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バブル崩壊後、迷走を続ける現代日本−−この閉塞状況を突破するには何が必要か。その答えはすべて古代ローマ史にあった! 
『ローマ人の物語』で圧倒的な支持を受ける著者が、新たに書き下ろした「ローマ史の読み方」がいよいよ登場。国家興亡の法則を、「塩野史観」で鮮やかに解き明かす興奮の書。
痛快!ローマ学
塩野七生/著
出版社/集英社インター
本体価格/1,700円
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e−hon企画
11巻発売中!
ローマ人の物語
カエサルの指摘に戻って考えれば、
こうした「諸悪」は最初から悪であったわけではない。
 現在の日本は、実にさまざまな問題を抱えています。
 バブル崩壊以来、いっこうに上向く兆しすらない国内経済、国民を幸福にするどころか、かえって害悪をまき散らしている官僚制の問題、細かいところで言えば、特殊法人や不良債権の問題だってあるし、教育問題も深刻です。
 こうして日本の問題点を数え上げていけば、それだけで憂鬱になってしまうほどですが、先ほどのカエサルの指摘に戻って考えれば、こうした「諸悪」は最初から悪であったわけではない。
 たとえば今では誰もが無条件に悪だと名指しする官僚の天下りでも、それが行われた当初においては官民一致しての国際競争力獲得という目的があったはずです。また最近問題になっている道路公団にしても、その設立当時は日本全国に道路ネットワークを張り巡らせるという重要な意義を果たしていたわけです。
 ところが、そうやって善意で始まったさまざまなシステムが、あるときをもって害悪をまき散らす存在になってしまった。ここに今の日本を考える上での出発点があると、私は考えるのです。
 では、いったいいつ、どこで善意が害悪へと転換したのか。
 ローマの場合、その分岐点はポエニ戦役によって領土が急拡大したときであったわけですが、戦後日本の場合、それはやはり経済が高度成長を遂げ、ついに一人あたりGNPでアメリカと方を並べたあたりであったと見るべきでしょう。
〜本書「第9章 ローマから日本が見える」より
第1章 なぜ今、「古代ローマ」なのか
歴史とは人間である/なぜルネサンス人は古代ローマに目を向けたのか/「人間とは何か」を知る最高のヒント/ふたたびローマ史の時代/空前にして絶後の「普遍帝国」/失敗と蹉跌のローマ史/水平思考と垂直思考/試行錯誤がローマを作った/ローマと日本の「大いなる混迷」/一級品の男たち
第2章 かくしてローマは誕生した
賽は投げられた!/カエサルが「創造的天才」と呼ばれるわけ/建国神話/川に流された双子/ロムルスの「三権分立」/なぜローマは「空き地」だったのか/血気盛んな若者集団/「サビーニの女たちの強奪」/驚くべき和平提案/「帝国の原点」は、ここにあった/なぜローマ軍は強かったのか/「直接税」だった軍役の義務/王たちの横顔/「尊大なタルクィニウス」/血塗られた即位劇/スキャンダルはなぜ起きるのか/王の追放/少年期の終わり
第3章 共和政は一日にしてならず
「愚か者」の革命/王から執政官へ/共和政のカギを握る元老院/自民党と元老院の共通点/「ノーブレス・オブリージュ」/「父たちよ、新たに加わった者たちよ」/若者たちはなぜ「抵抗勢力」になったのか/戦争の連続/「左利きのムティウス」/共和政の弱点とは/平民たちの不満/建国初の「ストライキ」/「拒否権」こそ、権力の中の権力である/日本外交の「秘策」とは/なぜ階級対立は解消できなかったか/剣を捨て、鍬を持った独裁官/ローマ人たちの「義理人情」/カエサルはなぜ「右腕」を失ったか/アテネの改革、ローマの改革/「カミルスの予言」/「森林の住民」の侵入/ローマ、燃ゆ/どん底からの再出発/再起のための優先順位/「リキニウス法」の驚くべき内容/元老院開放/調和の神殿
