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読書の喜びを全ての子に

岩手県・宮古市立 崎山小学校 教諭


 「読書の喜びを全ての子に」と歩み始めた十八年前。 
 「図書の時間」は週一回。「心のひだを重ねていく指導」「自分をしっかりみつめる指導」「本の持つ価値を最大限に生かせる指導」という柱をかかげスタートしたのですが……。 
 四十五分間「ウロウロ」する子。ひそひそ話に興じる子。次から次へと本を取りかえ落ち着かない子。 
 そんな子ども達を「イライラ」しながらただただ見つめるだけの私。楽しいはずの時間は、だんだんと苦痛にさえなっていきました。 
 その頃出会ったのがジム・トレリースの『読み聞かせ この素晴らしい世界』という本でした。「黙読の時間」を素晴らしい世界と紹介し、生き生きとした子ども達の様子が描かれていたのです。 
 それからは“指導”という言葉を捨て、子どもと共に“楽しむ”ことに徹しました。 
 そして十年。やっと「黙読の時間」が定着し、読書がすべての人にとっていかに大切で楽しめるものかを感じ始めた時、林先生の「朝の読書」と出会ったのです。  

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 「みんなでやる」「毎日やる」「好きな本でよい」「ただ読むだけ」の四原則であっという間に全国に広がっていった朝の読書。 
 その原点が十八年前に手にしたあの本だったと知り、心躍る思いでした。そして『続 朝の読書が奇跡を生んだ』の本の中に私の十何年かの歩みを載せていただいたのです。 
 それまでにも、何度か読書への取り組みを呼びかける会を開き、語りかけてきてはいたのですが、思うように広がらずにいました。 
 ところが、林先生の四原則を紹介すると、その場で先生方の目が輝き、実践校がどんどん増えていったのです。 
 そして、これまでに数多くの実践校を見てきて思うことは“全教職員の共通理解の大切さ”です。 
 朝の読書の良さは充分に理解しているつもりでも、“必要感”を強く感じないがために、中途半端な取り組みしかできないとか、「朝学習」へのこだわりを捨てきれずに足並みが揃わないなど、困難と戦っている人達の便りに、胸を痛め、頭を悩ませることも度々ありました。 
 そんな中、週一回から二回と少しずつ増やしていった学校、学級から学年そして全校へと広げていった学校と、さまざまな努力と工夫を続けている仲間との交流に力づけられ、少しずつ前進してきたつもりです。 
 我が校でも学習会を何度か持ち、四原則の持つ意味をしっかりと理解しあったうえでスタートしました。

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 “みんなで”読むことで、一人では絶対読まない、読めない子も本と向き合うようになってきています。また、全校一斉という迫力が一人ひとりを動かしているようにも思います。“毎日”は、生活リズムの乱れを正してくれました。一日の始まりにやるべきことが見えていて、それが自分で選んだ物であるという安心感が、気持ちよい一日のスタートにつながっているようです。 
 “好きな本”は、目に見えて子ども達の自主性や主体性を育ててくれました。帰りの会終了と同時に明日の朝読む本を机の上に置いてから下校する子ども達。誰もいなくなった教室で、一人ひとりの机の上を見ながら、本のむこうに見える子ども達の心に思いをはせるのも楽しみの一つとなってきています。 
 “読むだけ”は、最初の頃は多くの子に支持されましたが、物足りなさを感じはじめている子が出てきています。その子に応じて「考える読書」に挑戦させたり、「心の虹」として他校のお友達と交流させたりと、さまざまな出会いを持たせるようにしています。 
 「総合的な学習の時間」が入ってきて、この読書がさらに大切な役割を果たし始めていることを確信します。「生きる力」の原点として、さまざまな世界へ誘う本の世界を全ての子に味わわせ続けたいと思っています。 


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