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読書を通して心豊かに育つ余部っ子

兵庫県香美町 余部小学校
▲余部小学校では「読み聞かせ」も行なっている

 日本で一番高いトレッスル式鉄橋である、余部鉄橋。もうすぐ架け替え工事が始まるとあって、観光客でにぎわっています。この鉄橋の下にある余部小学校には、本校34名、分校8名の計42名が元気いっぱい生活しています。山々に囲まれ、鉄橋と日本海を見渡すことができ、花壇には子どもたちが植えた花が一年を通して咲く、自然いっぱい花いっぱいの学校です。
 本校では、学校教育目標である「自ら学び、こころ豊かにたくましく生き抜く余部っ子」のもと、@確かな学力、A個性の伸長、B家庭・地域との連携を重点課題としています。確かな学力を培う基盤は「読み・書き・計算」の定着であり、その中でも「読み」の定着は、読書を通して豊かな感性と考える力をはぐくむ読書好きな子の育成であると共通理解して、「朝の10分間読書」を始めました。

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 朝の読書を始めるにあたり、@読む本は、図書室の本でも家から持ってきた本でもよいので読書の時間までに準備をする、A本は取り替えないことが原則だが、低学年については読み終えたら学級文庫の本を読んでもよいことにする、B読書の記録や感想文は書かない、C担任も教室で子どもたちと一緒に読書をする、という約束を決めました。
 今年度から全校一斉に朝の読書に取り組むことになり、朝の様子が変わりました。前年度まで子どもたちは、朝の用意が終わると、すぐに教室を飛び出し遊んでいました。校内放送では朝の時間に元気な曲がかかり、にぎやかに一日がはじまっていました。17年度は朝の時間に読書をするので、朝の校内放送を昼休みに移動し、静かな中、読書ができるよう環境を整えました。始めた直後は、本を決めるのに時間がかかった時期もありましたが、慣れてくると、朝の用意が終わるとすぐ、自分の読む本をとってきて、読書の時間が始まる前から本を読み始める子どもも出てきました。

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 朝の読書タイムという校内の活動にとどまらず、二学期には、読書ボランティアを募集し、地域の方に月1〜2回程度本の読み聞かせに来ていただけるようになりました。読書ボランティアの日になると、子どもたちは「今日は、誰が来てくれるんだろう」と、各教室でわくわくしながらボランティアの方を待ちます。一年生は、特に読み聞かせが大好きで、ボランティアの方の読み聞かせが始まると、一緒に本の世界に入り込み、ページをめくるごとに驚いたり笑ったり、あっという間に時間が過ぎて、終わるといつも「あー、楽しかった」「また来てほしいな」と嬉しそうに話していました。
 読書ボランティアの方は、学校の本だけでなく、家から持ってきていただいた本や、読み聞かせのために図書館から借りてきた本を読んで下さいました。また、読み聞かせの活動を知った方から、家に眠っている小学生向けの本を利用してほしいという声を寄せていただくことができました。
 朝の読書が始まるまでの図書室は、読書が好きな子だけが集まる場所でしたが、現在では、ボランティアの方に読み聞かせしていただいた本をもう一度借りて読んだり、朝の読書の本をそのまま借りて持ち帰って読んだりする子どもも出てきて、にぎやかな図書室になっています。

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 一年目の成果としては、学校全体として読書量が増えたことが挙げられます。昨年度と比べて、本を借りる冊数が増えた子どもが多くなりました。朝の読書をきっかけに、本に興味が湧いてきたのだと思います。図鑑や漫画しか読まなかった子も少しずつですが、絵本や物語の文字に向かうようになりました。自分が読みたい本が選べるようになったこと、また、今まで机に向かって本を読むことが苦手だった子どもも、落ち着いて本が読めるようになってきたことも成果だと思います。
 本校の朝の読書の取り組みは、まだ始まったばかりです。図書室の整備、本の選定など課題は多くありますが、「朝の10分間読書」を通して、読書好きな「余部っ子」を育てていきたいと思います。


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