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ただひたすらに読む

大阪府池田市立 細河中学校
▲細河中学校の「朝の読書」風景

 本校は、大阪府の北西端に位置する池田市の北の外れにある学校である。昭和57(1982)年に市内5番目の中学校として、新興住宅地に開校した。本年度、創立25周年を迎え、生徒集会「創立25周年記念の集い」等、記念行事を行い、記念事業の1つとして、卒業式までには、卒業生の植木職人が中心となり、校舎の壁面緑化や玄関庭園の整備を行う予定である。現在、生徒数268名・10学級、職員44名(非常勤を含む)である。

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 本校の学校教育目標は、「命・人権・出会い・学び」であり、開校以来、人権教育を柱に学校づくりを進めて来た。その今日的な到達点が、「協同的な学び」の追究である。まず、大人である教師が生徒を独立した人格として尊重し、教師と生徒、生徒同士、生徒と教材を繋ぐことをめざしている。めざす授業は「活動的で協同的で表現的な学び」(静岡県富士市立岳陽中学校の教育目標に学んでいる)である。教師の一方的な教え込み・講義型の授業を脱して、生徒同士が学び合う授業をめざしている。その成果を、毎年、公開授業研究会として披露している。また、学校づくりの柱として、近年、生徒の職業観・勤労観を育むキャリア教育に力を注いでいる。1年での職業インタビュー・2年での5日間の職場体験学習・3年での先輩から学ぶ進路学習を核に、生徒の生き方に迫る日常的な取り組みをめざしている。
人口10万の池田市は、古くから交通の要衝として栄え、織田信長は西国を治めるために、2度にわたって池田城に陣をとったほどである。近世には、幕府の天領として栄え、商工業が発展した。特に、江戸時代前半には隣接する伊丹とともに、日本一の酒どころとして栄え、元禄期には酒造家37軒を擁した。池田名物は、酒と茶道に愛用されている池田炭と植木である。高台の学校の麓にある細河地区は、日本を代表する植木の産地である。

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 さて、本校での「朝の読書」は6年前にスタートした。本市においては、市単費で図書館司書が配置されており、図書館は、毎日朝8時半から夕方4時半まで開館している。図書の管理・貸し出しは、コンピュータを活用して、バーコード処理している。校務分掌で1名の図書館担当の司書教諭を位置付けている。司書教諭が各クラスから選出された図書委員を組織して、図書の貸し出し業務の手伝い、購入希望図書の調査、図書館情報「ほっちゅう文庫」の発行を行っている。
8時25分から勤務につくすべての教員は、8時30分には、各教室に出向き、生徒とともに静かに、ひたすら、本を読む。コミック・教科書以外なら、読み物はなんでもよい。この10分間に職員室にいるのは、校長・教頭・養護教諭の3名だけである。
私は、毎年、3学期に入ると卒業して行く3年生と個人面談をする。1人10〜15分の時間である。その中で、必ず聞くことにしているのが、この3年間で出会った最も印象に残っている本のタイトルとその内容である。朝の読書により、読書の習慣がついた生徒、図書館に足を向けるようになった生徒、この時間を設けたことに感謝する生徒など、校長としては本当に至福の一時である。本年度もその時期が近づいている。

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 生徒の状況により、けっして、毎年、静かに読書に集中できているとは言えないが、朝の読書により、落ち着いた一日が始まり、いつしか、生徒のこれからの長い人生の中で、朝の読書で出会った本が、励ましとなったり、温かい心を育むことになれば幸いである。息長く、粘り強く、朝の読書を続けたいと思う。折しも、「言語力の伸長」がキーワードとなる新学習指導要領がまもなく告示される。今後とも、長期展望に立って、文字に親しむ生徒を育てたいと思う。

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