| ショッピングカートの確認 | ご利用案内 | Q&A | サイトマップ | 会員ID回答 |
書名・著者名から検索します。


ホーム注目の作家
注目の作家 vol.2 【紹介者】 文藝春秋 吉安 章さん
筒井康隆「恐怖」
筒井氏短編「漫画の行方」直筆原稿立ち読みコーナー  ▼筒井康隆作品リスト

そして誰もいなくなる!?  筒井康隆久々の本格推理小説!
筒井康隆
【著者プロフィール 】
1934年、大阪に生まれる。
同志社大学文学部卒業。
60年SF同人誌「NULL」を主宰、同誌に発表した処女作「お助け」が江戸川乱歩に認められ、作家活動を始める。
著書に「虚人たち」(泉鏡花賞)
「夢の木坂分岐点」(谷崎潤一郎賞)
「朝のガスパール」(日本SF大賞)
「わたしのグランパ」(読売文学賞)
「虚航船団」「敵」「エンガッツィオ司令塔」「筒井康隆全集」等多数。
近年は、映画、演劇、ドラマへの出演などでも活躍。

筒井康隆氏のホームページアドレス http://www.jali.or.jp/tti/
「先生。あなたは病気です」

とある地方都市で起きた文化人連続殺人事件。
次は俺か……。パニックに陥った作家の狂気を通して
“恐怖”の根源に迫った快作!

笑っているのではない、死んでいるのだーー。
主人公の作家・村田勘市は、たまたま訪れた知人の美人画伯の殺害死体第一発見者となる。
さらに直後、建築評論家が殺されるに及んで、犯人の狙いはどうやらこの姥坂市に住む 14人の文化人らしいという疑惑が生まれる。
その根拠となるのは、四年前に起きたある崩落事故。村田とその周囲の文化人たちは疑心暗鬼に苛まれる。
「次は俺が殺されるのか……」。
もはや友だちも信じられない。
些細な物音にも怯える極限状況での生活。
パニック状態に陥った主人公の精神状態が克明かつリアルに描かれますが、むろん謎解きの愉しみもあります。しかるに犯人は誰なのか、またその動機とは……。


作家生活35年、あまたの作品を執筆してこられ、かつ幾多のジャンルに挑戦してきた筒井康隆氏の今度の新作は久々の本格推理小説といえるかもしれません。
が、他の筒井作品と同様、一概にひとつのジャンルに括ることが非常に難しくもあります。
というのは例によって巧妙かつ精緻に張り巡らされた仕掛けのためです。
たとえば、作中にさりげなく出てくるアガサ・クリスティの名作ミステリー「そして誰もいなくなった」、フリッツ・ラング監督の「M」などのテキスト引用は、まさに筒井氏ならではの鮮やかさ。
また、精神分析に造詣の深い氏の心理描写ーーことにパニック状況に陥った人間におけるーーのリアルさをみれば、すぐれた心理小説といえなくもありませんし、極限状態の人々だからこそ生みだされる会話のおかしみ、軽妙洒脱さはユーモア小説としての一面を備えています。
   
『恐怖』
■文藝春秋刊
■本体価格1,048円
■1月5日発売
目次の章の小見出し29本は、すべて10文字。さらに、カバーにおぼろげに浮き上がる顔はーー誰あろう、筒井康隆氏本人です。サブリミナル効果うんぬんはともかく、筒井ワールドを凝縮した一冊、どうぞお楽しみ下さい。
  
  

     ●恐怖/目次
   ・嫣然たる微笑の意味は
   ・もしここに人が来たら
   ・領収書が大切なのです
   ・三人の刑事が転倒する
   ・別れた妻と背中あわせ
   ・限られている新聞紙面
   ・もと伴侶をどう呼ぶか
   ・オカルト的な自己完結
   ・文化人皆殺しの可能性
   ・無関係という関係が鍵
   ・薔薇を手折る三人の娘
   ・刑事が手帳に書き込む
   ・豪雨と雷鳴の中の恐怖
   ・絞り込まれた三十五人
   ・脳障害の刑事との対話
   ・この町は発狂している
   ・美都ちゃん人形の視線
   ・深夜の客の野卑な大声
   ・君は何を顛えているか
   ・思いがけぬ乙女の来訪
   ・ハイデガー恐れの分類
   ・危機は突然やってくる
   ・先生あなたは病気です
   ・書道家は幽霊に怯える
   ・恐怖こそ根元的な本能
   ・犯人の一人が告白する
   ・もう一人の犯人の告白
   ・姥坂市からは脱出不能
   ・その後誰がどうしたか

筒井康隆氏から皆さまへ

 筒井康隆は蜷川幸雄演出の三島由紀夫「近代能楽集」に出演して十一月には埼玉・浜松・琵琶湖・名古屋・大阪と巡演し、十一月三十日、大阪で無事千秋楽を迎えました。
その日のうちにただちに上京、翌日からは朝六時起きで吉祥寺にある老人ホームでの映画のロケに通いはじめました。
この映画は、テヒート制作(ホリプロ協力)の「ひっとべ」(鹿児島弁で「思い切ってやれ」の意)で、三遊亭歌之助・筒井康隆・伊藤かずえ主演、公開は来年三月となります。
七日、府中の東京競馬場でのロケで出番が終り、現在ほっとひと息ついているところです。
 役者としての次の仕事は、テレビ朝日・共同テレビ制作の「ココだけの話(仮)」というオムニバス・ドラマの一篇「思い出せない!」で雨上がり決死隊の宮迫さんと共演します。
あとは、来年六月、上記「近代能楽集」のロンドン公演まで予定はありません。
 出版の方は長篇「恐怖」のあと、小学館から「演劇日記・文学外への飛翔」が、また新潮社から「天狗の落し文」が出ます。
現在仕事中のものとしては、アンブローズ・ビアス「悪魔の辞典」を翻訳中です。
雑誌「現代」に連載されたあと、講談社から再来年に出版される予定です。
他に連載しているエッセイは朝日新聞の「トークエッセー」、「噂の真相」の「狂犬楼の逆襲」など。
 ではよい世紀末をお迎え下さい。そして、新世紀おめでとうございます。
筒井 康隆


筒井氏短編「漫画の行方」直筆原稿立ち読みコーナー  ▼筒井康隆作品リスト
ホームへ

Copyright (c)2000 TOHAN CORPORATION