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著者の渡部さんはお会いすると、エネルギーに満ちあふれた、本当にお元気な方です。しかし、渡部さんは昨年12月で医師から宣告された余命1年半という期限が終わっています。つまり今、亡くなってもおかしくない。そんな期限切れ≠フ時間を使って、子どもたちに「命の大切さ」を語り続けています。
講演では、どんな大きな会場でも、いつもマイクも演台も使わず、自分自身の声で呼びかけます。その迫力にイマドキの子どもたちも目を離せません。子どもたちは敏感に本物を見抜きます。今、話している人がどれだけの覚悟でいるかを感じるのでしょう。講演に対して子どもたちから寄せられた2万通を超える感想文を読むと、渡部さんの言葉が、どれほど深く子どもたちの心を揺らしているかがわかります。
この本はそんな感動の講演を中心に、経済的に恵まれなかった生い立ちから社長になるまでのこと、ようやく自分の人生を楽しもうと思った矢先、余命宣告を受けて絶望の淵に立たされ、闘病することになった苦悩、そこから得られた生命や人生についての考えが、つづられています。
この本には、きれい事や、建前や、見栄などはありません。
突然、死を突きつけられた一人の人間が、弱さや苦しさを乗り越えて、本当に命を、人生を愛しく思い、友人や家族を大切に感じ、世界に感謝する心が示されています。
この数年、日本人の自殺は約3万人を数え、先進国ではずっとトップクラスです。いじめの問題も深刻です。それは、「なぜ自殺はいけないの?」「なぜいじめはいけないの?」と子どもに問われても、本当に確信を持って、建前ではなく自分の言葉で、「NO!」と言える人が少ないからではないでしょうか。
本書にはその問いへの明確で、力強い答えが書かれていると思います。ぜひ多くの子どもたちに、また先生や親御さんに読んでいただきたい本です。
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