい、めいめいが図書室から借りてきた本や学級文庫を手にして朝読書を開始する。
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初めの頃は多少ざわつきもあったようだが、今ではどの学級もシーンとした中で本に読みふけっている光景が見られる。朝読書を行うことによって、
・落ち着いた雰囲気から朝のスタートを切ることができる。
・自分の席で集中して本が読めるようになった。
・授業中でもさっと本を出して読めるようになった。
・読書を好きになった子が増えてきた。
などの成果が各学年から挙げられ、どの学年も朝読書が学級の雰囲気作りに効果を上げている。
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本年度は、図書委員会の児童による発案で、入ったばかりの一年生に紙芝居の読み聞かせが行われた。また、それに続いて六年生児童も、ボランティア学習の一端として、一年生教室に出向いて紙芝居の読み聞かせを実施してくれた。入学したての一年生も、読み聞かせをしてくれるお兄さん、お姉さんの周りに集まって、静かに朝読書の第一歩を進めることができた。現在は、自分の気に入っている本を選んで朝読書に集中することができるようになっている。
また、担任が読み聞かせした本は、子どもたちが自分でも読んでみようとしており、低学年には、読み聞かせが読書のきっかけとなっていることも多い。読み聞かせをした結果、内田麟太郎の「ともだちや」シリーズは二年生に絶大な人気となった。子どもたちは自分に重ね合わせて読んでいるのか、本に出てきた歌もすっかり覚えて歌ったりしている。
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子どもたちの中には本の虫のような読書大好き!の児童もいるが、朝読書以外の読書はさっぱり、という児童もいる。そんな子どもたちも、「ブラックジャック」などの漫画を学級文庫に入れてやることで、抵抗なく朝読書に取り組んでいる。これでいいのかな?と疑問に思うこともあるが、まずは本を好きにすることから、という気持ちで認めている。以下、子どもたちの感想である。
・わたしは、絵本も字がいっぱいある本もどちらも大好きです。字がいっぱいある本は集中して読めば楽しく読めます。絵本は絵がいっぱいあるのでおもしろいです。わたしは「王様」シリーズ(寺村輝夫
作・理論社刊)が気に入っています。
・わたしは朝読書で『光とともに…』(戸部けいこ・秋田書店刊)という本をいつも読んでいます。自閉症児の話ですが、この本に出会えてよかったです。
・わたしの学校では週三回朝読書をしています。朝読書をしているときはみんな静かに読んでいます。読書は想像しながら読めるのでとても楽しいです。 |