氷見市は富山県の北西部に位置し、「氷見ぶり」で有名な市である。
本校は校名の由来になったように海をへだてた北アルプス連峰を一望できる地にある。
「生涯を通してよりたくましく生きようとする心豊かでたくましい子どもの育成」を教育目標とし、本年度の重点目標を「思いをもって楽しく」と設定した。
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本校では、十五年度より「朝の読書」を取り入れた。朝のひとときの読書を通して、集中力をつけること、一人でも多くの「読書大好きっ子」を育てることをねらいとした。
そして、実りある「朝の読書」の推進のために次の点に、留意した。
@教師も一緒に読む。教師が夢中になって本を読む姿は、子どもに大きな影響を与える。
A読書は通常、各クラスで行い、図書室では一クラスずつ一週間交替で行っている。その週は図書室を独り占めできるうれしさから、朝早くから図書室に座って読み始めている子どももいる。「卒業するまでに図書室の本を全部読む」という目標をもつ子どもも多い。
B薦めたい百冊の本には赤いシール、歴史には黄色などジャンルごとに違う色のシールをはった。視覚的にもきれいであり、図書の整理、整頓も自然に促すこととなった。
C「あまんきみこコーナー」「宮沢賢治コーナー」などの作者別コーナーや国語科と関連付けて「平和学習コーナー」「環境コーナー」など必要なコーナーを設置した。
D季節にあった楽しい掲示や環境、新刊の案内など楽しい雰囲気づくりに努めた。
E各クラスで「読書リレー」「読書チャンピオン」などの試みを行った。「読書リレー」とは、クラスで決めたお薦めの本をみんなで読み進めていくことである。「友達が読む本をぼくも読んでみたい」と張り切る子どももいた。「個の読書生活」が、いつの間にか「クラスの読書生活」に広がっていった。
F図書館司書による読み聞かせを意図的、効果的に設定した。例えば、お話の途中で読むのをやめ、「さあ、このあとどうなるかな」と提起することによって、次の読書への誘いとなる。また、国語科の教材文に登場する作者の作品を意図的に読み聞かせてもらうことによって、読み広げることを促している。
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これらの工夫で読書への関心が高まり、読書が身近なものとなった。読書の習慣が定着し、図書室の利用者、図書の貸し出し冊数等が増加した。また、高学年になると話題の中に本が登場することも多い。
「先生、このシリーズ、おもしろいよ。読んでみる」と本を差し出す子ども。「この作家、いつも悲しい結末で終わるよね」と語り出す子ども。心の深いところで会話ができるようにもなってきた。
また、「次は、この本を読みたいな」「学校にないから、市の図書館で借りてきた」「このシリーズ、学校にも買って」など、自分の読書生活にこだわりを見せるものもいる。
静かに読み浸る喜びを味わいながら、心の中では動的な読書が芽生えてきていることをうれしく思う。
毎朝わずか十分の「朝の読書」ではあるが、一週間で五十分になる。少しずつの積み重ねが、子どもの心を、生活を豊かにしていくのだ。
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四月二十三日の「子どもの読書の日」には、朝の読書の時間だけでなく、国語科の時間にも読書の時間を設定する学年が見られた。
三年生は、読書に関する標語を作った。何点かを紹介したい。
・本はいつもわたしといっしょ
わたしの友達
・本大好き
いつの間にか物知りになってる
・本読めば
夢がどんどんどんどんふくらむよ
・こわい話の本
こわいのに読んでいる
・ゆうれいの本
こわいけれど大好きさ
・本読むとわくわくどきどき
そんな心いっぱい
・大好き「ぞくぞくシリーズ」
ぞくぞくしながらめくってる。 |