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青春いろいろ、輝きいろいろ
『船に乗れ!』も『横道世之介』も青春小説だ。年代、世代などが違っていても、青春のドラマはどうして切なく胸に響くのだろうか。
松田哲夫(まつだてつお)
1947年東京都生まれ。編集者。ブックコメンテーター。筑摩書房顧問。「王様のブランチ」にて書評コーナーを13年務めた。著書に『「王様のブランチ」のブックガイド200』、『印刷に恋して』、『「本」に恋して』など。
『船に乗れ!13』
藤谷治
イチオシ!青春をまるごと描ききった大傑作
この小説には、青春のすべてが盛り込まれている。恋愛に、友情に、音楽に全身全霊で体当たりしていく少年少女たち。彼らの姿は、輝くまでに美しく、息苦しいまでに痛々しい。とりわけ、主人公の少年の高校三年間に起こったことは壮大な悲劇だ。しかし、彼が感じた喜びも哀しみも苦しみも、すべてがかけがえのないものだった。そして、この小説が重苦しくならず爽快に感じられるのは、音楽の描写に、その秘密がある。いろんな名曲が、楽譜を追いながら演奏しているような臨場感をもって描かれる。だから、クラシック音痴の僕でも、演奏者になったかのような気持ちにさせてくれるのだ。さらに、この小説が奥深いのは、生きることの意味を問いかける哲学も語られているからだろう。読後にその哲学がズシリと心の中に残る、素晴らしい小説である。
『横道世之介』
吉田修一
異色の青春ストーリー
西鶴の世之介は気ままに好色の道を進んでいく。この小説の世之介は気ままではあるが、なりゆきまかせに暮らしている。八〇年代後半というバブル期を背景にしているので、彼のもつ天然の素直さが際立って見えてきて、なにやらホンワカと幸せな気持ちになるから不思議だ。
『小太郎の左腕』
和田竜
強烈なキャラクターが魅力
『のぼうの城』と同じく、この作家のキャラクター作りは見事。だから、半右衛門、喜兵衛といったアクの強い戦国武将たちが織りなす戦いの絵巻は迫力満点だ。さらに、異能の少年・小太郎の常識を超えた射撃の腕前にも圧倒され、ドラマチックな活劇を十二分に堪能できた。
『これでよろしくて?』
川上弘美
会話を楽しむ女性たち
これは、女性たちの井戸端会議を描いた小説である。思いつきのように話題は選ばれ、各自の感想に体験談が混じり、議論は核心に迫ることなく堂々巡りしては、次の話題にと横滑りしていく。でも、語られた言葉の端々がじんわりと心に沁み渡っていく感じがどこか心地よい。
『ことことわざおの
ことわざ劇場』
大田垣晴子
笑って学べることわざ漫画
観察とウンチクをふんだんに駆使したエッセイコミックで名高い大田垣さんだが、実はナンセンス漫画もお得意ジャンル。こましゃくれた子どもたちが、さまざまなことわざの意味を、バカバカしいまでに勝手に解釈して笑いを誘う。本当の意味も書いてあるので勉強にもなる。


 
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