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楽しんでます「朝の読書」
─お母さんたちと一緒に─

栃木県・宇都宮市立 晃宝小学校 校長


 毎週火曜日の朝、十数人のお母さんたちが学校に集まってきます。中にはまだ幼い子を抱っこしたり、手を引いたりしている人もいます。今日はどんな本が登場するのか、だれのお母さんが読んでくれるのか、教室の子供たちも楽しみに待ち構えていて、八時十五分になるとどのクラスでも「読み聞かせ」が始まります。シンと静まり返った校舎にときおり笑い声やざわめきが起きますがすぐにまた聞くことに集中していきます。
 本校では従来、八時十五分からの朝の職員打ち合わせの時間には子供たちは教室で自習(国語・算数のドリルや読書)していることになっていましたが、教師もいない朝の教室は、ざわついていたり席を離れる子がいたりして落ち着きませんでした。
 昨年度、子供たちに読書の楽しさをもっと味わってもらいたいという願いから、朝の読書の時間を充実させることにし、週三回(今年度からは週四回)、朝の打ち合わせをやめて教師と子供が一緒に読書をする時間を設けました。

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 全職員で話し合って決め、実施したこととはいえ読書に対する意識の差もあり、従来の自習の時間から抜けきれないこともあって、始めたばかりには読書以外のことに時間を使ってしまうクラスや、本の用意もなく漫然と教科書をめくっている子供の姿などが目立ちました。何か策を講じなければと、考えたのが「読み聞かせ」でした。
 PTAのお母さんたちに呼びかけ「読み聞かせボランティア」を募り、毎週一回の「朝の読み聞かせ」を始めたのです。
「経験や上手・下手は問いません。自分の子に読んでやりたいと思う本を自分の子に読んでやるように読んでください」と呼び掛けたところ初めは五、六人そのうち少しずつ仲間が増えて、十二学級全クラスに訪問してもらえる人数が集まりました。長続きするよう無理はしないこと、情報交換をしながら少しずつ勉強したり練習したりしようということで楽しみながら読み聞かせをしてもらっています。  

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読み聞かせが始まってからの子供たちの様子の変化には著しいものがあります。
 読書に対する関心が急速に高まり、朝の読書に読む本を探しに図書室を訪れる子供が増えました。教職員の意識も自然に高まり、校内に「朝は読書」という雰囲気ができあがっていきました。お母さんたちに読書の楽しさを運んでもらう作戦は大成功でした。
 読み聞かせを取り入れた本校の「朝の読書」は『教師を含めたみんなで、すきな本を、毎日、ただ読むだけ』という原則から見ると少し変則的なところもありますが、木・金・土の三日間は原則どおりの実施です。いまでは学級裁量になっている月・水も読書を実施しているクラスが増えているようです。

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 読書の雰囲気が盛り上がるにつれ、学習情報センターとして手狭になっている図書室から独立して思う存分読書に浸らせたい、「読書室」を作ろうということになり、職員の努力とお母さんたちの協力で、こじんまりとはしていますがかわいい読書室が誕生しました。
 予算が少なく本の数が思うようにそろわない悩みもありますが、市の図書館のリサイクル本を五百冊ももらってきてくれたり、教師の要望に応じて市立図書館の集団貸出にも力を貸してくれるお母さんパワーには脱帽です。
 図書委員会の子供たちは、一年生に読んでやりたいと、紙芝居をもって一年生の教室を訪問するようになりました。PTA祭には読み聞かせのお母さんたちに指導してもらった子供たちが、人形劇の公演をして大好評でした。「朝の読書」を通して学校が変わり、PTAが変わりつつあります。  そして何よりも、子供たちが朝の読書を心から楽しんでいます。


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