第4章 「組織のローマ」、ここにあり
イタリア半島統一/なぜ、アテネは衰亡したか/ローマ人が学んだ「歴史の教訓」/組織のローマ/なぜローマ人に「信賞必罰」は不要だったか/二つのネットワーク/ラテン同盟はなぜ失敗したか/保守も徹底すれば、革新に至る/ローマ連合とは/旧敵に市民権を与えた「ローマの知恵」/コローニアなくして同盟なし/なぜローマ人は街道を造ったのか/なぜ、敗者は勝者を恨むのか/運命共同体の必要性/すべての道はローマに通ず/「組織のローマ」を揺るがした男
第5章 ハンニバルの挑戦
カルタゴは「平和国家」か?/「自衛戦争」として始まったポエニ戦役/ディテールにこそ歴史の醍醐味はある/陸のローマ、海のカルタゴ/「ローマの常識」へのアンチテーゼ/カンネの戦い/なぜハンニバルは強かったのか/なぜローマ軍は変われなかったのか/ローマ軍の粋は重装歩兵にあり/「自分らしさ」を捨てた改革は無意味である/「組織のローマ」の自覚/ハンニバルの誤算/リーダーの条件/スキピオ登場/ハンニバルの「不吉な予言」
第6章 勝者ゆえの混迷
急成長のツケ/強大になった元老院/混迷はなぜ生まれたのか/「新しい現実」の痛み/自作農の没落/空洞化する共和政/騎士階級の誕生/埋めがたい溝/ローマ連合の「亀裂」は、なぜ起こったのか/グラックス兄弟/失業対策/こうして、悲劇は起こった/「内乱の時代」の始まり/「ボーダレス化」を図ったガイウスの改革/「鎖国主義」/「伝家の宝刀」を抜いた元老院/武器なき予言者は滅びる/マリウスの軍制改革/思わぬ副作用/同盟者戦役/「帝国」への一里塚/もう一つの「災い」/流血の連続/「政治的人間」スッラ/スッラ改革の盲点とは
第7章 「創造的天才」カエサル
終身独裁官/「スッラは政治が分かっていなかった」/真の改革とは再構築である/カエサル流の「平和宣言」/ガリアから来た元老院議員/属州もまたローマなり/「一石三鳥」の植民都市建設/「コスモポリス」/集権と分権と/攻めの時代から守りの時代へ/ガリア問題とはゲルマン問題だった/カエサルがヨーロッパを作った/なぜカエサルは「寛容」を掲げたか/カエサル死す
第8章 「パクス・ロマーナ」への道
「国家」は誰のものか/ローマの使命/「ローマ史上最大の名優」/「アウグストゥス」の深慮遠謀/皇帝への「カード」/全軍最高司令権/アウグストゥスの「ささやかな願い」/「皇帝」の誕生/カエサル暗殺の教訓/皇帝という「仕事」/「内なる平和」と「外なる平和」/税体系の確立/相続税の「発明」/「ローマの消費税」/「パンとサーカス」の嘘/ローマにはなぜ公立学校や公立病院がなかったのか/ローマ軍団のリストラ/「補助兵」に隠された知恵とは/運命共同体への道/ローマ防衛体制の構築/皇帝へ贈られた言葉
第9章 ローマから日本が見える
「リストラ」の名人たち/「ゲルマニア撤退」決断/なぜローマ人は「法」を求めたのか/ローマに成文法がなかった理由/歴史と伝統を無視した改革は失敗する/改革とは「過去の否定」ではない/なぜ「善意」が害悪をもたらすのか/日本の「混迷」は、ここに始まる/「55年体制」を再評価する/ローマ史上屈指の言論戦/元老院の「善意」/カッサンドラの悲劇/改革者は孤独である/なぜ日本にリーダーは登場しないのか/「任せる」ことからすべては始まる/誤解されつづけたローマ史/日本人だからローマ史が分かる
【特別付録】英雄たちの通信簿 ――指導者に求められる5つの資質とは

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