六合村は、群馬県の最北西部、温泉で有名な草津町に隣接し、若山牧水の『枯野の旅』の詩碑に代表される「暮坂高原」等々の自然美と、豊富な温泉がある。
六合を、「くに」と読む由来は、古事記・日本書紀の記述に、「兼六合以開都」と記してあり、「くにのうちをかねて、以て都を開く」と読んでいて、「六合」は、東西南北及び天地を意味していて支配の範囲を示し、国(くに)を意味する。本村には大字が6つあり、これをひとつにして「六合」となった。
第一小学校は村の南に位置し、全校44名の小規模校(3・4年は複式学級)である。保護者や地域の人は学校の教育活動に協力的で、自然豊かなこの村で、子どもたちはおだやかな毎日を送り、のびのびと成長している。
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本校は、私が赴任した4年前には、週2回15分間「朝の読書」を行っていた。しかし、次の年度には、単式学級から複式学級への移行措置のため、朝学習が主体となった。そのため、朝読書は継続されたが週2回の職員の打ち合わせの裏番組となった。すると、子どもたちが、本に触れる機会はあるものの、教師がどのように子どもたちが本とかかわっているかを見る場面も減り、児童の様子や保護者の学校評価から子どもの本離れが進んでいるということが明らかになってきた。
そこで、本にもっと親しんでもらうために、読書を楽しむ大人(教師や保護者、地域の人)の姿を見せることや多様な種類の図書に触れさせることが必要だと感じ、朝読書を中心に本年度からいくつかの取り組みを始めた。
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@朝読書の時間は、担任も一緒に本を読む
週2回授業前の15分間の朝読書では、1人が1冊をじっくりと読む時間があり、教師も同様に読むことで子どもたちも自然に物語の世界に浸ることができるようにした。また、低学年では、担任が読みきかせを交えたり、地域の方によるボランティア(本校では「学校指導員」という名前で学校ボランティアの組織がある)に村に伝わる民話などを読みきかせをしていただいたりしている。学校指導員の読みきかせは複数の人が物語の人物ごとに声を変えているので、声色だけで物語の人物を空想することができ、子どもたちは真剣に聞いている。
また、学級文庫だけでは本が限られてしまうので、図書室も高学年、低学年が交代で利用できるようにした。
A「お勧め図書カード」
朝読書だけに限らず、学校がおすすめする図書の一覧表を各学年児童に配ることで、本に親しむ機会の少なかった子どもたちが本を選ぶ目安にできるようにした。
B「低学年の親子読書週間」
低学年の家庭には学期に1回「親子読書週間」をお願いし、家庭でも本に親しむ機会を作っていただいている。
また、本校は蔵書数も少なく、本村には充実した図書施設はない。そこで、村からの予算は子どもたちの教育のためならということで理解を示していただき、ここ数年蔵書数は少しずつ充実してきた。また、PTA会計からも補助をいただいた。
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「朝・昼・夜ごはん」の食事が体にとっての栄養であるように、本は心の栄養=「本ごはん」である。これからも、子どもたちが本に親しみ、心豊かに成長できるよう読書活動を進めてゆきたい。
○子どもの感想○
・普段の本の貸し出しは1人2冊と決まっているが、朝読書は好きな本やいろいろな本が読めるのがよい。
・図書室で読むときは、落ち着いて読めるので本の世界に入り込めるようになった。
・先生と一緒に読書すると、みんなが静かになった。 |