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『月刊ホビージャパン 1月号』
969年創刊の日本で最も伝統あるホビー情報誌。プラモデルからフィギュアまで、幅広いホビー情報を掲載。
毎月25日発売
定価840円
A4変型判
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『ホビージャパン 2011年2月号』
500号記念号 ダブルオークアンタ 別添付録(GNソード4フルセイバー)
定価1,390円
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プラモデルは時代を映す鏡
西澤 まずは『ホビージャパン』通巻500号おめでとうございます。
村瀬 ありがとうございます。お返しになりますが、ガンプラ(ガンダムのプラモデル)も今年誕生30周年の記念イヤーですよね、おめでとうございます。
西澤 ありがとうございます。
村瀬 実は『ホビージャパン』は日本で最初にガンプラを扱った模型誌≠ネので、まさにガンプラとも30年間のお付き合いです。創刊40数年の歴史の大部分を一緒に歩んできた、という感じです。
西澤 そうですね、お互い製作サイドではなく、まだ一般ユーザーとしてガンプラを作っていた小学生の頃からのお付き合いです。当時私も一読者として『ホビージャパン』を愛読していました。今も変わらずですが、とにかく昔から内容が濃かったことを覚えています。でも毎月お小遣いとの葛藤でしたね。余裕がある時はガンプラと雑誌を一緒に買えるのですが、厳しいときはガンプラしか買えないことも(笑)。そういう読者も多かったのではないかな。
村瀬 当時でも600円していたと思うので、小学生にはちょっと苦しかったかも知れません。今回は通巻500号記念号ということで、ホビージャパン×バンダイの特別プラモデル付録を作らせて頂きました。本誌やガンプラのファンだった者同士でこうして一緒に仕事が出来るというのは嬉しいですね。
西澤 本当にそうですね。かなりクオリティの高いものが出来たと思います。
村瀬 近年のプラモデルの精巧さは本当に素晴らしい。30年前の発売当初のガンプラと比べると、その進歩は歴然です。この付録をきっかけに昔のガンプラファンにも再度興味を持ってもらえると思います。それにしても30年間進化し続けるって並大抵のことではないですよね。
西澤 ユーザーの支持を得続けるのは本当に大変です。これまで携わったスタッフ達の様々な試行錯誤や経験の蓄積によるものだと思いますが、そこには『ホビージャパン』の協力も大きい。というのも、ホビー誌の読者の声はとても参考になるからです。商品開発に反映された事例も多くあります。
村瀬 ガンプラの進歩を見ていくと、精密さと同時に、何かコンセプト≠フ変化を感じるところがあります。特に今年発売された「RG(リアルグレード)」シリーズは、時代に合っている商品だと思います。今、世間では長引く不況でなかなか財布の紐がゆるくなりにくい状況が続いています。こういう時は何より付加価値≠ェ求められる訳です。RGは精巧に出来ていて製作に時間を掛け楽しめる割には、完成後の大きさは大きくない。その結果税抜き2,500円と、かなりリーズナブルな価格設定になっています。これって良いものを安く、という時代のコンセプトの体現だと思うんです。
西澤 確かにそういったユーザーの要望はかなり重視しています。以前もマンション住まいのユーザーから「塗料や接着剤のシンナー系の匂いをなくす事はできないか」という意見があり、今では一度に4色の色分けをできる多色成形機を使用して、色塗りしなくても満足感を得られるようにしたり、接着剤を全く使用しないキットとして販売しています。単に精巧になった、ではない進化を続けています。
村瀬 時代にあわせて作りやすく、買いやすく。そういったところがユーザーの支持を得ているところなんですね。
変わらないガンダム≠フ魅力
村瀬 昨年、東京・お台場に実物大のガンダムが作られて、大きな話題になりました。約2ヶ月の展示期間に415万人もの人が訪れたそうです。これなんかはガンダム人気の凄さを見せ付けた事例だと思います。その多くが「大人」だったことを見ても、ガンプラも大人のホビーだと思うのですが、実際のガンプラユーザー像はどんな感じなんですか?
