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読書の楽しさを実感し、心も体も成長

福井県丸岡町鳴鹿小学校
▲鳴鹿小学校の「朝の読書」風景

 日本最古の天守を持つ丸岡城。ここから見下ろす丸岡町は一筆啓上の町として全国的に知られている。この町の南東部に位置する鳴鹿小学校は、北は北陸最大の前方後円墳を擁する六呂瀬山古墳群。南は九頭竜川の本流、そして田園が広がり、自然と歴史に恵まれた伝統ある小学校である。
 午前八時。始業前の穏やかな音楽が合図となり、子どもたちは用意していた本を取り出し、10分間の読書にいそしむ。図書室で借りてきた本。学級文庫の本。家から持ってきた本もある。自分たちの好きな、興味のある本に集中する姿はもう当たり前の光景となった。「朝の読書タイム」の取り組みが始まって四年間が過ぎた。

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 今から七年前。当時、朝の読書についての記事を目にしたことがあった。ある中学校での朝の一斉読書についての内容である。その後、いろいろな機会に、朝の読書の話題に触れることがあり、本校も少しずつ取り組む学級が増えた。三年後にはすべての学級が行うようになり、学力向上を期待する活動へとつながっていった。そして、学習の基礎基本を定着する手だてとして校時の中に位置づけし、担任も一緒に読書をしたり、学年に応じた必読図書を選定して、一学期間に読もうという目標を立てながら、現在に至っている。

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 賑やかな一日の中で、最も静かな時間の「読書タイム」。五年目に入り、子どもたちの心の中には、色々な変化が見えるようになった。
 以下は六年生の児童の感想である。
・ぼくは小さいころ、ぶあつい本を見ると絶対に読まないと思っていました。でも、今ではぶあつい本でも読むようになりました。読書タイムのおかげです。
・本を読んでいると心が落ち着く感じがしてとても本を読むのが大好きになりました。一年間で50さつは読みたいと思います。
・読書タイムができてからクラスが静かになりました。ぼくは本が大好きになりました。
・ぼくは読書タイムでいつもテーマを決めています。先月は「文字が小さい本で、ページの多い本」でした。その時に読んだのが「江戸川乱歩」の推理シリーズです。今月は「歴史」です。「卑弥呼」や「聖武天皇」などの本を読んでいます。この読書タイムを利用していろいろな本を読みたいです。
 このように、児童の感想の中から、集中力がついたこと、たくさんの漢字を読むことができるようになったことなど、学力の面での変化も感じとることができる。 
 本に親しみ、本が好きな児童を育てるために本校は次のような取り組みも行っている。地元の語り部をされている方に、ボランティアとして福井の民話や昔話を語る「お話し会」を定期的にお願いしている。また、図書室を三階から一階の児童玄関前に移動し、図書室の利用を促している。さらに、パソコンでの図書システムで本の貸し出し・返却を管理しているので短時間で手軽に本を借りることができる。これらの結果、本を借りたり、お話に興味を持ったりして読書の回数が増えたように感じる。

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 図書室には大きな掲示物に次のような言葉がある。
 本を読む子は……
 やさしい気持ちが心にたまる。
 言葉がいっぱい心にたまる。
 正しい力がいっぱい心にたまる。
 楽しい世界がいっぱいたまる。
 朝の読書の取り組みが始まった頃に掲げられたこれらの言葉は、学力向上のため、道徳的心情を育てるため、判断力を付けるため、そして何より、安定した心を持たせるために、児童への何よりの励ましとなったようだ。
 本を読ませたい、そんな願いから始まった読書タイムであるが、知らず知らずのうちに多くの種類の本に触れ、読書の楽しさを感じ、心身ともに成長していると感じる毎日である。


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