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「朝の読書」が本好きの
子どもを増やしている

石川県金沢市 四十万小学校
▲四十万小学校の「朝の読書」風景

 金沢市立四十万小学校は「杜の都金沢」の南端部にある。校区は、住宅地と田畑が混在し、近くには筍がたくさん採れる四十万山があり、四季折々の彩りを楽しませてくれるなど自然環境に恵まれている。
 「シジマ」という読み方は全国的にもめずらしいようである。数の多いことを昔は四十万と書いて「シジマ」と読んだらしいが、仏教が伝わった百済の国からは四十万里(シジュウマンリ)あるからとも言われている。蓮如上人のお墓や平安時代から「加賀の国」を治めていた富樫氏の代々のお墓があり、歴史的にも古い土地がらである。

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 本校の「朝の読書」は、今年で四年目になる。「自ら学ぶ子」を目指す本校では、図書館の整備とともにもっと図書館を利用できる子、もっと本も好きな子を育てたいという願いから、学習基盤作りの一つとして「朝の一〇分間読書」が取り入れられた。
 一年目は、火曜日と木曜日の朝八時二〇分から八時三〇分までの週二回。「朝の読書」のいわゆる四原則で行った。時間帯が教師の朝の打ち合わせと重なるので、長引かないように心がけていたが、一緒に読む時間が少ないこと、週の二日間だけでは良さが浸透しなかったことから二年目は、月曜日から金曜日までの毎朝を読書タイムに。さらに三年目からは、教師の朝の打ち合わせも、火・木の二日間をなくしたり、時間帯を五分間繰り上げたりなど工夫し進化してきている(平成17・18年は、金沢市の英語特区の関係で、木曜日は英語のショートタイムをしている)。
 朝八時一五分音楽とともに、「もうすぐさわやかタイムが始まります。教室に入り本を用意しましょう」の放送がかかる。子どもたちは、絵本バック(手さげ・本袋を机の横にかけている)から読みかけの本を取り出したり、学級文庫から本を持って来たりして読書を始める。教師も、できるだけ一緒に本を読む。「本を止めて朝の会をしましょう」とその日の当番が告げるまで、静かなひとときを過ごす。声がかかってもしばらくは本の世界の余韻が漂っている。手作りの栞(「しおりコンクール」で作ったもの)を読みかけのページに挟んでいる子もいる。

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 即効力や学習に直結する力など大きな期待を持たないで、ゆるやかに取り入れている「朝の読書」だが、新しく赴任された先生方から、「ここの学校の子、本好きやね。ちょっとの時間でも、本読んでるね」と言われ、嬉しく感じている。また、「朝のスタートが、静かに落ち着いてできる」「子どもたちと、本の内容など本を介して話ができる」などの声も聞かれる。
 子どもたちのアンケートの結果からも、「朝の読書」の時間は『好き』と答える子がほとんどである。
 そして、
・前より、本を読むようになった友だちの本を見て、おもしろそうだなぁと思って貸してもらったら、休み時間も読むようになった。
・あまり好きでなかったけれど、本を読んでいると内容がわかって、だんだんおもしろくなった。
・厚い本を読めるようになった。
・字も言葉も読むのが速くなり間違えにくくなったし、漢字がちょっと得意になった。
 さらに、集中力が増した。姿勢がよくなった。いろんなジャンルの本を読むようになった。などの声がたくさんある。続けて取り組んできたことによるささやかな成果といえるかもしれない。

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 しかし、漢字や計算など学力の補充の時間や、委員会・行事など係の連絡の時間がとれないなどの悩みもある。今年度もそんな声の中で、やはり読書の良さと、好きな本を読むことができる時間を持たせたいという願いを話し合い、共通理解して実行している。
 本校では、「朝の読書」の他にも、全教職員による「お話プレゼント」や「お薦めの本の紹介」、図書ボランティアの方による「お話会」や「読み聞かせ」が、定期的に行われている。子どもたちにとって、読書が生活の一部になり、心を育て、生活が潤うように、これからも子どもたちと本とをつなぐ活動を意図的、計画的に取り入れていきたいと思う。


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