西澤 男女比だと間違いなく男性主体ですが、女性ユーザーもいます。年齢層別だとメインはファーストガンダム(第1作)を当時見ていた人達を中心に、30代後半から40代です。ただ、ここ数年で放送された「ガンダムSEED」や「ガンダム00(ダブルオー)」といった新シリーズのファンも新たに加わっていますので、10代〜20代にもう一つのボリュームがある、という感じですね。
村瀬 やはり『ホビージャパン』の購読層とほぼ同じ傾向ですね。特に新シリーズのテレビ放映期間に、若い読者層がグンと増えるような感じがあります。しかも、そこから昔のアニメ作品のプラモデルにもファンがついていく。ここに「ガンダム」という作品の特異性があるような気がするのですが。
西澤 「ガンダム」の強さは、まずアニメの完成度の高さにありますよね。キャラクター、メカデザイン、舞台設定を含めて奥が深い。これはシリーズが重ねられていっても変わりません。まずここに大人が長く楽しめる要素があるわけです。そのため「ガンダム」という名前も、「○○ガンダム」とか様々なシリーズが展開されていますが、一連の流れを「ガンダムの世界観」として捉える方がとても多いですね。新作から旧作、また逆にもファンの流れがスムーズなんだと思います。
村瀬 「ガンダム」は過去のものも古びない。多くの作品がCS放送などで何度も再放送されているし、DVDも発売されている。小説やコミックスなどへの派生も含めると、あらゆるメディアで扱っていると言っていい。いつでも新しい世代のファンが入って来られる。作品全てが現役という感じ。
西澤 その上で、ファーストガンダムが常に新しいファンを取り込めている理由の一つとして、ガンプラの存在が挙げられると思います。30年前に発売した初期のガンプラの「新品」が今でも買えるほどのロングセラー商品になっている反面、未だに新しいバージョンのプラモデルが発売され続けている。この安心感はポイントだと思います。
村瀬 確かにガンプラって、ユーザーに対しての間口の広さが凄いと思います。商品の新旧はもちろん、子ども向けには「SDガンダム」というデフォルメ形式のモデルから、一方では「パーフェクトグレード」という1万円以上するものまで様々なグレードで商品を展開している。また初期のガンプラはお世辞にも精巧とは言えないけど、パーツも少なく製作も簡単。でもこれさえもプラスの要素としてその商品の魅力になり、新しいファンに伝わる。これって凄いことですよね。
西澤 一方で、より精巧で進化したモデルを欲しくなる昔からのファンもいるので、好みの変化に合わせてガンプラも変化≠オ続け新商品が開発されていく。結果として幅広い年代が楽しめるホビーになっていく。
村瀬 ファンからするとその変化し続けるという部分は重要だと思います。これが「来年にはブームが終わりますよ」となったら手を出したくないでしょう(笑) その点ガンプラは、入りやすいし、続けやすいホビーと言えるんでしょうね。
500号記念特別付録が凄い!
西澤 そういえば、今回コラボして作成した特別付録「GNソードWフルセイバー」は編集長の目から見てどうですか?
村瀬 ガンプラとのコラボ付録はこれで3回目になりますが、今回の出来が一番だと思います。
西澤 ありがとうございます(笑) 一年程前から打ち合わせを重ねてきた自信作です。読者の方に喜んで頂けたら嬉しいです。
村瀬 本誌完全オリジナルで他では手に入らないので希少性の高さは魅力的。オフィシャル設定としては「ガンダム00(ダブルオー)」シリーズの「ダブルオークアンタ」が持つ武器ですが、もちろんプラモデルなので、機種にこだわらず自由に遊んで欲しい。
西澤 ハイグレードの「HG」用に作成しているので、組み立てやすく、どなたでも楽しく作れます。他のガンダムに持たせてもかっこいいですよ。
村瀬 弊誌の読者でも少なくない人がガンプラを「見て楽しんでいる」ようです。様々に理由はあると思いますが、付録で付いていたら作りたくなるでしょう。作ったら、これを持つ「ガンプラ」も欲しくなるはず。
西澤 本当に(笑) 様々な理由でガンプラから離れてしまっているユーザーもぜひ作って欲しいですね。昔を思い出しながら「今のプラモはもっと楽しいぞ!」ってきっと思って頂けるはずです。
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(十一月十二日、東京都台東区・バンダイ本社にて収録) |
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