トップページ朝の読書ホームページ→「朝の読書」トピックス

全校に「朝の読書」の風が吹いた!

山形県・県立 鶴岡北高校 教諭


 本校で、「朝の読書」が始まったのは昨年度からである。1年生のみ、他学年より10分早く登校しての実施であった。担任団もサービス出勤し、共に読書をした。生徒達が本に親しみ、感性を磨き、積極的に生きる力を身につけてほしいという思いからである。
 考えてみると、林公先生との出会い、林先生の『朝の読書実践ガイドブック』を始めとするいろいろな著書や励ましが、私を朝読の仕掛け人にしたのであろう。担任団への働きかけが実を結び、1年生のみの朝読がスタートした。

□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □

 最初の朝読の日(2000年4月14日)、1年生の4階は静寂に包まれていた。テストではなく、全員が読書に集中していたのである。体が震えるような感動的な日であった。3年間続けたい、できたら全校で…と、夢が広がっていった。
「この10分間が正直1日で読書ができる唯一の時間だ。」と言う生徒や教師がいる。読み終わって感動した本を仲間や教師に奨めて貸す生徒達がいる。
 朝読によって活字になれた生徒達は、家に帰ってからゆっくり読むように渡したプリントをその場で読み出す。新聞の切り抜きの感想を書くよう指示すると、読む力がついてきたのか字数をたっぷり使って表現する。
「初めは、読まされているという感じだったが、今は本が読みたくてしょうがないっていうほどはまってしまった。読書は集中力がつくし、心を豊かにさせると思う。楽しさや感動を与えてくれるし、たくさん学ぶものがある。難しい漢字も勉強になるし、とにかく朝読を通して、自分の考え方が変わったと思う。本を読むということはすごいことだと思った。」とT子が朝読の感想を書いてきた。

□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □

 学年の独自のメニューを暖かく見守ってくれる管理職をはじめとする教職員。朝読のため早出勤を続けた担任団。指示通りに早く登校して読み続けた生徒達。静かに、朝読の風が吹いた一年間であった。勿論、時には遅刻する生徒がいたり、出張等で担任がいない日には雰囲気の壊れる時もあった。それでもアンケートをとると、圧倒的多数の生徒が「これからも朝読をしたい」と希望していた。
 こうした学年の動きを背景に、図書館課では、研修会と2回の職員会議で教職員の意思統一をはかり、わずか一年で、今年度(2001)から全校朝読が実現した。あらためて「物事はできるかできないかではなく、やるかやらないかである」という言葉を思い出した。
 方法は朝読4原則(@本は毎日読む。A自分の好きな本を読む。B先生達と一緒に読む。C読むだけでよい。)である。また、本は自分で準備することを原則としたが、本を忘れたり、図書館で借りる時間がなかった生徒達のために学級文庫(各30冊)を開設した。各学年6クラス編成であるが、2カ月毎に回転していくようにしている。本選びには、職員会議での発言「朝読より小テストや自学自習時間を組み込みたい」という声も念頭に入れ、小論文の基礎を充実できるような岩波ブックレット、かもかわブックレット、集団読書用の本等も学級文庫に入れ込んでおいた。また、教師全員が参加できるように学年のグループに全教職員を配置した。

□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □

 朝読が初めての新入生は言う。「朝読を北高に入って初めて経験した。10分間は短い時間だったけど、集中して読むと、すぐに本の世界に入ってしまっていた。自分の頭で想像できるし、心を広くできるので本を読むのは気持ちがいいと思った。1カ月1冊のペースで読んでいきたい」。
 さらに、図書委員会では、読書の楽しさを味わってもらいたいと「読み聞かせの会」を開いて動き始めている。いろいろな形で朝読へのエールがおこるのは嬉しい限りだ。
 毎朝本を持って教室に出かけていく教師の足音は、今、風のように軽い。


朝の読書ページトップへ

−無断転載を禁ず−
Copyright (c)2000 TOHAN CORPORATION