本校は、福島県太平洋側のほぼ中央部に位置し、比較的温暖で、自然条件に恵まれた住みよい地域にあります。たくさんの木々に囲まれ、緑豊かな学校です。一年を通じて、子どもたちが栽培した花壇いっぱいの花が心を和ませてくれます。
「朝の読書」は、数年前から行っています。いくつかの課題もありましたが、現在は全校あげて取り組んでいるところです。
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始業三十分前、どの学年の教室にも、声をかけてはいけないと感じるくらい自分の机で黙々と本を読む子どもを見かけます。
始業五分前になると、それまでにぎやかだった職員室も静かになります。担任の先生方は学級で、校長・養護・事務など担任外の先生方は職員室で好きな本を準備しはじめます。
始業開始、学校で一番静かな時間です。わずか十分間ですが、自分が学校で持てる最高の時間のように感じます。
このような変化のきっかけになったのは、夏季休業中、全職員で聞いた朝の読書推進協議会理事・吉田法子先生の講演でした。
『読書は人づくり、学力も心もアップ』や、朝の読書の四つの原則『みんなでやる、毎日やる、好きな本でよい、ただ読むだけ』の具体的な実践事例から、本校では『みんなでやる』ことが一番のネックでしたので、先生も一緒に読むことにより、子どもと共有化が図られ、子どもが安心するというお話をいただけた時には目から鱗が落ちたような気がしました。
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さっそく、二学期から再スタートしました。
「読書タイムを知らせる音楽の音量が大きいので、下げて下さい」「もう少し音楽は短くていいです」など、子どもや先生方からの注文の声も聞かれるようになりました。また、始業前や、休み時間にも、読書する子が増えてきたように思います。もちろん、物語の部屋(図書室)は大はやりです。地域の図書ボランティアによる毎月のおはなし会(読みきかせ)や読書講演会(学校とPTA行事の抱き合わせ)・親子読書など、読書担当者ばかりでなく全職員がそれぞれに関わり合いながら進められました。
このようなとき、フォア文庫の会からの『朝の読書応援ブック賞』を頂戴したことは、子どもたちへの大きな励みとご褒美になりました。 『教師の影響力は大である。教師が変われば子どもも変わる』まさにその通りであると再認識させられました。
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大熊町教育委員会の『読書は人間が成長するのに不可欠な糧である』という考えをベースに、『大人も子どもも、町民一人ひとりの充実した読書活動』を基本方針に据え、具体的な推進実践は三年目です。
町内各小中学校には、司書教諭補助員が配置され、司書教諭と共に読書教育推進の要になっています。
また、町の図書館との連携も図られています。毎月、ひまわり号(移動図書館車)が学校までやってきます。子どもたちは好きな本を学校で借りられます。そして、学校の返却ポストにいつでも返却できます。授業等で使用したい本があれば、団体貸し出しもしてくれます。読書週間時にはブックガイドを発行・配布するなど、本の紹介もあります。図書バックも入学する際に全員にプレゼントされます。
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先生方には、大熊町勤務中に、なるべく百冊読破を奨励するなど、教育委員会の強力なバックアップも教師を変え、子どもを変える原動力の一つになっています。
学校全体として取り組んだこと、地域や保護者との協力・連携があったからこそ、今の姿があるのだと思います。
現在、本校ではいのちの大切さを学ばせる体験活動の推進研究にも取り組んでいます。知育と体験をバランスよく絡み合わせながら推進していきたいと考えています。知育を高める読書の効力に大きな期待を寄せているところです。
読書習慣を身につけ、自ら本に手を伸ばす子を育てるために、今後も「朝の読書」の取り組みを推進してまいります。
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